「QC検定2級はどんな試験?難易度はどれくらい?」
「QC検定2級を受験するか悩んでいる」
そんな疑問を持っている方向けに今回はQC検定2級の試験概要や取得のメリット、対策方法について詳しく説明します。
QC検定2級は品質管理責任者におすすめの資格のひとつです。スキルアップやキャリアアップを目的にぜひ資格取得を目指してはいかがでしょうか。
コンテンツ
そもそもQC検定とは?品質管理に関する重要な資格
QC検定は品質管理の手法と実践の知識を問う民間の検定資格です。1~4級の4レベルの試験があり、年間受験者数は6万人以上と学生から社会人まで幅広い年代の方が受験しています。QCとは「Quality Control」の略で品質管理の頭文字をとっています。
工場などでは「QC徹底」と書かれたポスターが飾られていることが多く、商品を作るうえで大切な考え方です。企業は「どうすれば顧客の要求に合ったクオリティの商品が作れるか」ということを考え、コストを抑えてよい商品を作り続けなければなりません。民間資格のため業務に必須の資格ではありませんが、1,2級は難易度が高いため取得すると転職や昇格に有利に働きます。
試験は年に2回、3月と9月に全国120の試験会場で実施され、受験料は以下です、併願も可能で、併願した場合2,000円程度受験料が割引になります。
級 | 受験料 |
---|---|
1級 | 9,900円 |
2級 | 5,500円 |
3級 | 4,400円 |
4級 | 3,300円 |
QC検定2級のレベルは?職場で問題解決ができるレベル
QC検定は2005年に始まった比較的新しい試験ですが、累計133万人が受験しており品質管理の資格の中では人気の資格です。QC検定には1~4級まで4つのレベルがありますが、各級の対象者はどのようにレベル分けされているのでしょうか。
級 | 対象となるレベル |
---|---|
1級 | 品質問題解決の指導者的立場の品質技術者 |
2級 | 品質に関わる部署の管理職スタッフ |
3級 | 職場の問題解決に関わる全スタッフ、品質管理を学ぶ学生 |
4級 | 初めて品質管理を学ぶ新入社員や学生 |
2級は一般的な職場で発生する品質管理問題を自らが中心となって解決改善できるレベルと言えるでしょう。各級の平均受験年齢は他の資格検定に比べて高く、会社で働きながら昇格の際に取得を促されたりキャリアアップのために受験する社会人が多いと考えられます。
級 | 受験者平均年齢 |
---|---|
1級 | 40.6歳 |
2級 | 36.8歳 |
3級 | 34.7歳 |
4級 | 28.0歳 |
どんな人に向けた資格?品質の意識が重要な方に
QC検定の学習を通して品質管理に対する幅広い知識が身に付くため、品質管理に関する意識や能力を高めたい方におすすめの資格です。品質管理に関連する大学で学ばない限り、品質管理の知識を学習する機会はほとんどありません。管理職の方はもちろん、一般社員や短期スタッフであっても品質管理の進め方を知っていると企業全体の品質管理に対する意識向上に繋がるでしょう。
品質管理に関する部署所属の人
品質管理に関する部署に所属している方は3級か2級の受験がおすすめです。現場においてQC7つ道具レベルの十分な知識が身に付いていない方は多く、しっかりと学習し手法を身につけると発生する問題について対処できるようになるでしょう。品質管理や統計について体系的に学べるため、自分のスキルアップに繋がります。
部署の品質管理を任される立場の人
品質管理部署の管理職の方や指導的立場にあたる方は2級か1級の受験がおすすめです。QC7つ道具を使って品質に関連する問題を自ら主体的に解決する力が身に付くため、自分だけでなく部署全体や企業全体の意識を高められるでしょう。個人個人の品質管理レベルが把握できるようになり、社員教育や人事計画にも役立ちます。
QC検定2級で扱う内容は?3・4級の内容を発展させたもの
QC検定の試験範囲は「品質管理の実践」と「品質管理の手法」から成り立っています。QC検定は各級の試験範囲内容だけでなく、下位の級の範囲も含むため2級では3,4級の範囲を含み試験範囲は幅広いです。試験内容について詳しく紹介します。
品質管理の実践
2級の品質管理の実践の試験内容は以下です。品質管理の業務で指導的立場として活躍するために必要な、品質管理原則や品質マネジメントシステムなどの知識が求められます。詳細は品質管理検定運営委員会が定める品質管理検定レベル表で確認ください。
- QC的ものの見方・考え方
- 品質の概念
- 管理の方法
- 品質保証
- ・新製品開発【定義と基本的な考え方】
・プロセス保障【定義と基本的な考え方】 - 品質経営の要素
- ・方針管理
・機能別管理【言葉として】
・日常管理・業務分掌
・責任と権限
・標準化【定義と基本的な考え方】
・小集団活動
・人材育成【定義と基本的な考え方】
・診断・監査【定義と基本的な考え方】
・品質マネジメントシステム【定義と基本的な考え方】 - 倫理・社会的責任【言葉として】
- 品質管理周辺の実践活動【言葉として】
品質管理の手法
2級の品質管理の手法の試験内容は以下です。QC7つ道具の使い方や基本統計法、管理図の知識などの多様な知識が求められます。詳細は品質管理検定運営委員会が定める品質管理検定レベル表で確認ください。
3・4級の内容も含まれる
- データの取り方とまとめ方・サンプリングの種類《2段,層別,集落,系統》と性質
- 新QC七つ道具
- 統計的方法の基礎
- 計量値データに基づく検定と推定
- 計数値データに基づく検定と推定
- 管理図
- 抜取検査
- 実験計画法
- 相関分析
- 単回帰分析
- 信頼性工学
QC検定2級には3,4級の試験内容も含まれます。3,4級では品質管理の基礎やQCでの見方・考え方、QC7つ道具の考え方、使い方の知識が試験範囲です。品質管理の実務経験がある方や大学で品質管理について学んでいる方には難しくないでしょう。初めて品質管理を勉強する方は4級からのステップアップ受験がおすすめです。QC検定4級について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
理屈と実践のどちらも重要
実務で学んだ知識を生かすには理屈だけでなく実践が必要です。QC検定では品質管理についての知識を身につけられますが、それはあくまでプロジェクトに固有でない知識、一般的な知識になります。それを現実のケースに当てはめ実践していくことが自分の関わるプロジェクトの問題を改善し、知識を活かしていくことに繋がるからです。
QC検定の受験において身につけた知識は部署やチームでシェアし、自分だけのものにせず関わる人全員で品質管理に対する意識を向上させていくことが重要と言えます。
受験資格は?特に設けられていない!
QC検定に受験資格はありません。誰でもどの級からでも受験できます。ただし級が上がるごとに難しくなるため、自分のレベルに合った級から受験するのがおすすめです。品質管理を初めて学ぶ方は4級から、品質管理の実務経験が多少ある方は3級から受験するのがよいでしょう。2級以上は実践的な問題解決スキルが問われため実際に品質管理の仕事をしていないと合格は難しいです。
QC検定の難易度は?やや高めなので対策が必要
QC検定は3,4級まではある程度合格率は高いですが、1,2級からがくんと下がり難易度が増します。難易度や合格ラインについて見ていきましょう。
合格率は約20%!
QC検定2級は直近では40%台まで合格率は上がっていますが、今までの合格率を見ると20%台がほとんどです。4級は80%、3級は50%なので、かなり専門的で幅広い内容が問われ受験者が苦戦していることがわかります。直近5年間の合格率の推移をまとめました。
開催回数 | 合格率 |
---|---|
第32回(21年9月) | 44.33% |
第31回(21年3月) | 48.43% |
第30回(20年9月) | 27.63% |
第29回(19年9月) | 22.96% |
第28回(19年3月) | 26.59% |
2級からでなく、3級から受験したい方は以下の記事で、3級の合格率や難易度を知りましょう。
合格ライン・合格基準は正答率7割以上
QC検定の合格基準については以下のように決められています。
- 手法分野・実践分野
- 各分野の得点が概ね50%以上
- 総合得点
- 概ね70%以上
基本的には100問中70問正解で合格ラインですが、平均点が高い・低い場合は合格水準が変動する試験です。問題ごとの配点が異なるため正答率は70%を越えても得点では70点を下回る可能性があります。確実に合格するためには正答率75%以上を目標にするのがよいでしょう。
勉強時間の目安は?100~200時間程度
QC検定2級に合格するためにはどれくらいの勉強時間が必要なのでしょうか。QC検定は3級の範囲に加えて、かなり専門的な知識も求められます。品質管理の実務経験が長くない方は200時間以上の勉強時間を確保するのがおすすめです。逆に3級の資格を所持している、実務経験が長い方は100時間程度の勉強で合格を目指せる可能性があります。
仕事をしながらの勉強はスケジュール通りに進めるのは困難です。勉強期間としては2か月程度見るようにしましょう。
QC検定2級を取得するメリットは?年収アップにもつながる
QCは他の学問とは違い実務から生まれた学問のため、QC検定取得を通じて学習することで即戦力として社会で活躍できるでしょう。3,4級に比べ2級は合格率が低く難易度が高い資格のため品質管理・品質保証部門で働きたい方はキャリアアップや昇格に繋がります。
- 品質管理の知識が身に付く
- 就職や転職に有利になる
- キャリアアップや昇給につながる
QC検定2級を受験したい!申し込み方法をチェック
QC検定の受験はインターネットから申込みできます。申込者が会場の座席数を上回った場合は受験地ごとに抽選が行われる抽選方式の受付です。試験日の3か月前が受付期間ですので、受験を考えている方は学習を始めるより先に受験の申込みを済ませましょう。(3月試験の場合12月に受験申込受付)
受験申し込みはこちらからできます。
QC検定2級に合格したい!おすすめ対策・勉強方法
QC検定の難易度は高いため、働きながらの資格取得には効率的な学習が必要です。あまり多くのテキストを使わず、1冊を完璧にする気持ちで学習しましょう。以下の対策方法がおすすめです。
- 過去問を解いて自分の現在の実力を把握
- 統計学の概要を知り、全体像をつかむ
- テキストを読み問題を解きながら出題範囲を一周する
- 統計の公式を覚えて計算問題の練習
- 過去問を何度も解いて問題に慣れる
過去問の正答を覚えるだけでなく、なぜその選択肢になるかを考え知識を積み重ねましょう。過去問を解いてわからない部分はテキストに戻り、分からないままにしないことが大切です。
まずは過去問をチェック!現在地を確認
まずテキストを読み進める前に過去問を一度解き現在地を確認しましょう。自分の理解できている分野、できていない分野、合格するためにどれくらいのインプットが必要かを把握できます。3級試験を受験している方は、重複している部分がわかるため集中的に勉強するべき部分がわかるはずです。
3級を取得していない場合はテキストからでもOK
「3級を取得していない」「QC検定が初めて」の方は、問題の出題形式に戸惑ってしまうかもしれません。そうした場合は過去問をざっと確認し、テキストの学習から始めた方がスムーズに進む場合もあります。テキストを一周した後、過去問で学習の進捗をチェックし、苦手な部分が無くなるように学習を進めていきましょう。
過去問を一度解いた後は?テキストで知識を補強しよう!
一度読むだけではわからない部分が残るかもしれませんが、まずはテキストを一周しどの分野でどんな問題が出題されるかを確認します。その後練習問題を解きながら、分からない部分はテキストに戻って知識を補強しましょう。テキストの文章だけではわからなかったものが、問題を解いたら理解できることもあります。不明点が無くなるようにテキストを読み込むことが大切です。
テキストは1冊に絞るのがおすすめ
テキストを何冊も購入するのは時間ばかり使い理解が深まらないためおすすめできません。テキストを途中で変えることも内容が違う部分があると混乱するので変更しない方がよいです。テキストは勉強を始める前に見比べ1冊に決めてから学習しましょう。
最新版を使用しよう
問題集やテキストを購入する際は最新版かを確認して購入しましょう。QC検定は2015年にレベル表が改訂されているため、それ以前のテキストは試験範囲が現在のものと異なる恐れがあります。過去問集に関しても最新の試験の過去問が載ったものの方が試験傾向を把握しやすいです。
計算問題に備えたい!統計学の手法をチェック
2級試験では手法分野の計算問題の量が多く、解法パターンを覚える必要があります。特に相関分析、回帰分析、実験計画法(一元配置、二元配置、繰り返し有の二元配置)は出題率が高く、パターンが多くないため得点源です。試験時間90分に対して問題が100問あるので、計算問題に時間がかかるにしてもそれなりのスピードで解かなければ最後の問題までたどり着くのは難しいでしょう。
使いやすい電卓を用意しておこう
品質管理の現場では関数電卓を使っている方がいらっしゃるかもしれませんが、試験での関数電卓はNGです。√(ルート)付き一般電卓のみ使用できますので、一般電卓での計算に慣れておきましょう。自分の使いやすい電卓で問題演習を練習し、電卓をスムーズに叩けるようにすることが試験突破のためには重要です。
QC検定2級のおすすめ対策テキスト・参考書!
QC検定2級の試験対策におすすめのテキストを4つ紹介します。使用者が多いテキストを選びましたので、テキスト選びの参考にしてください。
- 1回で合格!QC検定2級テキスト&問題集:テキストと問題集が1冊にまとまっているためこの本のみで学習可能
- ユーキャンのQC検定2級 30日で完成! 合格テキスト&問題集:効率的に学習できる必要なポイントに的を絞ったテキスト
- 【新レベル表対応版】QC検定受検テキスト2級:豊富な演習問題と図解で解く力が付くテキスト
- 過去問題で学ぶQC検定2級 2021年版:過去6回分の過去問と解法が掲載
動画で勉強法や統計学基礎を紹介している方もいるので、こちらも参考になります。
YouTube「QC検定2級に1か月の独学で一発合格した勉強法」
QC検定2級の独学が不安?通信講座を活用しよう!
QC検定は独学で合格を目指す方が多いですが、通信講座も開講されているため講座を利用しての学習も可能です。自分で勉強のスケジュールを立てるのが苦手、独学で合格する自信がない方は検討しましょう。QC検定の通信講座を2つ紹介します。
JTEX 職業訓練法人 日本技能教育開発センター
JTEXは技術系の資格取得を得意とする通信講座の大手です。市販テキスト以上の豊富な解説と多くの演習問題で実力をつけられる他、4回のレポート課題を解いて添削と講評をもらえます。「現場で役立つQC検定2級 受験準備コース」は受講期間4カ月で26,400円です。
SAT 現場・技術系専門学校
SATは63の現場・技術系資格取得の講座を取り扱う資格学校です。図解が充実したフルカラーテキストや動画講義、e-ラーニングなどのWeb教材も充実しているため隙間時間を活用して学習できます。「SAT QC検定2級」は受講期間1年で21,780円です。
QC検定2級は品質管理責任者におすすめの資格!必要に応じて取得しよう
QC検定2級の試験概要や対策方法について昇格しました。内容をおさらいしましょう。
- QC検定は品質管理の手法と実践の知識を学べる民間の検定試験
- QC検定2級の取得は品質管理の知識が身に付き、転職やキャリアアップが有利になる
- 合格率は20%程度と難しいため2,3か月前から余裕をもって学習を進める
- 合格するためには過去問で問題形式に慣れることと、計算問題の攻略が重要
働きながら合格を目指す方が多いQC検定、品質管理について専門的に学習する機会はあまりないため、QC検定2級を取得しキャリアアップを目指してはいかがでしょうか。