「弁理士になりたいけれど、試験の対策はどうしたらいいのだろう」
「弁理士試験は、独学で合格できるのだろうか」
弁理士は、知的財産の専門家です。人が知的活動を行って作った作品やアイデアの中には、財産的な価値があるものがあります。弁理士は、その知的財産を保護し、利用を促進する働きをする仕事です。
弁理士になるためには、弁理士の国家資格に合格し、実務修習を受けなければいけません。
今回は、弁理士の国家試験の対策について、以下の内容を解説します。
- 弁理士試験の概要について
- 試験対策を始める前に知っておいた方がいいポイントについて
- 独学に必要なテキストについて
- おすすめの予備校について
是非、最後まで読んでみてください。
コンテンツ
弁理士試験の対策は何から始める?まずは試験概要を知ろう!
はじめに、弁理士試験の概要についてお伝えします。
弁理士試験を受験するための試験資格は、特にありません。
弁理士試験は、誰でも何歳からでも受験が可能です。
弁理士試験は、年に1度行われており、「短答式試験」「論文式試験」「口述式試験」があります。
短答式試験に合格した人が、論文式試験を受験できます。そして、論文式試験に合格したら、口述式試験の受験が可能です。
試験日程は、まず、マークシート式の短答式試験が5月中旬から下旬にあります。
その後、論文式試験が6月下旬から7月上旬にあり、口述式試験が10月中旬から下旬に行われます。
受験手数料として、特許印紙で12000円が必要です。
弁理士試験には、試験科目によって免除制度があります。受験するときに確認しましょう。
弁理士試験の試験形式は?大きく3種類の試験がある!
弁理士試験の合格率は、令和3年度が6.1%で、例年6~8%を推移しています。
国家資格の中でも、非常に難易度の高い資格試験です。
弁理士試験の試験形式には、大きく3種類があります。
- 短答式試験
- 論文式試験(必修・選択)
- 口述試験
短答式試験に合格しなければ、論文式試験を受験できません。また、論文式試験に合格しなければ、口述試験を受験できない仕組みです。
詳しく見ていきましょう。
短答式試験
短答式試験はすべてマークシート式で、5つの選択肢の中から1つを選びます。
短答式試験の合格率は、令和3年度が11.3%で、過去10年間の平均は15.3%でした。
試験範囲が非常に広く、法律用語が多いため、短答式試験を独学で突破することは難しいでしょう。
短答式試験は、合計60題が出題されます。合格基準点は満点の65%以上です。
試験科目は次の7項目で、各科目の配点は次の通りです。
- 特許・実用新案に関する法令 20点
- 意匠に関する法令 10点
- 商標に関する法令 10点
- 工業所有権に関する条約 10点
- 著作権法及び不正競争防止法 10点
短答式試験を免除になる条件は次の通りです。
- 過去2年以内に、短答式試験に合格した人
- 過去2年以内に、工業所有権の科目を修得して大学院を修了した人(工業所有権の科目のみ免除)
- 5年以上、特許庁において審判または審査する事務に従事した人(工業所有権の科目のみ免除
論文式試験
論文試験は、問題文に対して、文章を書いて答える形式です。
独学で勉強するのが難しく、第3者に添削してもらう必要があります。
論文式試験には、必須科目と選択科目の2つがあります。
合格率は、例年25%程度です。
論文式試験を免除になる条件は、次の通りです。
- 過去2年以内に、論文式試験に合格した人
- 5年以上、特許庁において審判または審査する事務に従事した人
必須科目
必須科目には、次の3つの科目があります。それぞれの配点は次の通りです。
- 特許法、実用新案法 200点
- 意匠法 100点
- 商標法 100点
試験範囲は、短答式試験よりもせまくなりますが、問題文を理解して文章で答える力が必要です。
必須科目の合格基準点は満点の54%以上です。
選択科目
選択科目は、次の科目から1つを選びます。配点は100点です。
- 理工Ⅰ(機械・応用力学)
- 理工Ⅱ(数学・物理)
- 理工Ⅲ(化学)
- 理工Ⅳ(生物)
- 理工Ⅴ(情報)
- 法律(弁理士の業務に関する法律)
受験生は、自分の得意な科目を選択できます。選択科目の合格基準点は満点の60%以上です。
口述式試験
口述式試験は、次の科目から出題されます。各科目10分程度行われます。
- 特許法・実用新案法
- 意匠法
- 商標法
論文試験に合格したら、口述式試験を受験できます。
口述式試験は、試験官から問題を出題されて、その場ですぐに回答しなければいけません。
臨機応変に対応できる力が求められます。
合格率の平均は95.6%で、ほとんどの受験生が合格しています。
これまでの試験を突破してきている人が受験しているからこその合格率なので、合格率だけ見て安心しないようにしましょう。
採点は、ABC段階で評価されます。2科目以上でC評価がつかなければ合格です。
弁理士試験の対策を始める前に知っておくべき3つのポイント!
弁理士試験の対策を始める前に、次の3つのポイントについて押さえておきましょう。
- 非常に難易度が高く、独学での合格は厳しい
- 合格まで平均して数年かかる
- 予備校などでまとまった費用が必要になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
非常に難易度が高く、独学での合格は厳しい
弁理士試験は、合格率が例年6~8%と大変低く、非常に難易度の高い試験と言えます。
論文式試験は、必修科目と選択科目があり、独学で勉強して合格するのは厳しい試験でしょう。
受験生の平均受験回数は、令和3年度は3.7回で、例年3~4回になっています。
何度も受験してやっと合格する受験生も多くいることがわかります。
独学のデメリットや、独学が難しい理由
- 試験科目には法律関係が多く、勉強する内容も法律用語が多いため独学は難しい
- 参考書が少なく、参考書を探すところから苦労する
- 論文試験の採点を自力で行うことは難しい
合格まで平均して数年かかる
合格者の平均年齢は、令和3年は36.9歳でした。
20代が23.1%、30代が43.7%、40代が23.1%で、30代で合格する人が多くいます。
受験して合格する人の多くは、会社員や特許事務所で働く人です。
働きながら合格を目指している人が多くいることがわかります。
受験生のうち、受験回数は1~5回の人が65.8%と高く、複数回の受験をして合格しているのです。
弁理士試験の勉強時間は、合格までに3000時間以上が必要と言われています。
働きながら受験している人が多いため、数年間は勉強しなければいけないでしょう。
予備校などでまとまった費用が必要になる
法律用語や論文の書き方を勉強する必要があるため、弁理士試験の合格は独学では難しいでしょう。
予備校を利用しながら、合格を目指す人が大半です。
予備校は、スタディングで594,00円がかかります。また、評判の良い資格スクエアの料金は、265,000円です。
予備校を活用するためには、まとまった費用が必要になります。
独学で勉強するには?必要なステップを解説!
弁理士は、法律用語を理解して、幅広い知識を文章や口頭で答える力が必要になります。
範囲が広く、特に論文は第3者の添削が必須になるため、独学での勉強は非常に難しい試験です。
しかし、独学で弁理士試験の合格にチャレンジしたいという人もいるでしょう。
ここでは、独学で勉強するための必要なステップについてご紹介します。
必要なテキストは?用途に応じて何種類かそろえる!
弁理士試験の独学のために、必要なテキストをご紹介します。
用途に応じて、複数のテキストを用意しましょう。
市販のものもありますが、予備校のテキストを中古で購入するのもおすすめです。
弁理士試験におすすめのテキストは「弁理士テキストのおすすめ3選!独学でも合格に近づく選び方とは?」で詳しく紹介しています。
【入門書】知的財産権制度入門テキスト
こちらは、特許庁のホームページから誰でも入手できるテキストです。
PDFをダウンロードすることで、無料で読めます。
弁理士試験で出題される法律について、ほぼすべての範囲を図解を用いて丁寧に解説しています。
無料で手に入るので、まずはダウンロードして一読してみましょう。
【短答式試験対策】特許法第2版
大阪大学教授の茶園成樹著の「特許法第2版」です。
こちらは、シリーズになっており、他にも「意匠法 」「商標法 」「著作権法 」「不正競争防止法 」があります。
いずれも、初心者にもわかりやすくまとめてあるため、シリーズ全体がおすすめです。
難しい内容も、取っつきにくさを感じさせない文体と、フローチャートを用いてわかりやすく解説しています。
【論文式試験対策】弁理士試験論文マニュアル(1)特許法/実用新案法
この本では、どのように論文試験に対応すればいいのか丁寧に説明されています。
模範解答で、暗記するべきポイントや重要なポイントが明確になっており、答えを書くときのポイントがわかりやすくなっています。
問題と、模範解答のシンプルな構成になっており、繰り返し学習に最適です。
論文の勉強を始めたばかりの学習者にも、論文の書き方からわかる作りになっています。
合格までのスケジュールから逆算して勉強計画を立てる
弁理士試験は、広い範囲から出題されるため、まずは知識をインプットしなければいけません。
短答式試験や論文式試験、口述式試験で、インプットした内容をすぐにアウトプットできるレベルにしておく必要があります。
広い試験範囲の知識を覚え、文章や口頭でも答えられるようになるには、3000時間程度かかると言われています。
試験は年に1度しか行われないため、合格するためにスケジュールを逆算して勉強計画を立てましょう。
予備校で対策するには?オススメ予備校を紹介!
独学では難しいと言われている弁理士ですが、多くの受験生は予備校を活用して対策を行っています。
予備校を活用することで、膨大な量の範囲をポイントを絞って学習できます。
学習までのサポートも充実している予備校があり、質問ができたり、論文の添削を受けたりできるでしょう。
ここでは、おすすめの予備校についてご紹介します。
資格講座名 | 資格スクエア | アガルート | スタディング |
コース名 | 基礎・短答・論文パック | 総合カリキュラム | 基礎・短答・論文 総合コース |
税込価格 | 265,000円 | 229,000円 | 79,800円 |
受講形式 | オンライン | オンライン | オンライン |
教育給付制度 | オンラインにて随時 | 記載なし | 記載なし |
特典や割引 | 乗り換え割で15%or30%off | 2022年試験に合格したら全額返金。お祝い金現金3万円。 | 合格で10,000円のお祝い金 |
受講者の合格率 | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
公式サイト | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
評判で選ぶなら【資格スクエア】
予備校の評判で選ぶなら「資格のスクエア」がおすすめです。
料金は、基礎・短答式・論文式対策がセットになった講座で265,000円です。(2022年現在)
オプションで論文の添削が付けられます。
資格のスクエアは、短答式試験や論文式試験のためのアウトプットに力を入れているのが魅力です。
専任スタッフに無制限で質問ができるため、安心して勉強に取り組めるでしょう。
口コミでの評価が高く、特に初心者にもわかりやすく説明してくれる講義の評価が高いようです。
コース名 | 基礎・短答・論文パック |
税込み価格 | 265,000円 |
受講形式 | オンライン |
教育給付金制度 | 2023年7月末まで動画視聴可能 |
特典や割引 | 調査中 |
受講者の合格率 | |
公式サイト | 資格スクエア公式 |
資格スクエアの弁理士試験講座については「資格スクエアの弁理士試験講座の特徴は?口コミ評判も紹介」で詳しく紹介しています。
費用の安さで選ぶなら【スタディング】
費用の安さで予備校を選ぶなら「スタディング」がおすすめです。
スタディングの弁理士試験対策講座の料金は、59,400円~です。
低価格に抑えた料金でありながら、オンラインで手軽に勉強できる仕組みが充実しています。
講義動画やテキスト、演習問題などの対策が、スマートフォンを使っていつでもどこでも取り組めます。
講師の説明が簡潔でわかりやすい、ハイレベルな内容も扱っているなど高評価の通信講座です。
コース名 | 基礎・短答・論文 総合コース |
税込み価格 | 79,800円 |
受講形式 | オンライン |
教育給付金制度 | 2022年度版 2022年11月30日まで 2023年度版 2023年11月30日まで |
特典や割引 | 調査中 |
受講者の合格率 | |
公式サイト | スタディング公式 |
合格特典目当てなら【アガルート】
合格特典を目当てにするなら「アガルート」がおすすめです。
「2023年合格目標弁理士試験対策カリキュラム」では、合格特典としてお祝い金3万円と、受講料全額返金があります。
しかし、合格特典を得るためには、条件があるので注意が必要です。
合格特典があることで、モチベーションを保てる人にとっては嬉しい制度でしょう。
アガルートは、講師や教材政策スタッフによる過去問の分析によって、合格に最短で取り組める工夫があります。
つまずくポイントを分析して、合格に必要な知識を効率よく学べるシステムが構築されています。
コース名 | 総合カリキュラム |
税込み価格 | 229,000円 |
受講形式 | オンライン |
教育給付金制度 | なし |
特典や割引 | 2022年試験に合格したら全額返金。お祝い金現金3万円。 |
受講者の合格率 | 記載なし |
公式サイト | アガルート公式 |
アガルートの弁理士試験講座については「アガルート弁理士試験講座の特徴は?口コミ評判も徹底紹介」で詳しく紹介しています。
弁理士試験は非常に難易度が高い!予備校を活用しながら確実に合格を目指そう!
ここまで、弁理士試験の対策についてお伝えしてきました。
弁理士試験の特徴は、以下の通りになっています。
- 弁理士試験は、年に1度。短答式試験、論文式試験、口述式試験がある
- 受験資格はなく、誰でも受験が可能
- 合格率は6~8%で、難易度の高い国家試験
- 合格者は、平均3回は受験している
- 必要な勉強時間は、3000時間以上
- 独学での合格は難しく、予備校を活用するのが一般的
- おすすめの予備校は「資格スクエア」「スタディング」「アガルート」
予備校では、効率的に勉強できる仕組みが整っており、合格に向けたサポートが充実しています。
弁理士の予備校について、もっと詳しく知りたい方は「【2022年度版】弁理士の予備校で社会人におすすめの内容を厳選紹介」を参考にしてみてください。