「高度情報処理技術者について詳しく知りたい」
「高度情報処理技術者の資格取得を検討している」
上記のような考えを持っている方に向けて、高度情報処理技術者について、役立つ情報をお届けします。IT系従事者や応用情報技術者の資格を取得している方も、ステップアップ資格情報としてご覧ください。
高度情報処理技術者は、国内最難関の資格試験の一角を占めており、資格取得に向けて網羅的な情報収集が必要です。
この記事では、高度情報処理技術者にスポットを当てて、以下の内容を解説します。
- 高度情報処理技術者の概要
- 高度情報処理技術者の難易度
- 高度情報処理技術者の仕事内容や年収
- 高度情報処理技術者を受験する際のポイント
- 高度情報処理技術者の資格取得おすすめ方法
高度情報処理技術者について知りたい方にとって、必要な情報を掲載していますので、ぜひご覧になってください。
コンテンツ
高度情報処理技術者とは?9つの区分をまとめた呼び方
高度情報処理技術者とは、9つの試験区分をまとめた呼称になります。高度情報処理技術者に該当する資格保有者は、情報処理に関して高い専門知識と高度な技能を持っていると評価されるのです。
高度情報処理技術者に該当する試験区分は以下の9つがあります。
- ITストラテジスト
- システム監査技術者
- ITサービスマネージャ
- システムアーキテクト
- プロジェクトマネージャ
- 情報処理安全確保支援士
- ネットワークスペシャリスト
- データベーススペシャリスト
- エンベデッドシステムスペシャリスト
どんな資格?IPA(情報処理推進機構)が管理する国家資格!
高度情報処理技術者は、IPA(情報処理推進機構)が管理する国家資格で、受験資格は特に設けられてはいません。
IPAとは、常に進化するIT社会において、情報セキュリティの強化や優れた人材育成などに取組む独立行政法人です。
スキルレベル4が高度情報処理技術者に該当する
高度情報処理技術者は、スキルレベル4に該当する試験区分になっています。スキルレベル4は、情報処理技術者試験の中で難易度・専門性・対外的評価の高い区分です。
応用情報技術者の後に受験するのがおすすめ
IPAでは、情報処理技術者試験のスキルレベルを次のように区分しています。
- スキルレベル1:ITパスポート試験
- スキルレベル2:基本情報技術者試験
- スキルレベル3:応用情報技術者試験
- スキルレベル4:高度情報処理技術者試験
基本的に、レベル1から順番に受験していくステップアップ試験制度です。必ずしも順番どおりに受験しなければならないものではありません。
しかし、共通項目もあるため、基礎レベルから受験するのがおすすめです。したがって、レベル4に位置する高度情報処理技術者試験は、レベル3までの学習修了後が良いでしょう。
高度情報処理技術者のメリットは?わかりやすいアピールになる
高度情報処理技術者取得のメリットは、転職などでアピールしやすいことです。
IT系転職では、技術があっても、転職活動時にアピールすることは難しいです。そこで、高度情報処理技術者資格があれば、難易度の高い技術を有していることを証明できます。IT従事者用の転職サイトでも、資格入力欄に記載することができますね。
高度情報処理技術者の難易度は?国内最難関の情報系資格!
高度情報処理技術者の難易度は、情報系資格としては国内最難関の難易度となっています。ここでは、試験区分ごとに概要と難易度を解説していきましょう。
ITストラテジスト試験とは?企業の経営戦略にかかわる試験
ITストラテジスト試験は、企業の経営戦略にかかわる試験です。
概要
経営とITを結びつける戦略家として、情報技術を活かした経営戦略の策定・提案・推進を遂行する能力が求められます。
CIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)、ITコンサルタントなどを目指す方に最適です。
難易度
令和 3 年度(春期)の試験は受験者数3,783名に対して、合格者数が579名、合格率は15.3%となっています。
プロジェクトマネージャ試験とは?プロジェクトの責任者におすすめの試験
プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクト責任者が取得するのに適した試験です。
概要
ITプロジェクトの成功請負人として、システム開発プロジェクトの目標達成に向け、要員や資源の確保だけでなく、予算やスケジュールに基づいて実行・管理する能力が求められます。
限られた条件の中でプロジェクトを確実に成功に導き、人材を育成するマネージャを目指す方に最適です。
難易度
令和 3 年度(秋期)の試験は受験者数6,680名に対して、合格者数が959名、合格率は14.4%になります。
システムアーキテクト試験とは?企業活動を支えるITエンジニア向け試験
システムアーキテクト試験は、情報システムを支えるITエンジニア向けの試験です。
概要
業務と情報システムのデザイナーとして、システム開発に必要な要件とアーキテクチャを設計する能力が求められます。
豊富な実務経験に基づいた知識を活かし、業務ニーズに応じた情報システムを構築できるエンジニアのスペシャリストを目指す方に最適です。
難易度
令和 3 年度(春期)の試験は受験者数3,433名に対して、合格者数が567 名、合格率は16.5%になっています。
システムアーキテクトについては「システムアーキテクトの難易度はどのくらい?年収や業務内容を徹底解説」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
ITサービスマネージャ試験とは?クライアントと関わる担当者におすすめの試験
ITサービスマネージャ試験は、クライアント業務に携わる担当者向けの試験です。
概要
ITサービスの安定提供者として、情報システムに関するサービスの計画・立案・提供を遂行する能力が求められます。
クライアントのニーズを的確に捉え、安全で信頼性の高いITサービスを提供するサービスマネージャを目指す方に最適です。
難易度
令和 3 年度(春期)の試験は受験者数2,018名に対して、合格者数が303名、合格率は15.0%となっています。
ネットワークスペシャリスト試験とは?ITインフラを支えるエンジニア向け試験
ネットワークスペシャリスト試験は、ITインフラを支えるエンジニアに適した試験です。
概要
エンジニアとして、ネットワークに最適な情報システムの企画・開発・運用・保守と合わせて、情報セキュリティの技術支援を行う能力が求められます。
大規模ネットワークシステムを支える堅牢なインフラの構築・運用ができるエンジニアを目指す方に最適です。
難易度
令和 3 年度(春期)の試験は受験者数8,420名に対して、合格者数が1,077名、合格率は12.8%となっています。
ネットワークスペシャリストについては「ネットワークスペシャリストの難易度は?合格への勉強法を紹介!」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
データベーススペシャリスト試験とは?データ管理と運用担当者向け試験
データベーススペシャリスト試験は、データの管理と運用を極めたい方向けの試験です。
概要
ビッグデータ時代の担い手として、データベースに関係する企画・開発・運用だけでなく、情報システムのデータ技術支援を行う能力が求められます。
事業の根幹となるデータの管理・分析から、クライアントに活用できるデータを提供するデータベース管理のスペシャリストを目指す方に最適です。
難易度
令和 3 年度(秋期)の試験は受験者数7,409名に対して、合格者数が1,268名、合格率は17.1%です。
データベーススペシャリストについては「データベーススペシャリストは独学で合格可能!勉強対策を紹介!」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは?ニーズ実現に向けたエンジニア向け試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、IoT(モノのインターネット)のニーズを実現するエンジニアに適した試験です。
概要
IoT時代に欠かせないエンジニアとして、ハードウェアとソフトウェアを適切に組み合わせて組込みシステムを構築する能力が求められます。
組込みシステムの設計や構築など、loTに対応できるエンジニアのスペシャリストを目指す方に最適です。
難易度
令和 3 年度(秋期)の試験は受験者数2,185名に対して、合格者数が400名、合格率は18.3%になっています。
システム監査技術者試験とは?システムのリスクや安全性を確認するエンジニア向け試験
システム監査技術者試験は、監査対象から独立した立場で、情報システムを総合的に確認するエンジニア向けの試験です。
概要
情報システムや組込みシステムを総合的に点検・評価・検証し、リスクを分析する能力が求められます。
事業の目標を達成する上で、関係者への説明責任を行う監査人や責任者などを目指す方に最適です。
難易度
令和 3 年度(秋期)の試験は受験者数1,877名に対して、合格者数が301名、合格率は16.0%になっています。
情報処理安全確保支援士試験とは?H29年から始まった新しい試験
情報処理安全確保支援士試験は、平成29年から新しく始まった高度情報処理技術者の試験です。
概要
サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して、企業に対して対策・指導できる能力が求められます。
情報システムの安全性を実務面から確保して対策やアドバイスなどができる、セキュリティエンジニアやセキュリティコンサルタントなどを目指す方に最適です。
難易度
令和 3 年度(春期)の試験は受験者数10,869 名に対して、合格者数が2,306名、合格率は 21.2%になっています。
高度情報処理技術者の仕事内容や年収は?挑戦する試験によって異なる!
高度情報処理技術者の仕事内容や年収は、試験区分によって異なる傾向です。ここでは特に年収に着目して解説していきます。
- ITストラテジスト
年収の目安は600〜1,200万円です。経営者目線でIT戦略の立案と実行を主導する戦略家たるポジションを求められるため、高度情報処理技術者の中でも特に高収入の傾向があります。
- システム監査技術者
年収の目安は600〜1,000万円です。監査法人や企業の監査部門などで活躍できる資格のため、ITストラテジストに次ぐ年収の高さになっています。
- プロジェクトマネージャ
年収の目安は550〜900万円です。高度情報処理技術者の中では3番目となる年収となります。一般に言われている平均年収は500万円前後なので比較的高い年収と言えるでしょう。
- ITサービスマネージャ
年収の目安は500〜800万円です。システム開発経験を持つITサービスマネージャであれば、平均より高額な年収が期待できます。
- システムアーキテクト
年収の目安は500〜800万円です。システム開発に携わり、設計の上流工程を担う場合が多いため収入は高めになります。
- 情報処理安全確保支援士
年収の目安は450〜800万円です。情報資格で初の士業系資格でもあり、合格後は登録が必要になります。
- ネットワークスペシャリスト
年収の目安は450〜800万円です。ネットワークを活用したシステム構築や保守に関する高い知識が求められるため、IT業界の平均年収400万円前半よりも高めになっています。
- データベーススペシャリスト
年収の目安は450〜800万円です。ここ最近ではクライアント管理やマーケティング効率化のため、ビッグデータの重要性の高まりと合わせて、データベーススペシャリストの需要が高まっています。
- エンベデッドシステムスペシャリスト
年収の目安は450〜800万円です。情報処理技術者が対応すべきシステム領域が急速に拡大しているので、エンベデッドシステムスペシャリストの存在が欠かせなくなってきています。
もし現時点でのエンジニアとしての市場価値を知りたい場合、テックミーがおすすめです。30秒で申し込みができて、企業から直接年収を提示されます。無料で登録できるので一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
高度情報処理技術者の難易度ランキング!一番難しいのは「ITストラテジスト」
高度情報処理技術者には9つの試験区分があり、それぞれ難易度にも違いがありますが、一番難しい試験区分は「ITストラテジスト」です。
ここでは、難易度順に高度情報処理技術者の試験区分を表にまとめましたので、参考にしてください。
試験区分 | 難易度 | 偏差値 |
---|---|---|
ITストラテジスト | S | 71 |
システム監査技術者 | S | 70 |
プロジェクトマネージャ | A | 69 |
ITサービスマネージャ | A | 68 |
システムアーキテクト | A | 68 |
情報処理安全確保支援士 | A | 67 |
ネットワークスペシャリスト | A | 67 |
データベーススペシャリスト | A | 67 |
エンベデッドシステムスペシャリスト | A | 67 |
高度情報処理技術者はどれから受けるのがおすすめ?順番や選ぶポイントを紹介!
高度情報処理技術者の資格取得を目指す場合は、どの試験区分を選択すれば良いでしょうか。ここでは高度情報処理技術者の試験区分を選ぶ際のポイントを紹介します。
応用情報技術者を未取得の人はまずそちらから!
スキルレベル3の資格となる応用情報技術者を未取得の場合は、まずそちらから取得してください。
なぜなら、高度情報処理技術者はスキルレベル4の難関資格なので、スキルレベル3の資格を保有する実力がないと、合格が現実的ではないからです。
応用情報技術者については「応用情報技術者の資格で何ができる?仕事内容や就職、転職への生かし方を解説!」で詳しく解説していますので、未取得の方はご覧になってください。
論文なしの高度情報処理技術者試験から選ぶ
高度情報処理技術者の試験区分によっては、試験内容に論文がありません。そのため、論文が苦手な場合は以下の4つの試験区分を選択してはいかがでしょうか。
論文のない試験区分 |
---|
① 情報処理安全確保支援士 |
② ネットワークスペシャリスト |
③ データベーススペシャリスト |
④ エンベデッドシステムスペシャリスト |
年収アップを最優先に選ぶ
年収アップを第一に考えるなら、システム監査技術者をおすすめします。難易度は高くなりますが、簡単に取得できる資格ではないため、年収アップに繋がりやすいからです。
また、応用情報技術者を事前に取得していると、午前試験の一部が免除されるので合格の確率が上がるのもポイントになります。
興味があるものを選ぶ
現在、就いている業務に関連性のある試験区分や、自分が興味のある試験区分を受験するのも選択方法のひとつです。
おすすめ順番の一例!悩んだら「エンベデッドシステムスペシャリスト」から
どの高度情報処理技術者試験を受ければ良いか悩んだ場合は、エンベデッドシステムスペシャリストをおすすめします。
なぜかと言うと、エンベデッドシステムスペシャリストは、高度情報処理技術者の中では難易度と期待される収入のバランスが良く、以下の3つの特徴を合わせ持っているからです。
- 転職で有利になる
- IoT化に伴い需要が高い
- 他の国家資格試験の一部免除がある
高度情報処理技術者試験に挑戦したい!おすすめ通信講座や予備校を紹介
ここでは、高度情報処理技術者試験を受験する際に、おすすめの講座として「資格の大原」を紹介します。
大原では「情報処理安全確保支援士」・「データベーススペシャリスト」・「ネットワークスペシャリスト」の対策講座を開講しており、講座の特徴は以下の3点です。
- 万全のフォロー体制でサポート
全国どの校舎でも受講が可能で、WEB講義の併用により学習を効率良く進められるようになっています。講師への直接質問はもちろん、メールや電話での対応も可能な万全のフォロー体制です。
- 重要論点の総まとめで得点力をアップ
試験直前期に行われる重要論点総まとめでは、得点力アップを目指し、あいまいになりがちなポイントを総ざらいして合格をより確実にします。
- 経験豊富な講師陣によるきめ細かい学習指導
高度情報処理技術者の試験は独学での知識習得が難しいため、合格に必要なノウハウを熟知したプロの講師陣による完全バックアップ指導が効果的です。
大原が開講している「高度情報処理技術者講座」のより詳しい情報は、以下のリンクよりお問い合わせください。
大原の特徴
- 圧倒的な合格数を誇る資格の大原
- 教室通学、映像通学、通信講座から選べる受講スタイル
- まずは気になる資格の資料請求から
\受講スケジュールや受講者の声も確認できます!/
大原のカリキュラムを確認
高度情報処理技術者の申し込み方法は?公式サイトから!
高度情報処理技術者を受験する際には、公式サイトから申し込む必要があります。試験区分によって、「春季」と「秋季」があるので申し込みタイミングには注意が必要です。
公式サイトのリンクを以下に紹介しておきますので、ご確認ください。
高度情報処理技術者以外のおすすめ資格は?技術士(情報工学部門)を検討するのもアリ
高度情報処理技術者の資格取得を検討している人には、「技術士」という資格チャレンジも選択肢となります。
技術士とは、技術系コンサルタントに役立つ国家資格です。産業経済から科学技術まで、ビジネスの多くの分野をカバーする権威のある資格制度です。国際的にも通用する資格なので、グローバルな活躍を目指す人にもおすすめです。
技術士試験は、21の分野に分かれています。IT情報系は「情報工学部門」の受験申込が必要です。世界に通用するITエンジニアを目指すなら、ぜひ検討してみてください。資格チャレンジを検討する順番としては、まずは応用情報処理技術者試験は修了しておくのが望ましいです。試験対策としても、有効な受験順序と言えるでしょう。
(参考:日本技術士会のご案内|公益社団法人 日本技術士会 )
高度情報処理技術者は国内最難関資格の総称!キャリアアップや年収アップにつながる
高度情報処理技術者は、情報処理系の国内最難関資格の総称です。その難易度に応じたキャリアアップや年収アップが期待できます。
IT業界でこれから活躍するには、ぜひとも取得したすることをおすすめします。また、IT業界で活かせる資格については「【2022年】IT業界で稼げる資格は?国際資格・未経験者の転職に役立つ資格の年収・職種を解説」で取り上げていますので、あわせてチェックしてみてください。
最後に、高度情報処理技術者について、以下の通りまとめましたのでご確認ください。
- 高度情報処理技術者とは9つの試験区分をまとめた総称
- 高度情報処理技術者は国内最難関の情報系資格
- 高度情報処理技術者の仕事内容・年収・難易度は試験区分次第
- 高度情報処理技術者の試験区分を選ぶポイントは5つ
- 高度情報処理技術者試験を取得するには講座の受講がおすすめ
- 高度情報処理技術者の受験申し込みは公式サイトを利用
高度情報処理技術者は難易度が非常に高い資格試験ではありますが、将来性のあるIT業界でキャリアアップを狙うなら、取得を検討してみても良いのではないでしょうか。