「産業カウンセラーってどんな資格?」
「産業カウンセラーの学習難易度は?」
産業カウンセラーの資格にチャレンジしたい人が増えています。産業カウンセラーは、働く人や組織の課題を心理学をもとに、解決・支援する人材です。
この記事では、産業カウンセラー試験の内容や難易度を解説しています。はじめて産業カウンセラー資格試験を検討している人は、ぜひ、ご覧ください。
産業カウンセラーの資格試験は、受験資格のある社会人なら、独学可能な難易度です。受験資格は大学院修了者と、ややハードルが高い試験です。受験資格のない初学者でも、養成講座を利用すれば効率よく学習できます。
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産業カウンセラーの難易度は?合格率60~70%
産業カウンセラー試験の難易度を解説します。
産業カウンセラー試験の合格率は、60%~70%となっていますが簡単な試験ではありません。理由は、受験条件のハードルが高い試験だからです。受験条件は、産業カウンセラー養成講座履修済みまたは、大学院で心理学・人間科学などを履修していることです。
養成講座および、大学院卒業レベルの知識がある人のなかで、60%~70%の合格率ということです。初学者の場合には、養成講座を通して半年以上の学習が必要です。
産業カウンセラーの試験概要は?難易度は高くないけど受験資格が必要!
産業カウンセラーの試験概要は次のとおりです。
産業カウンセラーの詳しい仕事内容については『産業カウンセラーの仕事とは?気になる年収・転職・資格の種類を解説します』をご覧ください。産業カウンセラーの職務や、やりがいなどについて解説しています。
産業カウンセラーに必要な受験資格は?必要な資格は2つ
産業カウンセラーには、受験資格が必要です。要件は次のとおりです。
・日本産業カウンセラー協会が実施する養成講座を修了していること
日本産業カウンセラー協会では、産業カウンセラー試験の受験要件を得るための養成講座が開講されています。通信講座もあるので、社会人でも学習可能なシステムとなっています。養成講座は、オンライン・通学などご自身にあったクラスを選択できます。詳細は『産業カウンセラー養成講座』をご確認ください。
・心理学や人間科学などの大学院研究科を修了していること
学歴要件では、大学院研究科(心理学や人間科学など)修了者が該当します。産業カウンセラー協会が定める所定単位数を取得した専攻修了者は、受験資格があります。
職歴要件では、社会人として週3日以上の職業経験を通算3年以上有している場合は、大学院研究科(心理学や人間科学など)での取得単位数が協会の定める基準に該当していれば受験資格として認められます。
ご自身がどの受験要件に該当しているか、詳細は『2022年度 産業カウンセラー試験について』をご確認ください。
産業カウンセラー試験の構成は?学科と実技がある
産業カウンセラー試験の構成を解説します。公式情報は、年度開始時に公開されます。必ず4月1日以降に試験主催団体の日本産業カウンセラー協会HPをご確認ください。ここでは、ブラッシュアップまなび様、他受験者体験談サイトなどを参考元とします。
学科試験の内容と実施場所
産業カウンセラーの学科試験内容は次のとおりです。なお、学科試験実施場所は、全国の会場です。
産業カウンセラー試験の出題範囲
・産業カウンセリング概論:産業カウンセラーの変遷、役割、関係法規など
・カウンセリングの原理および技法:カウンセリングを実践するための知識など
・パーソナリティー理論:パーソナリティや心理テストについての知識など
・職場のメンタルヘルス:精神医学概論、職場における危機介入など
・事例検討:事例分析や対話分析など
学科試験1(基礎的問題/40問/90分)と学科試験2(発展的問題/20問/60分)の合計150分の試験で全60問です。
試験方法は四肢択一のマークシート方式で行われます。
実技試験の内容と実施場所
産業カウンセラーの実技試験は、面接形式で行われます。なお、実技試験実施場所は、全国の会場です。
実技試験では、カウンセリングのロールプレイング(受験生同士)や、カウンセリングについての質疑応答(対試験者)がなされます。
- 産業カウンセラーとしての基本的態度
- カウンセリング技法の適切な活用
- 自己理解的側面
- 社会的貢献への姿勢、認識
といった、産業カウンセラーに必要な知識と備わっているべき態度、倫理観などが評価されます。
産業カウンセラーの試験日程は?年2回開催
産業カウンセラーの試験日程は、次のとおりです。
- 学科試験 1月上旬、6月下旬
- 実技試験 1月下旬、7月上旬
産業カウンセラー資格試験は、年度に2回実施されます。チャンスが2回あるので、仕事と両立しやすい時期を選ぶと良いですね。
産業カウンセラー試験に免除科目はある?条件付きで免除
産業カウンセラー試験は、学科試験と実技試験にわかれています。
そのうち、実技試験は、条件によって免除申請を行うことが可能です。条件とは、産業カウンセラー養成講座の受講生、かつ、協会が認める実技成績をクリアしていることです。
”実技能力評価制度
当講座の面接の体験学習で一定の成績に達した場合、その結果を産業カウンセラー試験の実技試験合格に相当させることができます(別途手続きが必要となります)。産業カウンセラーの資格認定について、限られた時間の試験だけで能力や適性を評価するのではなく、研修プロセスを重視した判定を行うための制度です。”
(引用:日本産業カウンセラー協会HP内「講座概要」より)
職歴によっては、大学院で習得した単位数が少なくても協会が認定する場合があります。詳しくは、試験主催団体の日本産業カウンセラー協会HPをご確認ください。
上位資格はシニア産業カウンセラー!難易度は高くなる
産業カウンセラーには、ステップアップ資格として「シニア産業カウンセラー」があります。シニア産業カウンセラーは、産業カウンセラーとして活躍する人が、キャリアアップのために受験する上位資格です。
合格率は、20%前後の難関資格です。難関だからこそ、シニア産業カウンセラーの資格を取得すると仕事の幅が広がるでしょう。
試験の内容は、面接試験です。自身の行うカウンセリングについての「ケース概要」を事前に提出する必要があります。カウンセリングの他、人間性・倫理性などに関する事項が面接試験をとおして審査されます。
産業カウンセラーの独学は難易度が高い?受験資格を満たしていれば独学OK!
産業カウンセラー試験を受けるための受験資格を満たしていれば、独学もOKです!ただし、産業カウンセラー試験に対応した教材は、公式サイト以外では購入できないとのことです。
書店ではなく、サイトから購入しましょう。「日本産業カウンセラー協会書籍刊行案内」をご覧ください。
まず最初にやるべきは?公式テキストで知識を学ぼう
公式テキスト『産業カウンセリング 産業カウンセラー養成講座テキスト1・2』は、産業カウンセラー養成講座に使用される教科書です。
公式テキストには、産業カウンセラー試験対策に必要な内容が詰まっています。専門用語が多くでてくる内容ですが、受験資格を満たしている人なら読み進められるでしょう。
知識を得たら?問題集で演習を繰り返し行おう
ひととおり、テキストを読んで出題内容をつかめたら、問題集を解きましょう。問題集についても、テキスト同様に公式の教材を使ってください。
問題集は、演習問題集と厳選問題集の2パターンが出版されています。どちらも活用するのが理想です。問題集は繰り返し解いて、解説までしっかりと読み込みましょう。
公式問題集『産業カウンセラー試験 演習問題集』は、先に紹介したテキストの内容に準拠して作成された問題が収録されています。「学科試験1」に対応する実力を養成できます。さらに「学科試験2」の対策として、実際の過去問題も収録されています。
公式問題集『産業カウンセラー試験 厳選問題集』は、過去の出題問題と想定問題のなかから、領域ごとにピックアップし構成されています。こちらも、公式テキストとリンクしているので、知識の整理に役立ちます。
実技試験対策は?試験内容を想定してみよう
産業カウンセラー試験対策では、実技試験対策も重要です。
産業カウンセラーの実技試験では、服装や言葉遣い、立ち居振る舞いなども評価の対象になるといわれています。相談者と接するときに、カウンセラーとしてあるべき態度と雰囲気を身につけられるよう心がけましょう。
実技試験における、カウンセリングスキルでは、傾聴の高い技術が試されます。声のトーンや間の取り方、相手が話しやすい流れをつくる心がけが試されます。数分程度の試験ですが、練習してきたことを発揮できるよう緊張を味方につけましょう。
そのためには、試験内容を想定した練習あるのみです。
(参考:産業カウンセラー試験対策サイト)
独学が不安な場合は?対策講座の利用を検討しよう
産業カウンセラー養成講座は、オンラインまたは、全国の会場で開催されています。働きながら学習できるよう、ズーム授業は土日に設定があるなど社会人向きとなっています。
産業カウンセラー養成講座では、次の内容を身につけられます。
- 「傾聴力」の習得・・・カウンセラー役・相談者役・観察者の体験学習をとおして支援スキルを習得します。
- 「心理学・メンタルヘルスの専門知識」の習得・・・心理学や労働関係法など理論的な知識を習得します。
- 「ファシリテーション力」の習得・・・カウンセリングスキルやコミュニケーションスキルを習得します。
公式サイト内の受験生動画(日本産業カウンセラー協会「受講生の声」)をもとに、講座受講生の声を紹介します。
- 「傾聴スキルを活かして、人間関係を意識した仕事ができるようになった」
- 「カウンセリング関連講座のなかでも、専門性が高く確かなスキルが身についた」
- 「介護している母の話を、積極的に聴くことができるようになった」
など、仕事や家庭生活に役立つという意見がみられます。さらに、受講者自身の生き方にも習得スキルを活かしているとのことです。
産業カウンセラー試験の難易度を下げるポイントは?傾聴する姿勢を身に付けよう!
産業カウンセラーは、相談者の言葉に傾聴する姿勢を身につけることが重要です。直接的なアドバイスをするのではなく、その人がどのように選択・行動していくかを支援することを練習します。
傾聴スキルを習得するときには、次のポイントを意識しましょう。
- 相談者の言葉と思いに寄り添う・・・どうアドバイスするかという視点は捨てて、相談者の思っていることに共感します。
- 相談者の話す内容をしっかり聴く・・・日常会話のようなタイミングで言葉を返すのではなく、相談者の話が終わるまで耳を傾けます。
- 相手の話したことをそのまま要約する・・・オウム返しや要約をして、相談者の話した内容を受け入れていることを示します。
日常会話や職場でのコミュニケーションのなかでも、傾聴スキルを意識してみましょう。家族や同僚に、練習台になってもらうと良いですね。
産業カウンセラーの難易度は決して高くない!不安な場合は対策講座の活用を!
ここまで、産業カウンセラー試験の受験資格や養成講座、試験内容を解説しました。受験資格のある人は、独学でも対策が可能な資格試験です。受験資格のない人は、養成講座を利用することで受験資格を得られます。
産業カウンセラーは、職場のメンタルヘルス課題に関わることができます。産業カウンセラーの資格取得をとおして、時代が求めるスキルを多く学べるでしょう。
もしかしたら、産業カウンセラーはハードルが高いと感じられたかもしれません。その場合には、民間の心理系講座からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ユーキャンなどの通信講座でも、さまざまな心理に関連する講座を扱っています。ぜひ、検討してみてください。