「測量士って、どんな仕事?」
「資格はどうしたら取れるの?」
測量士という言葉や仕事の内容をぼんやり知っていても、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか?
測量士は、建築土木工事の前の測量をする人の国家資格です。土木建築工事ではその場所や地形面積などを詳しい測量をもとにして設計図が作られます。
測量に誤りがあれば、工事に支障が出たり建築物に瑕疵が出たりしまう。非常に責任重大な仕事なのです。
不動産関連や工事関連、資産管理関連の職場では非常に需要の高い資格です。就職や転職にも有利です。そのため、合格率10%程度という難関資格になっています。
この記事では、測量士試験対策について詳しく解説します。
コンテンツ
測量士試験の対策がしたい!まずは特徴を知ろう
土木建築の作業で最も早く行われる作業が測量です。家屋やビルなどの一般的な建築でも、ダムや道路、鉄道などの大規模な土木工事でも同じです。測量無くして工事は始められません。
測量で行われるのは、その土地の正確な位置の確認、長さや幅、面積の確認、高低差、勾配などあらゆる観点から地形を測定します。測量が追わって初めて、綿密な建築計画や正確な設計図ができるのです。
測量士は、建築土木工事において非常に大きな責任がある仕事です。
測量士試験とは?測量士と測量士補に分かれる
測量士が作った測量計画に従って測量をし、測量士のサポートをするのが測量士補です。
測量士も測量士補も国の法律で定められた国家資格です。国家試験に合格して測量士・測量士補になる資格を得られます。
資格試験は年1回で受験資格は定められていません。誰でも受験できます。
測量士試験は9科目からなる
測量士試験の科目は全部で9科目です。
内容は測量にかかわる国内外の法律やさまざまな測量方法に関する科目です。
この9科目以外に技術者倫理、測量の基準、基礎的数学、地理情報標準など、技術者としても一般的な知識も出題されます。
測量士と測量士補では試験科目が若干違います。
試験科目 | 測量士 | 測量士補 |
測量に関する法規及びこれに関連する 国際条約 | ◎ | 測量に関する法規 |
多角測量 | ◎ | ◎ |
汎地球測位システム測量 | ◎ | ◎ |
水準測量 | ◎ | ◎ |
地形測量 | ◎ | ◎ |
写真測量 | ◎ | ◎ |
地図編集 | ◎ | ◎ |
応用測量 | ◎ | ◎ |
地理情報システム | ◎ | |
記述式 3問 | ◎ |
午前と午後に分かれている!
測量士試験は年一回、全国に試験会場が設定されます。試験形式は午前が5肢択一の選択問題です。選択式問題は合計28問で1問25点、700点満点になります。。 試験時間は2時間30分です。
午後から記述式が行われます。記述式は必須問題1問と4問の中から2問選択して合計3問にこたえなければなりません。必須問題1問は300点、選択問題は1問200点で記述試験の満点も700点で、試験時間は2時間30分です。
測量士試験では国土地理院が用意した電卓に限り持ち込みが認められています。
- 試験申し込みから合格発表までの日程
- ・願書申込み受付期間:4月中旬~5月中旬頃まで
・受験料:測量士・・・・4,250円 測量士補・・・・2,850円
・試験日:9月中旬頃
・試験会場:北海道、宮城、秋田、東京、新潟、富山、愛知、大阪、島根、広島、香川、福岡、鹿児島、沖縄
・合格発表日:11月上旬頃受験申込
測量士試験の難易度は?合格率約10%の難関試験!
測量士試験の合格基準は、択一式問題が700点中400点以上、択一式記述式合計1400点中910点以上です。つまり合計点数65%以上必要です。測量士補は記述式がないので択一式700点満点中400点以上が合格基準になります。
65%と聞くとあまり難しくないような気がします。しかし、実際に基準を満たして合格できる人は受験者総数の約10%前後です。測量士試験は非常に難易度の高い試験です。
合格率と難易度については、「測量士の難易度は高い?合格率や独学できるかなど詳しく解説!」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
測量士試験のモチベーションを維持しよう!注目ポイントを紹介
どの資格試験にも言えることですが、受験勉強に対するモチベーションを維持し続けるのはとても大変なことです。
最初は張り切って勉強していても、勉強期間が長くなってくると心身ともに疲れてきます。重なる疲労感がモチベーションの低下につながってきます。
モチベーションを維持するためには、どのようなことをすればいいのでしょうか?
測量士資格を取得するメリット!独占業務で需要が高い
受験勉強のモチベーションを維持する方法の一つが、その勉強から得られるメリットを把握することです。
測量士試験の勉強を頑張って合格した暁に得られるメリットはとても大きなものです。
一つ目のメリットは測量業務は測量士と測量士補の独占業務だということです。建築土木に関する、資格を持っていても測量は測量士の有資格者でなければできません。
橋、トンネル、道路、鉄道などの工事には測量士は不可欠なのです。非常に需要の多い職業と言えます。難易度が高いだけのことはある資格、勉強する価値のある資格です。
もう一つのメリットが就職に有利だということです。測量士は需要の多い仕事です。測量会社はもちろんの事、土木建築関連、不動産関連の会社では非常に重宝されます。
気分が落ち込んだら?合格体験記をチェック
受験勉強のメリットを把握しても、気分が乗らない、気持ちがあがらない、そんな時期は誰にでもあります。
そういう気分を長引かせないために、合格者の体験談チェックがおすすめです。体験談は何度かチャレンジした人、苦しい気持ちを乗り越えた人などの生の意見を聞くことができます。こういった文章はとても、励みにも慰めにもなります。
それだけではなく、勉強のノウハウ、気分を上げるためのノウハウも学ぶことができます。同じ夢を見て実現した先輩たちの体験談はとても役に立つのです。
測量士試験の対策方法!合格までの流れを知ろう
測量士試験に合格するためには効果的な対策と計画的な勉強が必要です。効果的な対策として挙げられるのが「基本書の全体的な理解+過去問の反復」です。
これらの勉強を効率的にこなしていくためにするべきことを確認してみましょう。
まずは何からする?対策本を用意しよう!
基本書を全体的に理解するためには、元になる基本書が必要になります。分かり易くて、使いやすいテキスト選びは合否の直接影響してきます。またしっかりと問題を掘り下げて理解度を高めてくれることも大切です。
測量士の独学向けおすすめ対策本は?基本書と過去問集がマスト!
測量士試験対策本の大きな特徴は「書店や通販サイトでは見つからない。」という現実です。多くの資格試験対策本は大手書店や通販サイトで見つけることができます。しかし、測量士の本を見つけにくいのです。
試験に合格した人たちの多くが進める教科書は日本測量協会が出版している本です。日本測量士協会は公益財団法人、つまり公的な法人で民間販売店には出回っていないのです。
日本測量士協会のHPで出版物の紹介メニューから教科書を選びましょう。たくさんの専門書の中に受験対策本もあります。
「国家試験問題模範解説集」「測量士・補国家試験受験テキスト」「測量士・補国家試験科目別模範解答集」などがあります。
「測量士・補国家試験受験テキスト」が受験対策本の基本書と言えます。択一式試験勉強用過去問演習には「国家試験問題模範解説集」、記述式対策用の過去問演習には「測量士・補国家試験科目別模範解答集」がおすすめです。
購入方法は日本測量士協会へ注文して郵便振替などで支払う方法があります。通販などと比べると若干不便ではあります。
- 日本測量士会出版受験テキスト
- ・ 測量士・測量士補国家試験受験テキスト(ISBN978-4-88941-136-2)
B5判、定価 3,565円 (税込)、会員価格 3,200円 (税込)、送料 730円
・国家試験問題模範解説集(ISBN978-4-88941-137-9)
A5判 、定価 2,410円 (税込)、会員価格 2,160円 (税込)、送料410円
・測量士・測量士補国家試験科目別模範解答集(ISBN978-4-88941-135-5)
A5判 、定価2,724円 (税込)、会員価格 2,450円 (税込)、送料730円
難易度が高すぎると感じたら?まずは測量士補を目指すのも手
テキストを入手して、ざっと読んでみましょう。どんな印象を持つでしょうか?
「これなら何とかなりそうだ。」「難しそうだけどやってみようかな?」と思う人がある中で「全く、何のことかさっぱりわからない。難しすぎて話にならない。」と感じてしまった場合には、別の方法も検討してみましょう。
測量士補試験は測量士試験よりは難易度は低くなります。試験科目も少なく合格率は30%程度です。
測量士補の資格取得後、一定の条件を満たす専門学校や養成施設で学ぶと測量士の資格を得られます。測量士試験に合格するよりは時間はかかりますが、難易度は低くなります。
測量士試験の独学に関しては「測量士は独学で試験に合格できる?独学のメリット・テキストを徹底解説!」に詳しく載っています。とても参考になります。
対策本を購入したら?繰り返し解いて午前試験に備えよう!
対策本を購入したら、あとは繰り返し基本書を学んで過去問を演習しましょう。繰り返し学ぶことでウィークポイントを克服し、理解を深めることができます。
まずは基本書を1冊通して解こう
最初の段階では、測量士受験勉強の全体像を把握することから始めましょう。把握するためにはまずは基本書を1冊通して学習することが大切です。
測量士試験で学ぶべきことを全体像としてつかんでおいた方が学習スケジュールが立てやすくなります。
基本書をおろそかにして基礎知識を付けずに、いきなり過去問の演習に入るのは、無駄の多い勉強方法になります。
基礎知識がなければ過去問演習中のつまづきが増えてしまいます。つまづくたびに基本書に戻っていては勉強の効率が落ちるのです。
実際の作業に照らし合わせて考えるのが大切
測量士試験は実際の作業に沿った問題が出るのが特徴です。基本書で勉強するときには、その項目が現実の作業の中で、どんな位置づけにあるのかを理解しなければなりません。
これを理解しないまま過去問に入ってしまうと、問題への理解度が浅くなってしまいます。英開度を深めなければ、応用力はつきません。
測量士試験の問題は、過去問の即した問題が多いのも特徴に一つです。とはいえ、過去問と全く同じ問題が出るわけではありません。応用力を育てておかないと、実際の試験の勝者にはなれないのです。
基本書を勉強することによって、実際の作業の流れに対する理解度を深めておきましょう。
内容がわかったら過去問を周回
基本書の勉強が終わって、実際の作業過程を把握できれば、あとは、過去問の勉強に入ります。過去問を勉強するときには、年度ごとに勉強していくと効率的です。
年度ごとに勉強すると、すべての項目をまんべんなく演習できます。択一問題28問を手堅く高得点を取れるようにしておくことが測量士試験合格のカギになります。できるだけ多く正解して、試験全体の得点を底上げしましょう。
過去問は10年ぐらい前のものから始めるのが一般的です。10年分というと、とても多く感じます。
しかし、択一問題は毎年28問、2時間30分、10年分を単純計算すれば、280問/25時間です。さすがに、そんなに単純ではないにしても、そんなに膨大な時間数にはならないはずです。
過去問は、1周目は時間がかかります。2周目、3周目と繰り返すほど早くなっていきます。恐れず頑張っていきましょう。
何度も間違える問題はノートなどに整理しよう
過去問を何周か勉強すると、よく間違える問題が出てきます。これこそがあなたのウィークポイントです。ウィークポイントをなくすことは、資格試験勉強の基本にして王道です。
何度も間違える問題は、ノートにピックアップして念入りに復習しましょう。間違える原因を確かめることがウィークポイント克服の対策になります。
計算問題はパターン化が重要
測量士試験は計算問題が多いのが特徴です。それらの計算問題は約20種類のパターンに分けることができます。このパターンに気が付けば計算問題対策の最重要点を押さえたと思っても過言ではありません。
測量士試験の計算問題は過去問の数字だけを変えた問題が非常に多いのです。計算問題はに出会う度に、この問題はどのパターンの問題になるのかを意識しましょう。
午後試験はどう対策する?問題演習とフィードバックが重要
測量士試験の午後は記述式試験です。記述試験は非常に専門的かつ実務的な問題が出ます。理解度が深くなければ解けない問題が多いので要注意です。
初めは5分野全部に手を付けてみよう
記述式試験では必須問題ができなければ高得点は非常に難しくなります。必須問題を確実に得点するためには、苦手分野を作らないことが大切です。
記述問題の出題分野は、基準点測量、地形・写真測量、地図編集、応用測量です。まずはすべての分野に挑んでみましょう。どの分野が出ても対応できるだけの実力をつけることで必須問題対策になります。
選択問題では得意分野を選択しなければなりません。つまり、苦手分野をつぶしながら、得意分野を作っていくことが大切です。
記述問題で意外な盲点になるのが漢字です。実際に記述しながら勉強することで漢字の覚え間違いや度忘れが防げます。
試験が近づいてきたら分野ごとに切り替える
年度ごとの過去問反復を繰り返すことによって、まんべんなく力がついてきます。この勉強は択一式の得点を上げることに効果があります。
一方で、記述式試験の対策としておすすめは科目ごとの勉強です。科目ごと過去問を反復するのは、時間がかかる情報ですが、一つの科目の理解を深めるのに役立ちます。正答をしっかり記述しきる事ためには、各科目の理解を深める必要があるのです。
試験が近づいてきたら科目ごとの過去問演習に切り替えましょう。
電卓での計算まで含めて練習しよう
測量士試験では記述式でも択一式でも込み入った計算をしなければなりません。計算に手間取っていては高得点をはじき出すことは困難です。
そこで、測量士試験の際に国土地理院が用意する計算機を使い慣れておいた方が有利です。その計算機が「カシオ SL-910GT-N」です。試験勉強開始とともに購入し、日頃から使い慣れておくのはとても効果のある対策になります。
一つ一つの問題を深く理解しよう
測量士試験記述式問題では、理解の深さが回答の出来不出来を左右します。試験が近づいてきたら、理解できていないところはないか?あなた自身がしっかりと検証しておくことが大切です。基本書を読み直して、理解できないところがあればしっかりと学習しておきましょう。
測量士試験の独学が不安?おすすめ対策講座を紹介!
測量士試験が簡単ではないことはお判りいただけたと思います。もし、独学が不安になったら受験対策講座を受けることも検討してみましょう。
測量士試験受験講座はいろいろ開かれていますが、それぞれに特徴があります。費用の面や通学できるかどうかなども考えなければなりません。通信講座も魅力的な講座があります。
貴方に都合のいい講座を選んで、少しでも効率的に測量士試験合格を目指しましょう。
効率よく学ぶなら「アガルート」がおすすめ
アガルートは難関資格講座が多く、合格者も多数出している実勢のある講座です。測量士ではアガルート受験生の合格率は50%という高水準です。
スマホで学べるので隙間時間を有効活用できます。効率的に学べるのが大きな魅力です。また、アガルートは割引制度や受講料返金制度などのサービスも充実しています。
講座名 | |
コース名 | 合格総合カリキュラム |
税込み価格 | 217,800円 |
受講形式 | オンライン |
教育給付金制度 | なし |
特典や割引 | 合格したらお祝い金3万円+全額返金 |
受講者の合格率 | 50% |
公式サイト | アガルート公式 |
アガルートの評判や口コミを確認したい場合には、「アガルート測量士試験講座の特徴は?口コミ評判も紹介」の記事がお役に立ちます。ぜひ、参考にしてください。
アガルートの特徴
- 合格までの最短ルートを提供してくれるアガルート
- 予備試験や司法試験など難関資格に強い
- 月に1回講師によるカウンセリングが受けられる
\受講スケジュールや受講者の声も確認できます!/
アガルートのカリキュラムを確認
添削をしっかり受けたいなら「東京法経学院」がおすすめ
東京法経学院は司法書士や行政書士など法律系の資格講座で有名です。特に「土地家屋調査士」の合格率が高いことで有名です。
まずは測量士補から挑戦しようという方におすすめなのが、答練と模試を組み合わせた講座です。この講座では、きめ細かい添削指導を受けることができます。
講座名 | 東京法経学院 |
コース名 | 測量士補本試験対策答練(科目別答練全4回+公開模試2回) |
受講料(税込み) | 通学講座 37,400円 |
通信 DVDタイプ 37,400円 | |
通信 映像WMVダウンロードタイプ 34,100円 | |
通信 教材学習タイプ 28,600円 |
わかりやすいテキストがほしいなら「LEC東京リーガルマインド」がおすすめ
東京リーガルマインドは法律系資格学校として大手、名門といわれる学校です。講座数も非常に豊富で、通学でも通信でも選べるのが特徴です。
東京リーガルマインドでも、測量士補試験のためのコースがあります。測量士補合格パックは3つの講座をパッケージにした通学講座です。
この講座では、とても分かり易いテキストがついてきます。
講座名 | ||
コース名 | 測量士補合格パック(全19回) | (使用テキスト) |
スピード合格講座(15回) | 測量士補スピードマスターテキスト 分野別過去問題集 | |
過去問対策講座(1回) | 本試験解説冊子 | |
公開模試(3回) | 問題・解説冊子(3回分) | |
受講形式 | 通学 | |
税込み受講料 | 69,300円 | |
公式サイト | 公式サイト |
測量士の通学講座をご希望の場合は、「測量士の予備校講座で社会人におすすめはアガルート!予備校選びのポイントや独学との違いを解説」を参考にしてください。予備校の選び方や、アガルート予備校の内容が詳しく載っています。
測量士試験の対策ならWeb対策講座も活用しよう!
公益財団法人日本測量協会では、測量士や測量士補国家試験対策向けにWeb対策講座を主催しています。
模擬問題や受験用テキスト、過去問の模範解説集などが教材になります。指導に当たるのは元試験委員の経験をもつ講師陣等です。添削だけでなくアドバイスも受けることができます。JAS eラーニングを使うのでスマホ学習もできます。
講座主催者 | 公益財団法人日本測量協会 |
コース名 | 測量士・測量士補 通信添削講座 |
受講形式 | 通信 |
税込み受講料 | 測量士 59,000円 測量士補 52,000円 |
公式サイト | 公式サイト |
測量士試験対策は反復がカギ!過去問演習をしよう
測量士試験は需要が高く、独立にも就職にも有利なため、資格試験の難易度は高くなっています。
基本書1冊を深く理解したうえで、どれだけ過去問の演習反復できるかが合格のカギになります。
実務経験のある受験者が多いので独学受験の人も少なくありません。しかし、初学者の方や自信がないという方は通信や通学の講座も検討してみてください。
講座によって、費用もさまざま、また、それぞれに特徴があります。最もあなたに都合のいい講座を選ぶために、講座資料はしっかり読み込みましょう。難関資格は早期学習がおすすめです。決心がついたら、即、資料請求をしましょう。