「ITストラテジストとして就職した場合の年収ってどれくらい?」
「ITストラテジストで働いてるけど、妥当な収入を得ているのかな?」
ITストラテジストとして働いていたり働く予定があったりする人は、このような疑問を持っているのではないでしょうか。実際の年収を知ることで、市場価値や自分の評価などがわかってきます。
この記事では、以下のようなポイントを解説していきます。
- ITストラテジストとな何か
- 求められるスキル
- 年収の平均
- ITストラテジストになる方法
- 難易度
- おすすめの勉強方法
すでにITストラテジストとして働いている人や取得を目指している人など、ITストラテジストに少しでも興味がある人なら参考になる情報が詰まっています。ITストラテジストの年収や取得方法を知りたいという人は、ぜひ読み進めてください。
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ITストラテジストとは?ITの視点から企業戦略を考える人!
ITストラテジストとは、「IT」を活用した「戦略家」です。つまり、経営者目線でIT戦略を計画する人を指します。
ここでは具体的に以下の内容を紹介していきます。
- 仕事内容
- 市場価値
- 求められるスキル
さまざまな観点からITストラテジストを紹介していきますので、参考にしてください。
ITストラテジストの仕事内容はIT×コンサル!
ITストラテジストの仕事とは、ITに関するコンサルティング業務といえます。具体的には、社内における情報技術の高度化や最適化について、戦略を策定して経営側に提案していきます。仕事の流れを整理するなら、以下の通りです。
- ITを活用した事業戦略
- 企業全体のシステムの計画立案
- 個別部署のシステムの計画立案
- モニタリング
ITストラテジストは、情報技術を活用して経営の課題を解決するのが仕事です。そのため、IT業界全体を調査分析して、実現の可能性や有効性などを経営者に報告します。その後、実際に対象とする範囲や運用方針、リスクなど企業全体への影響を評価・分析していきます。
また、システムを導入するためのコストやスケジュール、調達方法なども同時に検討し、計画を立案していきます。つまり、システムの提案から実際に稼働するまでのすべてに関与する仕事です。
さらに、システムが動き出した後も、常に動向をチェックして管理することも求められます。もし問題があれば改善点を分析して対処するなど、モニタリングとマネジメントも仕事といえるでしょう。
仕事を実現していくために、現状に満足せず常に新しい知識や技術を吸収していくことが求められます。
ITストラテジストは幅広い業界から求められる時代!
ITを有効に活用して経営課題を解決していくことは、多くの企業が試みています。しかし、実際にITを活用するためには、ITに関する深い知識と活用方法を立案できなければなりません。
ITストラテジストは、ITの専門的な知識を用いて課題の発見と戦略の立案が可能です。そのため、IT業界だけでなく幅広い業界から求められています。
特に、IT技術の進歩は目まぐるしいので、ITストラテジストの将来的な需要も大きいことが予想されます。ITストラテジストの資格を持っていれば、就職や転職で有利に働くでしょう。
ITストラテジストに必要な4つのスキルをご紹介!
ITストラテジストは、ITを活用して企業戦略を練る立場ですので、単にITの知識や技術だけでは成り立ちません。
ここでは、どのようなスキルが求められるのか、具体的に4つ紹介していきます。
ITに関する知識
当然ですが、ITに関する深い知識が必要です。その中でも、経営課題を解決できるようなIT技術や具体的な活用方法を提案できるようなIT全体に対する深い知識が求められています。
経営戦略を担うので、現場で必要なプログラミングの知識はそれほど求められていない場合が多いです。ITストラテジストを目指すのであれば個々の技術ではなく、プロジェクトを提案できるようなIT全体の専門知識を学ぶようにしましょう。
経営に関する知識
ITストラテジストには、経営に関する知識も必要といえるでしょう。ITストラテジストの仕事は、具体的な道筋を立てることだけでなく、IT技術を活用して企業戦略を策定することも含まれます。
単に与えられた職務を果たすだけでなく、自社にとって最適なシステムを提案できなければなりません。そのためには、ヒト・モノ・カネを含めた経営に関する知識も求められます。ITストラテジストとしてのキャリアを積むのであれば、ITに関する知識と経営に関する知識も深めるようにしましょう。
課題解決力
ITや経営の知識を駆使して企業にとって価値ある答えを導き出すには、課題解決能力が必要です。課題解決能力とは、具体的には以下の2つの能力です。
- 論理的思考力
- 行動力
有効なシステムを構築するためには、課題を正確に理解していなければなりません。しかし、客観的に問題を見極めて的確に課題を洗い出せなければ、効果的な戦略を描けないでしょう。
つまり、課題を解決するためには、論理的な思考力が必要なのです。また、課題を発見し整理できれば、実際に行動に移す行動力も欠かせません。
ITストラテジストで評価されるためには、課題の本質を理解して実行に移す課題解決力が必要といえます。
コミュニケーション能力
ITを扱うITストラテジストにも、コミュニケーション能力は求められます。
例えば、最適と導き出した策定やシステムを提案しても採用されるためには、経営者を説得しなければなりません。ITストラテジストは相手を納得させて提案を採用してもらうことで、仕事を前に進められるのです。
ただし、ITストラテジストにとって求められるコミュニケーション能力とは、単なる「外交的な姿勢」ではありません。相手の知識レベルに合わせて、わかりやすくITやシステムについて説明していける能力のことです。
相手の疑問にも答えて情報をしっかりと共有するためにも、相手と話をする時は会話量のバランスにも気を配るようにしましょう。
ITストラテジストの年収は?650万円が平均!
ITストラテジストの年収は、平均して650万円程度です。
国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は433万円ですので、ITストラテジストの年収はかなり高いことがわかります。
ここでは、ITストラテジストの年収について詳しく紹介していきます。
ITストラテジストの年収はIT業界の中でもトップクラス!
結論からいって、ITストラテジストの年収はIT業界でも高い部類です。
その理由の1つは、ITと経営に関する両方の知識を持っている人が不足しているからです。システムエンジニアやプログラマーはたくさんいます。また、大学などで経営を学んでいる人もたくさんいますが、ITと経営の両方に深い理解がある人はなかなかいません。
そのため、市場価値が高くて求める企業が多いので、年収がIT業界の中でもトップクラスに入るのです。
なお、ITストラテジストに関しては、基本給以外に資格手当をつけている企業も多いです。企業にもよりますが数万円の手当がつくこともあり、年収にして何十万円も高くなる場合もあります。
【年収比較】ITストラテジストと近似する職種
ITに関する求人の年収の平均をまとめると以下の通りです。
資格 | 平均年収 |
---|---|
ITストラテジスト(ST) | 650万円 |
プロジェクトマネージャ(PM) | 500~1,000万円 |
システム監査技術者(AU) | 500~700万年 |
ネットワークスペシャリスト(NW) | 500~800万円 |
システムアーキテクト(SA) | 400~700万円 |
ITサービスマネージャー(SM) | 500~600万円 |
応用情報技術者(AP) | 400~600万円 |
データベーススペシャリスト(DB) | 400~600万円 |
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) | 400~600万円 |
情報セキュリティスペシャリスト(SC) | 500~600万円 |
ここでは難易度が高い資格を中心に紹介しましたが、その中でもITストラテジストの年収は高いことがわかります。つまり、将来性や需要がある資格といえるでしょう。
なお、企業規模や地域などによって年収の額や条件は変わってきます。ここで紹介した数字は、あくまで全体の平均と考えてください。
ITストラテジストになるには?国家資格を取得せよ!
ITストラテジストになるためには、難しい試験に合格して国家資格を取得しなければなりません。また、ITストラテジストとして仕事をするには就職や転職をする必要もあるでしょう。
ここでは、ITストラテジストの試験や資格取得後の実戦経験の必要性について紹介していきます。
合格率15%のITストラテジストを取得しよう!
ITストラテジストの試験の合格率は平均して15%程度で、難易度が高い試験です。資格を取得するためには、入念な準備を必要とします。ここでは以下の点を詳しく紹介していきます。
- 難易度
- 試験概要
- 勉強方法
ITストラテジストの試験の概要から勉強方法まで詳しく解説していきますので、受験を目指している人は参考にしてください。
ITストラテジストの難易度
ITストラテジストの難易度はかなり高いですが、そういえる理由はいくつもあります。
例えば、ITストラテジスト試験は、情報処理技術者試験でスキルレベル4に相当し、情報技術系で最も難しい試験に区分されています。高度情報処理技術者試験ともいわれ、国家試験の中でも最高峰の資格です。そのため、難易度はかなり高いです。
また、偏差値に換算すれば、71程度といわれています。偏差値71とはどのようなレベルかというと、前後に医師や不動産鑑定士、技術士などが出てくるレベルです。つまり、ITストラテジスト試験の難易度は、超難関といえるでしょう。
なお、合格率は平均して15%程度ですが、実務経験がある人やすでに下位の資格を持っている人がたくさん挑戦するので、数字以上に難易度が高いと考えてください。
ITストラテジスト資格試験について
ITストラテジストの試験は、情報処理技術者試験の春期試験として4月に実施される予定です。令和元年までは秋期に実施されていましたが、コロナウイルスの影響で春期に変わっています。
受験を予定している方は、十分に注意するようにしてください。
試験時間や出題形式は以下の通りです。
試験区分 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数と解答数 |
---|---|---|---|
午前Ⅰ | 9:30~10:20(50分) | 四肢択一式 | ・出題数:30問 ・解答数:30問 |
午前Ⅱ | 10:50~11:30(40分) | 四肢択一式 | ・出題数:25問 ・解答数:25問 |
午後Ⅰ | 12:30~14:00(90分) | 記述式 | ・出題数:4問 ・解答数:2問 |
午後Ⅱ | 14:30~16:30(120分) | 論述式 | ・出題数:3問 ・解答数:1問 |
午前Ⅰは他の高度情報処理技術者試験と同じスキルレベル3相当の問題が出題され、100点満点中60点以上の得点で合格とされます。午前Ⅱはストラテジ系やマネジメント系を中心に出題され、100点満点中60点以上の得点で合格です。
午後Ⅰは4題出題され、その中から2問を選択して記述で解答していきます。配点は1問につき50点で、2問で60点以上の得点ができれば合格です。午後Ⅱは3題出題され、その中から1問を選択して論述式で解答していきます。午後ⅡにはランクがA・B・C・Dの4つあり、そのうちランクAのみが合格です。
なお、午前Ⅰ試験に関しては、以下の条件を1つ以上クリアしていれば2年間に限り免除制度を利用できます。
- 応用情報技術者試験(AP)に合格
- 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
- 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる
該当している人は、受験申込時に忘れずに申請するようにしましょう。
ITストラテジスト資格の勉強方法
ITストラテジスト試験を独学で取得する場合は、問題を何度も解いてインプットとアウトプットを繰り返すようにしてください。
午前の択一式問題は、どれだけ知識があるかが合格のポイントです。しっかりと基本用語を中心に知識を蓄えていくようにしましょう。午前の問題は過去問からの出題が多いので、過去問演習を繰り返すのも有効です。
その際は、問題を暗記するのではなく、問題の意味を考えながら解くようにしてください。こうすることで、少し問われ方が変わっても十分に対応できるようになります。
午後の試験も、基本は過去問で対策をしていきます。過去数年分の過去問を使って、何十本も記述・論述問題を解くようにしましょう。
午後Ⅰでは限られた文字数内で出題者の意図を考えながら記述する練習をしていきましょう。問題文には重要なフレーズがあるので、見つけた時はそのまま書くと得点率を高めやすくなるのでおすすめです。
午後Ⅱは難易度が最も高いので、ポイントをしっかりと押さえて学習をしなければなりません。そのポイントとは以下の2つです。
- 論理的な文章
- 経営者の立場での論述を心がける
論述問題の基本は「原因と結果」や「主語と述語の関係」が、しっかりと書かれていなければなりません。解答を確認する時は、自分の文章が論理的でわかりやすい文章になっているかどうかをチェックしましょう。
また、ITストラテジストは経営者目線で課題を解決するのが仕事ですので、問題でも経営者の立場で論述しなければなりません。技術者の目線で解答をしてしまわないように気をつけてください。
勉強時間に関しては150~200時間と書いてあるものがたくさんありますが、それは実務経験者や下位資格の有資格者の場合です。ゼロから資格を取得するのであれば、最低でも2,000時間以上の勉強時間は必要と考えられます。
なお、独学では学習が思うように進まないという人は、TACやITECなどの講座を利用するのがおすすめです。
ITストラテジストは資格取得後の実戦経験が重要!
ITストラテジストとして活躍するには、資格を取得して実戦経験を積むことが何よりも重要です。
ITストラテジストの資格は、取得したことによって独占的に何か業務ができるようになるわけではありません。ITを活用して戦略的な視点で業務を行う能力を持っていることを証明する資格です。
しかし、その能力を実際に発揮するには、実践経験なしでは不十分です。そのため資格を取得したからといって、すぐにITストラテジストとしての地位や役割を与えられることはほとんどないでしょう。
ただし、さまざまな部署で社会人として経験を積んで知見を広めることで、経営者目線でIT戦略を練れる貴重な人材として重宝されます。
資格を取ったすぐは、すぐにITストラテジストとして働こうと考えず、経験を積むことに専念してください。」そうすれば、将来転職を試みた時、かなり有利に働くと考えられます。
ITストラテジストを取得して、企業に求められる人材になろう!
この記事では、ITストラテジストについて、以下のことを詳しく解説してきました。
- ITストラテジストは、ITを活用して経営者に戦略的な提案をする人のこと
- 専門的な知識を持っているので、さまざまな企業に求められている
- ITストラテジストには「ITの知識」「経営に関する知識」「課題解決力」「コミュニケーション能力」のスキルが求められている
- 平均年収は650万円と全業種平均よりも高い
- ITストラテジストの試験の合格率は15%程度と難易度が高い国家試験
- 試験は四択択一式と記述式、論述式の3種類がある
- ITストラテジストの資格は取得して実戦経験を積むことで評価される
ITストラテジストは、ITや経営に関する専門的な知識が必要です。しかし、実際に評価されるためには、実際の現場で実践経験を積んでいかなければなりません。
ただし、IT技術を駆使して経営者目線で戦略を立案できるので、さまざまな企業に求められるでしょう。また、企業の重要な決定にも影響を与えられる立場ですので、やりがいのある仕事でもあります。
ITストラテジストの資格を取得するのは簡単ではありませんが、独学でもこの記事で紹介した方法で取得は可能です。ITストラテジストを目指している人は、ぜひこの記事を参考にして学習をしてみてください。