ビジネス実務法務検定とは、あらゆる業種に通用する法律知識を正しく学ぶことを目的とされた資格です。
ビジネスシーンでは取引先との契約、労働基準法に準じた雇用契約など、法律知識が必要不可欠となります。コンプライアンス(法令順守)能力を身に付け、リスクを事前に回避できる人材は会社の武器として役立つことができます。
ビジネスパーソンとして法律を学ぶことは決して無駄ではありません。そんなビジネス実務法務検定をこれから受けようと考えている方に、級別に試験難易度や出題内容など役立つ情報をご紹介します。
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ビジネス実務法務検定3級の難易度は?法律系資格の中では簡単!

ビジネス実務法務検定には3級・2級・1級があります。3級の難易度はどの程度なのでしょうか。法律に関する資格となると、一見難しそうに感じますが、ビジネス実務法務検定3級は比較的簡単な試験と思っていいでしょう。
基礎的な法律の知識を問うレベルであり、合格率が高く難易度は低いと言えます。法律初学者でも比較的合格しやすい資格試験です。
3級の出題内容は?民法中心に基本知識
3級で出題される内容は下記の通りです。
3級で出題される法律
民法グループ→民法・借地借家法・破産法・民事再生法・仮登記担保法
商法グループ→商法・会社法・手形法・小切手法・会社更正法
労働法グループ→労働基準法・労働組合法・男女雇用機会均等法・労働者派遣法
特例法グループ→独占禁止法・不正競争防止法・大店立地法・消費者契約法・割賦販売法・特定商取引法・個人情報保護法・特許法・著作権法・商標法・実用新案法・意匠法
- ビジネス実務法務の法体系
- 企業取引の法務(契約に関すること)
- 債権の管理と回収
- 企業財産の管理と法律
- 企業活動に関する法規則
- 企業と会社の仕組み
- 企業と従業員の関係(労働契約・雇用に関すること)
- ビジネスに関連する家族法
3級の試験問題で中心となるのが民法と商法、会社法となります。そのなかでも重視すべきなのが民法の分野です。
3級試験の出題範囲の中で100点満点中、約50点が民法の分野に関わる問題となり、試験全体の中で構成が高いのがわかります。テキスト全体の学習が必要ではありますが、特に配点の高い民法の分野に力を入れて民法を勉強をしましょう。
3級の合格率は?平均60~70%以上!
ビジネス実務法務検定試験3級の合格率は平均60~70%です。ここ数年で見ると2020年、2021年ではおよそ7~8割以上の方が合格していることが分かります。基礎的な法律の知識を問うレベルのため、はじめての挑戦でも合格しやすいと言えます。
2020年度(第48回) | 2021年度(第49回) |
75.7% | 87.3% |
参照:東京商工会議所 検定試験情報
3級の合格基準は?7割正答できるかどうか
制限時間は90分で、100点満点中70点以上取れば合格となります。
出題される内容は基礎的な要素となり、身近に感じることが多いです。日常生活の中でも起こり得るトラブルを考えながら学習することができます。
ビジネス実務法務検定3級は一夜漬けできる?やや不安
3級は合格率が高く、難易度は低い試験と言えますが、出題範囲が広く一夜漬けて合格を目指すのはやや不安です。おすすめではありません。
3級の合格に必要な平均学習時間目安は60時間と言われています。計画的に学習を進めていくことで理解を深めることもできますので余裕をもって勉強を始めましょう。
ビジネス実務法務検定2級の難易度は?

3級は難易度が低く、比較的合格しやすいビジネス実務法務検定ですが、2級になると難易度はどれほど上がるのでしょうか。
2級は独学でも合格が可能なのかも説明していきます。
2級の出題内容は?実務に使える技術まで問われる!
法律に対するより深い理解度と、実務に支障のない応用スキルが求められます。2級の出題内容は3級の内容よりもさらに広くなり、学ぶべき法律の数が追加されます。
3級に追加される法律
民事保全法、金融商品取引法、労災保険・雇用保険・年金・医療保険、下請法、景品表示法、医療品医療機器等法、条例や行政、公害関連法による規制、行政手続など
全体の内容は下記の通りです。
- 企業取引の法務
- 債権の管理と回収
- 企業財産の管理・活用と法務
- 企業活動に関する法規制
- 株式会社の組織と運営
- 企業と従業員の関係
- 紛争の解決方法
- 国際法務(渉外法務)
2級の合格率は?平均は40%だが…
ビジネス実務法務検定2級は、3級の合格率60%~70%と比べると大きく合格率が下がり、平均40%といわれています。
しかし、その合格率は上がったり、下がったりを繰り返しており、必ずしも一定ではありません。16.7%まで低下をしたこともあり、問題内容によっては合格率が一気に落ち込む可能性があります。
2級の合格基準は?7割正答できるかどうか
3級と同じく、2級の合格基準は100点満点中70点を取れば合格です。
試験範囲が3級と比べ広範囲となるので、傾向と対策を立てて勉強をするのよいでしょう。
2級試験で重要なのは、民法と商法・会社法です。100点満点のうち、およそ35~50点が民法と商法・会社法の分野に関わる問題が出題されています。そのため重点的に力を入れて学習をすることがおすすめです。
ビジネス実務法務検定2級の独学はできる?不安な場合は通信講座を!
ビジネス実務法務検定2級は独学での資格取得も可能です。しかし、合格率が安定しないことからわかるように、傾向と対策が必要な試験といえます。
勉強時間の目安は70~100時間くらいです。自分で学習計画を立てることが不安な方や、市販のテキストをひたすら読み暗記をする学習法が向いていないと思う方には通信講座を利用しましょう。
スタディングのビジネス実務法務検定講座ならオンラインですべて学習が可能なため、忙しい方にもスキマ時間での学習におすすめです。わかりやすいビデオ講座やIBT試験(2021年よりビジネス実務法務試験の受験方法がオンラインでの受験となりました)の対策もしっかり行えます。
無料講座のお試しもできますので気になる方はぜひご覧ください。
ビジネス実務法務検定1級の難易度は?

3級、2級と試験の難易度は上がることがわかりました。では1級の難易度はどの程度になるのでしょうか。
ビジネス実務法務検定1級は難易度が高い試験です。合格率は大きく下がり、2級の合格者であっても1級の合格には100時間程度の勉強時間が必要となります。
1級の出題内容や合格率など詳しく見ていきましょう。
1級の出題内容は?毎年ほぼ同じ形での出題
ビジネス実務法務検定1級レベルは、「業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができること」を基準として設定しています。
受験ができるのは2級合格者のみですので注意しましょう。
1級の試験内容はほぼ定型化されています。出題内容は下記の通りです。
- 2級および3級の出題範囲に該当する法律および関連法令が出題
- 共通問題→民法および商法を中心にできるだけ全業種に共通して発生することが考えられる法律実務問題を出題
- 選択問題→特定の業種に関連する法律や事例による実務対応能力の試験です。法務実務担当者が遭遇するさまざまな場面を想定した問題が出されます。
1級の合格率は?約10%前後(偏差値66程度)
2019年のビジネス実務法務検定1級の合格率は17.2%でしたが、それまでは約11%の低い数字で合格率は推移しています。
また偏差値は66程度とみなされ、難易度は社労士や中小企業診断士と同程度となります。論述式の試験であり難易度の高い試験です。
1級の合格基準は?各問題5割以上かつ全体で7割以上の得点
試験は論述式で行われます。制限時間は共通問題、選択問題ともに2時間です。
共通問題2問・選択問題2問の200点満点とし、各問題ごとに得点が50%以上でかつ合計点が140点以上をもって合格となります。
ビジネス実務法務検定はどれから受けるべき?それぞれを比較して検討しよう!

ビジネス実務法務検定をどの級から受けようかと迷う方もいるでしょう。
合格率の高い3級から受けるべきか、またはいきなり2級を受験しても合格は可能なのか説明します。
ビジネス実務法務検定を取得することで活かせる場面はどこにあるのでしょうか。今後自分の目指すところがどこにあるのかで受ける級も変わりますのでぜひ参考にしてみてください。
ビジネス実務法務検定の級と活かせる場面
ビジネス実務法務検定の3級・2級・1級はそれぞれどのような場面で活かすことができるのでしょうか。
- 現在の仕事で活かす場合・・・法務関連の業務はもちろん、ビジネス実務法務検定の知識は営業や販売、総務や人事など幅広い業務で必要です。さまざまな場面で活かすことができるといえます。
- 3級・・・就職・転職時のアピールポイントとして活用することができます。よりスキルアップを目指すのであれば2級の取得が好ましいです。またプライベートの中でも法律の知識があることで役立つ場面が多くあります。
- 2級・・・弁護士などの外部専門家への相談対応など、実務でも使える法務の専門知識を取得できます。法務の業務をされている方には、2級を取得することで仕事の幅をより広げることが可能です。
- 1級・・・より専門性を持ち法務部門の責任者として活躍ができます。
いきなりビジネス実務法務検定2級から受けられる?
2級から受験をすることは可能です。
法律の勉強を少しでもしたことがある人であれば、いきなり2級を受験しても問題ありません。しかし、法律の勉強を全くしたことがない人は3級のテキストを一読してから2級の勉強をはじめるのがいいでしょう。
3級の受験を飛ばし、いきなり2級を受験するメリットは時間やお金の節約になることです。しかし、難易度は3級よりも上がりますのでしっかりと計画を立てて学習を行いましょう。
1級受験にはビジネス法務エキスパートの資格が必要
2級に合格するとビジネス法務エキスパートという称号が与えられます。ビジネス法務エキスパート所持=ビジネス実務法務検定2級合格者ということです。
1級受験には2級の合格が受験資格となりますので1級までの飛び級はできません。2級を取得してから1級の合格を目指しましょう。
そのほかビジネスシーンで使える資格は?おすすめ資格を紹介!

ビジネス実務法務検定以外にもビジネスパーソンが持っておくと有利な資格がいくつかありますので紹介します。
詳しく解説がされた記事がありますのでぜひ参考にしてみてください。
- ビジネス会計検定・・・財務諸表の分析できる能力を身に付けられるビジネス会計検定に関する記事は、ビジネス会計検定試験の難易度は?合格率から勉強のコツまで詳しく解説!にて級ごとの合格率や試験概要など詳しく解説されています。
- コンプライアンス検定・・・ビジネスにおいてコンプライアンスに関する知識を身に付けられ、ビジネスの現場全体で活かすことができる資格です。ビジネスコンプライアンス検定とは?ビジネスに役立つ資格の難易度を解説にて詳しく解説されていますのでご覧ください。
- ビジネスマナー検定・・・ビジネスにおけるマナーを身に付けらるビジネスマナー検定は、職種問わずビジネスシーンに役立ちます。ビジネスマナー検定には種類がありますので、ビジネスマナー検定とマナープロトコール検定の違い!合格率や難易度は?にて違いや試験について詳しく紹介されています。
ビジネス実務法務検定の難易度は級によって大きく違う!自分に合った級から始めよう!

ビジネス実務法務検定は級により大きく難易度が変わります。法律の勉強が始めての方であれば3級からの取得が好ましいです。テキストをまんべんなく読めば確実に合格を狙えるでしょう。
2級になると難易度は少し上がりますので計画的な学習が必要となります。独学での合格も決して不可能ではありません。1級は合格率10%前後となり、3級、2級と比べかなり難しい試験と言えます。スキルアップのために取得できれば大きな自信につながるでしょう。
法律を学ぶことはビジネスシーンははもちろん、生きていくうえであらゆる不利な状況を判断、回避することができ、自分を守ることにもなります。ビジネス事務法務検定を受験する際には、自分に合った級から始めていきましょう。
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