転職や就職などキャリアに関する専門家の国家資格、キャリアコンサルタントの試験対策はどうしたらよいのでしょうか。試験範囲が広いことや、面接試験があることから対策に不安を抱える人もいるかもしれません。
この記事を読むことで、下記の内容を知ることができます。
- キャリアコンサルタントの試験概要
- 学科試験対策
- 実技試験対策
- おすすめの対策講座
試験形式に合った対策をしてキャリアコンサルタント試験に合格しましょう。
コンテンツ
キャリアコンサルタントの対策がしたい!まずは試験概要をチェック
キャリアコンサルタントの資格取得を決めたら、まずは試験概要をチェックします。
学科試験と実技試験がある!それぞれの特徴をチェック
キャリアコンサルタントは、実技試験と学科試験の2つの試験区分に合格する必要があります。「キャリアコンサルタントの受験資格は?就職先・試験概要を紹介!」では、キャリアコンサルタントの受験資格やメリット、就職先を解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
学科試験は四択マークシート方式!
学科試験は、100分間の試験時間でマークシート式・四肢択一問題が50問出題されます。受験料は8,900円、合格基準は100点満点中70点以上です。
実技試験は論述とロールプレイング形式の面接
実技試験は論述とロールプレイング・口頭に分かれています。受験料は29,900円、合格基準は150点満点中90点以上です。
試験形式 | 時間 | 概要 |
論述 | 50分 | 逐語記録を読み設問に記述で回答 |
面接 | ロールプレイング15分・口頭5分 | 実際のキャリアコンサルティング場面を想定して、面接の冒頭15分の設定でロールプレイ・自分のキャリアコンサルについて質問に回答 |
<論述>
逐語記録では、面接現場でのキャリアコンサルタントの「望ましい事例」と「望ましくない事例」が指定されます。
設問では、
- 事例の違いを指定語句を使用して説明
- 指定されたキャリアコンサルタントの対応が適当か適当でないかの判断と理由
- 相談者の問題
- 今後の面接の展開
などが問われます。
<ロールプレイング・口頭>
ロールプレイングでは、相談者を尊重する態度や姿勢、身だしなみを見られます。
相談者との信頼関係を築いて、相談者が問題に向き合い、気づきを得て成長するようなやり取りやプロセスを心がけましょう。相談者は転職活動の悩みや人間関係などの悩みなど、様々な境遇が考えられます。自分なりの対応やコンサルを、複数パターンシュミレーションしておいてください。
口頭では、試験官からのキャリアコンサルティングについての質問に回答します。
学科と実技は別々で受けられる!学科の対策からするのがおすすめ
学科試験と論述試験は同日、面接試験は別の日程で実施されます。しかし、必ずしも学科試験と面接試験を同じ試験実施回で受ける必要はありません。負担を減らし別々に受けたい場合は、申し込み時点で試験区分を選択しましょう。
学科で学んだことが定着してこそ、論述や面接の精度が上がるので、学科の対策からがおすすめです。
キャリコン試験はモチベ維持が大切!ブログや体験記を活用しよう
キャリアコンサルタント試験は範囲が膨大なので、1人で勉強をしていると不安になってしまうかもしれません。モチベーションを維持して試験対策をすることが大切です。
モチベーションを維持する方法としては、
- 同じ目標を持つ仲間やキャリアコンサルタントの先輩と繋がる
- 楽しみながら勉強する
- キャリアコンサルタント取得後のビジョンを考える
などが挙げられます。
キャリアコンサルタント試験を合格したり、これから受験しようとしているブログなどのSNSや体験記は良い刺激になります。お互いの勉強の進捗がわかったり、相談に乗ってくれたりする場合もあるかもしれません。すでに活躍している先輩のことを知るのも、自分のビジョンを描くヒントになるのでモチベーションをアップしてくれます。
キャリアコンサルタント学科試験対策方法!対策本を繰り返し解こう
キャリアコンサルタント学科試験の対策についてお伝えします。
まずは何から始める?過去問を周回しよう!
まずは、過去問を周回しましょう。
キャリアコンサルタント試験は比較的新しく、過去問が最大の知識源です。出題傾向をつかむために最低でも3~5回分の過去問は解くようにしましょう。また、過去問を解いて間違えた場合は、「なぜ間違えたのか」と関連資料をしっかり見ておくことで合格基準に至るまでの力をつけることができます。
苦手な内容があるときは?〇×形式問題で対策!
苦手な内容は、解説や関連資料を読んでも最初はうまく頭に入らないかもしれません。〇×問題で内容を覚えるほど繰り返してから、細部を理解するようにしましょう。細かく分野別に取り組むことで隙間時間で苦手をつぶすことができます。〇×問題を解いているときのおすすめの採点は、
- 解いているときに迷った問題に印をつけておく
- 間違えた問題にはなぜ間違えたのか一口メモを残す
- 自信のある問題を間違えたときは要チェック
- 正解しても曖昧な場合は印をつける
といった方法です。
たとえ正解できても、一瞬でも迷ってしまうところは確実に点数を取れる正解ではないので、後から解説を熟読し理解します。間違えたところは解説を読んで復習したときには間違えないように一口メモを残してください。
ほかには何をすべき?問題の出典元を確認しておこう
キャリアコンサルタント学科試験問題にはたくさんの出典や参考元があります。同じ書籍が何度も出典元になっている場合も多いので、試験傾向をつかむ上で押さえておきましょう。
キャリアコンサルタント学科試験の対策本まとめ!これだけは押さえよう!
学科試験問題の出典元の多くを占めているのが以下の5冊です。
「キャリアコンサルタンティングの理論と実際」木村 周
キャリアコンサルタントの養成講座でもテキストのように扱われていて、実際に過去問でも最も「キャリアコンサルタンティングの理論と実際」から出題されています。学科試験の範囲網羅されている必携の1冊です。
「新版 キャリアの心理学」渡辺 三枝子
提唱者1人1人にスポットを当てて、詳しく解説しているのでじっくりと学習できます。過去問を解きながらわからなくなったら調べるというような辞書のような使い方にもぴったりです。「新版 キャリアの心理学」の出典も最近では増えているので、絶対に読んでおきたい書籍になります。
「キャリアカウンセリング」宮城 まり子
キャリアカウンセリングについて網羅的に書かれています。他の書籍では記載が少ないない内容も詳しく書かれているので要チェックです。前に紹介した、「キャリアコンサルタンティングの理論と実際」とは表記が違うところもあるので注意しましょう。こちらからも試験に出題されています。
「働くひとの心理学」岡田 昌毅
試験対策では弱点を無くすのにおすすめの1冊です。これまでに出題された内容で、この本にしか記載がないものがあります。過去問を解いていて戸惑わないためにも持っておいたほうが良いです。
「人事管理入門」今野 浩一郎
職能管理制度や出向・移動制度について学習する際に役立ちます。会社の制度について詳しく書いてあるのでおすすめです。人事労務関連の学習には欠かせません。
これらの対策本は、ただ読み込むのではなく、過去問の採点の際に、辞書代わりに引くことで知識が定着していきます。1度調べたところはマーキングしておくと良いでしょう。特に、「キャリアコンサルタンティングの理論と実際」と「新版 キャリアの心理学」は必須の書籍です。
キャリアコンサルタント実技試験対策方法!論述と面接それぞれ紹介
キャリアコンサルタント実技試験の対策について論述と面接それぞれお伝えします。
キャリアコンサルタント論述試験の対策方法は?根拠を持って説明できるかが大切
論述試験は逐語記録を読んで、
- 相談者の意図
- 対応者の意図
- 回答者の考える相談者の問題と根拠
- 回答者が担当した場合のキャリアコンサルの方針
に回答します。
対策としては、ポイントやキーワードを押さえて、解答例を参考に問題をこなすことです。根拠については、「相談者の発言から○○が考えられる」という書き方が定石です。相談者の発言以外はキャリアコンサルタントの推測になってしまいます。
相談者と対応者の意図を探ろう
論述試験の設問1では、「相談者がこの面談で相談したいことは何か」を聞かれます。相談者の意図を確認する問題です。主訴を面談記録から端的に要約して答えましょう。
論述試験の設問2では、「この事例を担当したキャリアコンサルタントがどのような意図で質問を行ったと考えるか」を聞かれます。相談者は自分で自分の考えや気持ちに気づけず、視野が狭くなっている状態です。そのため解決策が見えずに相談しに来ています。視野が狭くなっている原因を聞くのがキャリアコンサルタントの質問です。
意識しておきたい7つのキーワード
設問2の対応者の意図を答える問いと、設問3の「回答者が考える相談者の問題とその根拠を答える」問いには、以下のキーワードに注意しながら回答を考えてみてください。
- 自己理解不足
- 仕事理解不足
- 情報不足
- 思い込み
- 組織理解不足
- コミュニケーション不足
- 中長期のキャリアプラン不足
公開されているプロの回答もこの7つのキーワードに着目して作られています。設問4では、設問3の回答を踏まえての回答者のキャリアコンサルティング方針を書くので、論述試験では通して大切です。
無料で公開されている解答例もチェック
無料で公開されているプロの解答例を読みこんでおくと、論述試験の答え方がつかめるようになります。論述では回答者の態度が見えにくいため、傾聴の言葉を入れることが大切です。例としては、
- 「関係構築」
- 「寄り添いながら」
- 「ラポール形成を行いながら」
- 「相談者の了解を得て○○する」
などです。プロの解答例でも頻繁にこうした言葉が使われています。
キャリアコンサルタント面接試験の対策方法は?ストーリーを意識しよう
キャリアコンサルタントの面接試験には、用意されているストーリーがあります。事例ごとにおおむねポイントが決まっていて、相談者役に伝えられているのです。準備してきているポイントを自由に話してもらえるようにストーリーを意識して、「伝え返し、言い換え、質問」をしましょう。
まずはよく出る問題をチェック
よく出る質問をチェックして、どんなことがポイントになるか想定してみましょう。よく出る問題には以下のようなものが挙げられます。
- 転職活動がうまくいかない
- 派遣から正社員への打診があったが迷っている
- 上司との人間関係がうまくいかない
- 部下との関係構築に悩んでいる
- 今の仕事が向いていないと感じている
- 今の仕事が面白くない
- 自分の望まない部署への異動
- 仕事と子育てを両立したいが具体的にどうしたらいいかわからない
- 仕事と介護を両立したい
- 給与が下がってしまってモチベーションダウンしている
ポイントを想定したうえで、自分なりの対応やキャリアコンサルティングをできるように考えてみてください。
相談者役はバイトの場合が多い!
キャリアコンサルタント面接試験の相談者役は、資格取得者など一定以上のスキルを持っている方がアルバイトで対応していることがほとんどです。本当の悩みではなく、作られた事例をある程度決められたストーリーに乗って受け答えしています。
相談者役の演技にどう対応するかもあらかじめ心構えが必要なので確認しましょう。
余裕をもって身振りや表情にも気を配ろう
キャリアコンサルタント面接試験対策として非言語を外すことはできません。非言語とは、表情・リアクション・アイコンタクト・声量・抑揚などです。相談者が安心して話ができるように以下のようなことを心がけましょう。
- 相談者を受け入れる様な表情・反応
- 適度な身振り手振りをいれる
- うなずき・あいづち
- アイコンタクト(適度に目を合わせる)
- 適切な声の大きさ
- 感情の動きがわかる抑揚
- ゆったりとした口調
- 間をとる
相談者の感情に寄り添った表情やうなずきをすることで、信頼関係構築につながります。また、間を取ることで、キャリアコンサルタントが真剣に相談者の問題を考えていることを示し、好感を得たり無駄な質問を減らしたりすることが可能です。
何より、キャリアコンサルタントは相談される側なので、落ち着いて余裕を持った態度を求められます。面接試験本番は、メンタル面をコントロールすることも大切です。
相手の言葉を言い換えて伝え返すと理解を示せる
相談者が話した内容を受け止めて、「こういうことが伝えたいんだろうな」「こういう風に言うともっとしっくりくるな」と考え、わかりやすく補足して伝え返すと、理解を示すことができます。また、さらに深い内容を話してくれるようになる、面接の軸がぶれなくなるというのもメリットです。
試験としての対応も意識するのが大切
試験としての面接なので、相談者役が与えられた事例を徹底的にイメージトレーニングして行います。相談者役は、キャリアコンサルタントの有資格者であっても、プロの役者ではないので多少整合性がとれないこともあるでしょう。こうした試験の事情を知っておかないと試験に集中できません。
以下のことに特に気をつけましょう。
- 違和感を気にしすぎない
- 準備している内容を話してもらう
- 細かい描写を突っ込まない
あくまでも、面接のポイントや流れ、傾聴や信頼関係構築を大切に進めてください。
キャリアコンサルタントの対策が不安?対策講座を活用しよう!
キャリアコンサルタント試験は範囲が広く、試験形式も学科・論述・ロールプレイング・口頭と多岐にわたるため対策を不安に思うかもしれません。そういった場合は対策講座を使うと効率よく、モチベーションを維持して合格を目指すことができます。
「キャリアコンサルタント資格の仕事・養成講座を解説!」ではキャリアコンサルタントの対策講座を評価と共に紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
キャリアコンサルタントの対策は試験形式に合わせて複数必要!
ここまでキャリアコンサルタントの学科・論述・面接試験の対策についてお伝えしてきました。どの試験もポイントがあり一朝一夕に対応できるものではありません。しっかりと時間を確保し、試験形式に合わせて一つ一つ確実に対策して合格を目指しましょう。
「キャリアコンサルタントの難易度・合格率は?関連資格を紹介!」では、キャリアコンサルタントの難易度・合格率や関連資格をお伝えしています。ぜひ合わせてご覧ください。