危険物取扱者試験の合格率や難易度をご存知ですか?
私たちの身近にある、ガソリンや灯油など火災の可能性が高いものは消防法によって「危険物」として定められています。
危険物取扱者という資格を取得すると、業務の中で危険物を安全に取り扱えると認められます。
タンクローリー施設、ガソリンスタンド、石油貯蔵施設や危険物を扱う工場などで、危険物取扱者の資格は非常に役立ちます。
より専門性の高い仕事ができ、キャリアアップにもつながる危険物取扱者は、関連業務をしている方にはおすすめの資格です。
この記事では、以下のポイントに沿って「危険物取扱者」の資格について解説します。
- 危険物取扱者の種類
- 危険物取扱者の種類ごとの合格率
- 高校生でも合格できるのか
- 乙種第4類(乙4)の合格率が、他の乙種よりも低い理由とは
- 危険物取扱者の難易度を種類ごとに解説
- 危険物取扱者の受験資格
- 乙4が人気の理由
- 危険物取扱者試験の勉強方法
- おすすめの通信講座は「ユーキャン」
コンテンツ
危険物取扱者って?甲乙丙の区別がある
危険物取扱者とは、消防法で定められた「危険物」の取り扱いや管理などに必要となる国家資格です。
危険物取扱者の資格を持つことで、転職や年収アップにつながることもあるニーズの高い資格です。
これを機に、危険物取扱者の資格取得を目指してはいかがでしょうか?
危険物取扱者の資格には、「甲種」「乙種」「丙種」の3種類があります。
保有する資格の種類によって、取り扱い可能なもの、立会い、管理できる「危険物」が異なります。
危険物取扱者の中で「甲種」が最上級の資格で、取り扱える危険物が最も多い資格です。
「乙種」「丙種」になるにつれて、扱うことができる危険物が限定されます。
- 甲種
- 消防法上の第1類から第6類まで、すべての「危険物」の取り扱いが可能です。
甲種の有資格者の立会いがあれば、無資格者も「危険物」を取り扱いできます。
- 乙種
- 乙種は、第1類から第6類のうち取得した資格の「危険物」のみ取り扱いできます。
資格があれば、甲種同様に無資格者の立会い業務も可能です。
- 丙種
- 第4類のうち、ガソリンや灯油など特定の「危険物」のみ取り扱い可能です。
ただし、無資格者の立会い業務はできません。
危険物取扱者の合格率は?甲乙丙それぞれチェック!
危険物取扱者の合格率についてご存じですか。
危険物取扱者の試験は、五肢択一式か四肢択一式のマークシートで行われます。
試験には3科目ずつ受験科目があり、科目ごとに60%以上の正答率が必要です。
つまり、各科目で60%以上の正答率が必要だということは、苦手な科目を作らずに勉強することが大切になるでしょう。
すべての危険物を扱える「甲種」は合格率が低く難易度が高いですが、「乙種」「丙種」は比較的合格率が高くなっています。
危険物取扱者の各種別の合格率について見ていきましょう。
甲種の合格率は?30~40パーセントと低め
甲種の合格率は、3種類の中でも1番低い30〜40%台です。
試験では、物理や化学の本格的な知識が求められます。
甲種には受験科目の免除制度がありません。他の試験で合格している科目であっても、再受験する必要があるので試験範囲が広く、難易度が高くなります。
また、甲種の資格を取得するとすべての危険物を取扱い可能になるため、難易度が最も高くなっています。
年度 | 合格率 |
---|---|
令和3年度 | 39.9% |
令和2年度 | 42.5% |
令和元年 | 39.5% |
平成30年 | 39.8% |
平成29年 | 37.3% |
乙種の合格率は?30~70パーセントと種類によって差がある
乙種は、その中で更に第1類~第6類の資格にわかれています。
6類の中で最も人気の高い第4類の合格率の平均は、約39.8%と甲種と同じくらいになっています。
第4類は暗記する量が他の類よりも多くなっていますが、試験内容の難易度がとても高いわけではありません。
合格率が低いのは、第4類の受験者数が多く、受験者の学力に幅があるのが理由だと考えられます。この理由については後の章で詳細に解説していきます。
第4類以外の合格率は、ほぼ65~70%前後となっており、乙種全体の難易度はあまり高くないでしょう。
しかし、苦手科目があれば苦戦する可能性もありますので、しっかりとした対策が求められます。
年度 | 第1類 | 第2類 | 第3類 | 第4類 | 第5類 | 第6類 |
---|---|---|---|---|---|---|
令和3年 | 70.4% | 71.9% | 70.8% | 36.0% | 71.3% | 70.4% |
令和2年 | 71.5% | 70.8% | 70.8% | 38.6% | 71.2% | 68.5% |
令和元年 | 67.9% | 68.5% | 68.2% | 38.6% | 68.7% | 67.0% |
平成30年 | 66.9% | 68.3% | 67.7% | 39.0% | 66.1% | 64.4% |
平成29年 | 68.4% | 70.9% | 69.2% | 34.4% | 69.4% | 63.6% |
丙種の合格率は?50パーセントが目安
丙種の合格率は約50%で、危険物取扱者の中でも、丙種の難易度は高くないでしょう。
これは、取扱いできる危険物が限定的であることと、物理や化学といった苦手になりやすい科目が入っていないことが理由として考えられます。
丙種は、燃焼や消火についての知識を問う問題を中心に出題されます。
年度 | 合格率 |
---|---|
令和3年 | 51.2% |
令和2年 | 54.0% |
令和元年 | 50.4% |
平成30年 | 51.2% |
平成29年 | 50.7% |
危険物取扱者は高校生でも合格できる?しっかり対策すれば可能
危険物取扱者の資格は、高校生などの学生が学校や仕事の都合で受験をする場合が多くあります。
危険物取扱者は高校生であっても、しっかり対策をしていれば合格することは可能です。
多くの学生が、最初に受験する危険物取扱者は「乙4」と呼ばれる「乙種第4類」です。
乙4の資格を取得することで、働くときに優遇される場合が多くあります。例えば、ガソリンスタンドや化学工場、石油メーカーなどの求人で資格保有者が優遇されています。
乙4は毎年20万人以上の受験者数がいるため、参考書や通信講座などの選択肢が豊富にあり、自分に合ったものが選びやすいでしょう。
物理や化学の基本的な知識が必要になるので、不安な人は通信講座を受講しましょう。
もし、物理や化学の知識があまりなくても、語呂合わせなどで学習しやすいテキストをそろえている通信講座もあります。
危険物取扱者乙4は合格率が低い?他との大きな違い2つ
危険物取扱者の試験には「甲種」「乙種(第1類~第6類)」「丙種」があります。
危険物取扱者の資格全体で、最も受験者数が多いのが「乙4」です。
学校やバイトの都合で受験をすることになった学生が多くいるのが理由です。
乙種は1~6類まであり、第4類以外は合格率が60~70%と高いのにもかかわらず、どうして第4類だけ28~39%と低い合格率を推移しているのでしょうか。
①受験者数が多く層も広い
「乙4」は、危険物取扱者の試験の中で最も受験者数が多くて層が広いのが合格率が低い理由です。
他の試験と比べて、約20倍以上もの受験者数がいます。
中学生で合格したという事例もあり、誰にでも受験が可能で、高校生が学校やバイトの都合から強制的に受験をする場合も多くあります。
合格率が低いのは、他の乙種よりも難易度が特に高いわけではなく、受験者の層が広いためにさまざまな学力やモチベーションの人が受験しているのが理由だと考えられます。
中には、やる気が出ずに十分な対策ができていないまま受験している人もいます。
逆に「乙4」以外の乙種の合格率が高いのは、すでに乙4を受験して合格した人が受けている場合が多いからです。
すでに乙4を合格して、ある程度の知識を有している人が受験するため、他の乙種の合格率が高くなっています。
②免除制度の活用者が少ない
乙種の試験では、1類~6類の中で1つでも合格した場合、その他の乙種の受験をするときに「危険物に関する法令」と「物理学及び化学」の2つの科目が免除になります。
免除制度を活用すれば、残りの「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」を受験するだけでいいのです。
しかし、乙4の場合は乙種の中で初めに受験する人が多いため、この免除制度を活用して受験する人が少ない状況があります。
最初に乙4に合格したあと、免除制度を利用して他の乙種の試験を受験する人が多いのでしょう。
免除制度の活用者が少ないということは、「危険物に関する法令」と「物理学及び化学」にまだ合格していない受験者が乙4を受験するため、合格率が他の試験よりも低くなるのです。
危険物取扱者の難易度は?種類ごとの目安をチェック
これまで、危険物取扱者の合格率について見てきました。
甲種の合格率は例年30~40%程度、乙種は第4類のみ30%前後で、他の乙種は60~70%程度、丙種は50%程度です。
甲種・乙種では、物理や化学の知識が問われるために難易度が高くなっています。
乙種は一度1つの類に受かれば、試験科目の免除が受けられるため、第4類以外の合格率は比較的高めです。
次に危険物取扱者の試験内容を見ていきましょう。
- 甲種の受験科目と問題数
- ・危険物に関する法令(法令) 15問
・物理学及び化学(物化) 10問
・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 20問
甲種は、危険物取扱者の中でも最も難易度が高い試験です。
扱える危険物が最も多く「危険物の取り扱い・保安の監督・定期点検が行える」危険物のスペシャリストと言える資格です。
危険物取扱者の資格の中で、甲種だけは受験資格があり、専門性の高い知識が求められているのがわかります。
- 乙種の受験科目と問題数
- ・危険物に関する法令(法令) 15問
・基礎的な物理学及び基礎的な化学(物化) 10問
・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 10問
乙種は、第4類を除いて高い合格率になっており、乙種全体は難易度が高い試験ではありません。
しかし、60%以上の正答率が必要なため、10問しかない場合は6問以上は正解する必要があります。
第4類の危険物は危険物全体の80%を占めているので、暗記することが他の類よりも多いことが、合格率が低くなっている理由の1つになっています。
- 丙種の受験科目と問題数
- ・危険物に関する法令(法令) 10問
・燃焼及び消火に関する基礎知識(燃消) 5問
・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 10問
丙種は、扱える危険物が他の危険物取扱者に比べて少ない資格です。
合格率も50%と、2人1人は合格しているので、危険物取扱者の資格の中での難易度はあまり高くないでしょう。
危険物取扱者の受験資格は?条件があるのは甲種だけ
危険物取扱者の受験資格について、種別に解説します。
危険物取扱者試験は、乙種・丙種に関しては特に受験資格はありません。
ただし、甲種を受験する場合には下記の5つのうち、1つ以上を満たす必要があります。(引用元:消防試験研究センター)
- 大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
- 大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
- 乙種危険物取扱者免状交付後、2年以上の実務経験を有する者
- 次の4種類以上の乙種危険物取扱者の免状を有する者
- 第1類又は第6類のうちの1種類
- 第2類又は第4類のうちの1種類
- 第3類
- 第5類
- 修士、博士の学位を授与された者で、化学に関する事項を専攻したもの(外国の同学位も含む)
大学で化学に関しての履修がなくても、指定の乙種を取得していれば受験資格が得られます。
危険物乙4が人気の理由は?仕事で役立てたい方におすすめ
危険物取扱者試験の中で、乙種の受験者は全体の8割以上を占め、そのほとんどが乙種第4類(乙4・第4類)の受験者です。
乙4はガソリン、軽油、灯油、重油などの生活に身近な石油類の取り扱いがメインです。
現場での需要も高く、必然的に受験者も多くなっています。
更に身近な石油類という、初学者でも理解しやすいジャンルのため、他の危険物取扱者試験よりも比較的勉強しやすく初心者におすすめです。
しかし、合格率を見ればわかる通り、対策が不十分だと合格することが難しいでしょう。
危険物取扱者の合格率を高めたい!効果的な対策方法をチェック!
実際に危険物取扱者を受験するにあたって、どのように勉強したらいいのかわからないという人も多くいます。
危険物取扱者の試験は、過去問を中心に勉強することで合格率を高められるでしょう。
試験は、年に数回、都道府県ごとに実施されています。実施回数は、都道府県ごとに違いますが、複数回が各地で行われています。
実施回数の多さからも問題を大幅に変えることは考えづらく、実際に過去問からの類似問題が出題されています。
合格率を高めるための勉強方法について詳しく見ていきましょう。
まずは何すればいい?勉強スケジュールを立てよう
まずはじめにやってほしいのが、勉強のスケジュールを立てることです。
仮に1日1時間、1ヶ月で30時間勉強するとした場合は、次に紹介する期間はかかるでしょう。
- 甲種 :2~4カ月
- 乙種 :2~3カ月
- 丙種 :1~2カ月
途中で他の予定が忙しくなって、勉強時間に割けなくなることも想定しておきましょう。
1ヶ月くらいの余裕を持ってスケジュールを組むのが理想です。
危険物取扱者の試験は、すべての科目で60%以上の正答率が必要で、たとえ3科目の平均が60%であっても不合格となります。
苦手科目をなくし、どの科目も60%以上の点数が取れるように繰り返し勉強する必要があります。
参考書や問題集はどう選ぶ?問題数の多さや活用しやすさをチェック
参考書や問題集を選ぶときは、インプットするにあたって十分な内容であるか、また問題量が適切かを確認してください。
最初に一通り内容を理解したあとは、よりたくさんの問題に触れてアウトプットしていくことが求められるので、ある程度の問題量が必要です。
ただし、多過ぎてしまうと全部の問題に手が回らずに消化不良になってしまう可能性があるので、勉強時間と相談しながら選びましょう。
主な勉強方法は?問題集と過去問を繰り返そう
最初は、テキストを何周か読みながら内容を覚えていきましょう。
いきなり全部を覚えられなくてもいいので、3周ほど読んで大枠の理解に努めてください。
ある程度の理解ができたら問題集に移りましょう。
初見はできれば何も見ずに問題を解いて、出来ない問題にだけチェックをつけます。
次に、解説を読んだりテキストに戻ったりしながら潰していきましょう。
問題集の中で全ての問題が潰せたら、最後の仕上げとして過去問を解く方法がおすすめです。
危険物取扱者の過去問は、消防試験研究センターで公開されています。
無料でダウンロードできるので、ぜひ活用しましょう。
危険物取扱者の独学が不安?「ユーキャン」の講座で合格率を高めよう
学校や職場の都合で強制的に受験をしなければいけなくなり、独学での受験に不安を感じている人もいるでしょう。
これまで、科学や物理の勉強に力を入れていなくて、まったく覚えていないという人もいます。
独学での受験に不安を感じている人は、ユーキャンの講座を受講して合格率を高めましょう。
ユーキャンの講座には、入門テキストや重要語を語呂合わせで覚えられるテキストがあるなど「初学者でも理解しやすい」と評判です。
模擬試験2回を含む添削が5回ついており、質問は1日3回までできて丁寧な回答が送られてきます。
ユーキャンは、乙種と丙種の模擬試験がついてきます。他社では、乙種のみとなっているので、丙種の対策もしたい方におすすめです。
危険物取扱者の合格率は種類によって差がある!まずは受ける種類を決定しよう
これまで、危険物取扱者試験の合格率と勉強方法について解説をしてきました。
記事のポイントは以下の通りです。
- 危険物取扱者の難易度は甲乙丙の順に高い
- 合格率は甲種が30~40%、乙種が30~70%、丙種は50%
- 高校生でも、しっかりと対策すれば合格できる
- 乙4は、最も受験者が多くて層が広いのが合格率が低い理由
- 乙・丙種に関しては特に受験資格はないが、甲種は必要条件がある
- 乙4は学校や職場での需要が高く、必然的に受験者も多い
- 合格率を高めるためには、過去問の繰り返しが効果的
- 初学者にもわかりやすいテキストと添削付きの「ユーキャン」がおすすめ
危険物取扱者の試験は、受験する種類によって難易度や勉強時間が異なります。
まずは目標に合わせて、危険物取扱者の中のどの種類を受験するかを決めましょう。
漠然と危険物取扱者試験を受けると決めていてもやることが見えてこないので、まず種類を決めてテキストを選んでみてください。
目標が明確になることで、勉強に対する意欲も上がるはずです。
乙4の受験を考えている人は、こちらの記事も参考にしてみてください。