P検(パソコン検定)はパソコン全般についての幅広い知識・技能を証明する、主に学生に向けた検定試験です。IT関連の資格を取ろうとしたときに、最初に受けようとする人も多いでしょう。
この記事を読むことで、
- P検とは?
- P検3級のレベル
- 試験概要・科目
- 試験対策のコツやおすすめアイテム
- どの級から受けるべきか
を知ることができます。最後まで読んで、自分に合っている資格かを確認し、P検を受けてみましょう。
コンテンツ
そもそもP検とは?ICT活用能力を試せる
そもそも、P検とはどのような資格なのでしょうか。どんな能力を問われるのか、取得のメリット、難易度、試験概要についてお伝えします。
受験者数190万人越え!注目の資格
P検の累計受験者数は、1996年12月から2021年3月までで、210万人を超えています。P検のタイピング受験とアプリ受験を除いても、これほど多くの人が受験しているので、注目度や信頼度がとても高い資格です。
P検は、1996年、当時のパソコン検定委員会主催、株式会社ベネッセコーポレーション運営で生まれました。1996年頃と言えば、パソコンの普及が進んできた時期なので、歴史のあるIT資格と言えるでしょう。元々は「パソコン検定」という名称で呼ばれていました。現在の通称は「P検」です。
正式名称は「ICTプロフィシエンシー検定協会」
2012年4月1日より、パソコン検定の試験の内容に、ICTを活用した問題解決が加わったことで、主催団体名が「ICTプロフィシエンシー検定協会」に変更されました。資格名も「P検」というのは通称で、正式名称は「ITCプロフィシエンシー検定試験」といいますが、履歴書などには以下のように記載すれば問題ありません。
- ICTプロフィシエンシー検定協会主催 P検〇級 合格
ICTプロフィシエンシーとは?P検で問われる3つの力
P検で問われるICTプロフィシエンシーとはどんなものなのでしょうか。
「ICT」は、Information and Communication Technologyの略で、直訳すると「情報通信技術」です。ITCは、「IT(情報処理)技術を、どのようにコミュニケーションの上で活用していくか」は、という点を重視しています。身近な例で言うと、SNS上のやり取りや、メール、チャットもITCの活用です。
ICTプロフィシエンシーとは、そうしたITCの能力のことを指します。以下で、ITCプロフィシエンシーのうち、P検で問われる3つの力を紹介しますので参考にしてください。
ICT機器の操作技能
ICT機器の操作技能とは以下のようなものを指します。
- パソコン、プリンタ、ディスプレイ、ファイルの機能の理解と操作
- タイピング
- Wordでの文章の作成編集・図の挿入・図形の作成・ページ印刷設定
- Excelでのグラフの使用・編集・表計算・ページ印刷設定 など
総合的なICT活用能力
総合的なICT活用能力とは、以下のようなものを指します。
- コンピュータの仕組みと概念の理解
- ネットワーク資源の基本的な活用
- 情報検索
- データ管理や分析
- モラル・セキュリティ・注意事項の遵守 など
ICTを活用した問題解決能力
ICTを活用した問題解決能力とは、以下のようなものを指します。
- 文脈の中から、必要な複数の情報を抽出、意思決定のための手順を組み立てることができる
- 手順に従って物の選択や行為の決定ができる
- 結果を文脈に照らして再考し、評価できる
- 文脈で得られた情報の性格付けを行い、データベース化することができる
- データベースをもとに、解析・設計し結果を得ることができる
- 得られた結果の汎用性を得ることができる
- 得られた複数の情報を関連付けることができる
- 整理した情報を推論や仮説をもとに批判的に評価することができる
- 社会的・技術的に受け入れられる解決方法を複数、選ぶことができる
- 適切な方法で第三者に解決方法を伝えることができる など
P検合格のメリットは?3つのポイント
P検を合格することで得られるメリットを3つ紹介します。
①大学や短大の入試に有利
P検資格を持っていると、大学・短大の入試を優遇されます。2022年(令和4年)は、428大学1,022学部で入試優遇の実績です。また、単位認定は、63大学133学部で実施されました。自分の行きたい学校や通っている学校で優遇や認定がされるかを一度確認して、資格取得を目指すのも良いでしょう。
②使える技能が身に付く
P検で得られる知識や技能は、入試や単位取得、就職時だけでなく、実際の仕事においても役に立ちます。タイピングスキルや、Word、Excelの技術を持っていれば、業務効率を大きく向上させることが可能です。P検を段階的に受験することで、ストレスなく、着実に技術を増やしていくことができます。
③顕彰制度もある
P検に合格することで顕彰制度があります。顕彰制度には「ジュニアマイスター」と、「アグリマイスター」があり、工業系の高校、農業系の高校で実施されていますので、該当の高校に通っている方、通う予定の方は、ぜひ、目指してみてください。
「ジュニアマイスター」顕彰制度
全国工業高等学校校長協会主催で、全国の工業系学科・工業高校に通う高校生が各種資格や検定を取得した場合に、区分表に定められた得点が与えられる制度です。得点の合計で称号の授与が行われます。
- ジュニアマイスターシルバー…得点の合計が30点以上
- ジュニアマイスターゴールド…得点の合計が45点以上
「アグリマイスター」顕彰制度
全国農業系高等学校校長協会主催で、全国の工業系学科・工業高校に通う高校生が各種資格や検定を取得した場合に、区分表に定められた得点が与えられる制度です。得点の合計で称号の授与が行われます。
- アグリマイスターシルバー…得点の合計が30点以上45点未満
- アグリマイスターゴールド…得点の合計が45点以上60点未満
- アグリマイスタープラチナ…得点の合計が60点以上
P検の難易度は?1~5級まで6つに分かれている
P検は難易度によって、1~5級まで6つに分かれています。各級の難易度と検定概要についてお伝えするので参考にしてください。
級 | 難易度・レベル | 検定概要 |
1級 | 企業内情報化推進リーダー | 情報セキュリティ管理/企業内ネットワーク構築/業務プロセス改革/ICTを活用した問題解決 |
2級 | ICT活用スペシャリスト | コンピューター知識/情報通信ネットワーク/情報モラルと情報通信/ICTを活用した問題解決/プレゼンテーション/総合実技 |
準2級 | ビジネスに必要なレベルのICTスキル | タイピング/コンピューター知識/情報通信ネットワーク/情報モラルと情報セキュリティ/ICTを活用した問題解決/ワープロ/表計算 |
3級 | 入社時に必要なレベルのICTスキル(高卒レベル) | タイピング/コンピューター知識/情報通信ネットワーク/情報モラルと情報セキュリティ/ICTを活用した問題解決/ワープロ/表計算 |
4級 | ICTの基礎的な知識とスキル(高校レベル) | タイピング/コンピューター知識/情報通信ネットワーク/情報モラルと情報セキュリティ/ICTを活用した問題解決/ワープロ/表計算 |
5級 | パソコン入門者 | コンピューター知識/情報通信ネットワーク/情報モラルと情報セキュリティ |
参考:P検 公式HP
パソコン入門者から、最新のコンピュータ技術に詳しく、インフラ整備やシステムの導入やシステムの開発を行える人材まで、あらゆるICTに関わる層が対象となっています。自分に合ったレベルの検定を受けてください。
P検の概要をまとめてチェック!試験日や受験料を確認しよう
P検は全国の認定試験会場(PASS認定校)で受験できます。
PASS認定校の数は、全国で約1,400か所です。決まった受験日はなく随時実施されるので、最寄りのPASS認定校を試験会場検索ページで選択し、電話かメールで試験の申込みをしてください。会場検索ページで受験希望の曜日も選択できます。ただし、一般受付不可の会場もあるので注意が必要です。
PASS認定校では、P検対策講座を設けているところもあるので、独学に不安を感じたら、利用するのも良いでしょう。
受験料は学割も!活用しよう
高校生以下は、学割を活用できます。3級受験料の一般価格は5,200円ですが、学割価格は2,040円です。該当する方は、半額以下になるのでぜひ活用しましょう。申し込み時に、「学割希望」と伝えてください。
P検3級のレベルは?新入社員向けの級
P検3級は新入社員向けの資格と言われています。どんな人におすすめなのか、試験科目についてお伝えしていますので、参考にしてみてください。
P検3級の位置づけは?「入社時に必要な力を備えている」
P検3級の出題範囲は、「入社時に要求されるICTスキル」とされています。
ICT機器の基本的な活用ができるかが重要
入社時には、すぐに業務が行えるように、ICT機器の活用ができることを求められます。
パソコンや、バーコードリーダーやスキャナーなどの入力装置、プリンターやディスプレイなどの出力装置、CDやメモリーカードなどの記憶装置の特徴を、理解・説明できたうえで活用できるかが重要です。
また、利用者サービスやコンピューターを利用したデータ管理・分析も活用できるか問われるので、かなり広範囲をおさえる必要があります。
タイピングやword・Excelの扱いも問われる
P検3級の試験では、最初にタイピングが5分、次に、コンピュータ知識の4肢択一問題、最後にWord・Excelの知識を問う出題があります。
タイピングのスピードは、就職した場合、業務の効率を大きく左右しますので、重要です。また、WordやExcelの問題は、実際にタスクを自分でこなす、実践的な試験問題が出ています。例えば、Wordでイベントの招待状や申込書を作成したり、Excelで降水量などを入力してデータの集計、表の編集と印刷設定までをしたり、といった出題です。
業務でそのまま使われるような、実務能力をしっかり身につける必要がある試験といえます。
P検3級は誰におすすめ?大学生や基礎スキルを身に付けたい人
P検3級は、汎用性や実用性の高い資格です。特に、以下のような人におすすめです。
- パソコンスキルを基礎から見に付けたい人
- 就職活動でアピールできるIT資格が欲しい大学生
さらに、IT業界での就職希望や、パソコンスキルを自分の強みにしたい場合は、準2級以上を取得することで、一目置いてもらえるようになります。
4級取得済みの中学生・高校生にもおすすめ
過去在籍していた学校でP検を勧められて4級まで取得している人、または、個人で4級まで取得してきた中学生や高校生にもP検3級の取得はおすすめです。大学入試優遇や、大学の単位認定、就職活動時に履歴書に書ける、など将来的なメリットは大きいでしょう。続けてP検を取り続けることで勉強へのモチベーションや自信にもつながります。
P検3級の試験範囲は?主な科目を紹介
P検3級に出題される、主な科目の試験範囲を紹介します。
タイピング
日本語入力、もしくは英字入力を5分間行います。3級の場合は、日本語入力で300文字以上、英字入力で510文字以上打ち込む出題内容です。合格基準は100点満点中40点以上になります。より実践的な能力を付けたい人は、合格基準で満足せず、さらに練習して正確さと速さを極めてください。
コンピュータ知識
P検の公式HPでは以下のような出題範囲とされています。
- デジタルデータの処理の概念を説明できる
- 入力装置の種類と特徴を説明できる
- 出力装置の種類と特徴を説明できる
- 記憶装置の種類と特徴を説明できる
- 利用者サービスの種類を理解した上でサービスを利用できる
- デジタル化の利点や問題点を説明できる
- コンピューターを利用したデータの管理や分析ができる
具体的には、「2進法・10進法の違いを説明できるか」、「文字や音、画像をデジタル表現する方法を説明できるか」など、細かい項目を問われる可能性があります。
情報通信ネットワーク
情報通信ネットワークの科目は、以下のような出題範囲とされています。
- 情報通信システムの基本的な仕組みを説明できる
- ログオン/ログオフの意味について説明できる
- ネットワーク資源の基本的な活用ができる
- ホームページの仕組みを理解した上で活用できる
- 電子メールの機能を理解した上で活用できる
具体的には「インターネットの接続と利用形態」、「URLの構成と意味」などについて出題されます。インターネットやホームページの仕組みを理解した上で活用できるかが重要です。
情報モラルと情報セキュリティ
情報モラルと情報セキュリティの科目は、以下のような出題範囲とされています。
- 情報モラルの重要性を理解した上で注意事項を遵守できる
- 個人情報保護の重要性を理解した上で注意事項を遵守できる
- 情報セキュリティの重要性を理解した上で注意事項を遵守できる
- コンピューターウイルスに対する基本的な対処ができる
- 知的財産権や肖像権の重要性を理解した上で注意事項を遵守できる
情報モラルを守り、プライバシーや著作権の侵害をせず適切に情報を扱えるか、が大切です。スパムメールや、コンピューターウイルス予防や対処ができるかも問われます。
ICTを活用した問題解決
ICTを活用した問題解決の科目は、以下のような出題範囲とされています。
- 収集または与えられた情報のもとに、物の選択や行為の決定を行うためのアルゴリズムを組み立て、意思決定に役立てることができる
- 相互に関連し合う要素から構成される体系、方式、組織などを演繹的・帰納的に解析・設計することができる
- トラブル、割り込み、予定からの逸脱、第三者の誤りの修復などに対応することができる
情報を集め選び取り、試行錯誤して行動、評価する「意思決定」、情報をデータベース化して解析・設計、得られた結果の汎用性を確認する「システム設計」、様々な問題を評価し、解決策を複数得て第三者に伝える「トラブル対応」について出題されます。
ワープロ
ワープロの項目は、以下のような出題範囲とされています。
- 文書の編集ができる
- 票の作成と編集ができる
- 図の挿入や図形の作成ができる
- ページや印刷物の設定ができる
Wordの基本的な操作が求められます。学校の授業や、日常でも必要になるスキルです。
表計算
表計算の項目は、以下のような出題範囲とされています。
- 表計算ソフトの操作ができる
- グラフの使用・編集ができる
- 計算式や関数が利用できる
- ページ設定および印刷の設定ができる
Excelの基本的な操作が求められます。社会人で、すでに働いている人は当たり前に使っているスキルかもしれません。
参考:P検スキルマップ 3級
P検3級の対策は?対策のコツやおすすめアイテム
P検3級は独学で対策できるのか、対策方法、おすすめテキスト、公式サイトの活用についてお伝えします。
独学でも合格できる?独学で受ける人も多い
P検は、独学で合格可能な試験です。現在ではパソコンが日常的に利用されているため、実際に独学で受験して、受かっている人も多くいます。
WordとExcelをある程度使ったことのある人なら、独学でも1か月程度の勉強で合格できる可能性は十分あるでしょう。タイピングに関しては、慣れと練習量が大切です。スピードと正確さを向上させるために、毎日少しの時間でも練習することをおすすめします。
P検3級対策は何をする?参考書と問題集を周回しよう
P検3級対策をするために、まず、参考書と問題集をそろえてください。資格試験対策と言えば、問題の傾向を知るために過去問題集を分析したい、と考える人も多いと思われますが、P検には過去問題集が存在しませんので注意しましょう。
次に、参考書を最初にざっと読み、問題集にとりかかります。試験日まで参考書と問題集を何回も繰り返すことが合格へのカギです。特に、参考書は、2回以上は繰り返すようにしてください。
「パソコンは仕事や授業である程度使ったことがある」、「タイピングは得意」という人でも、パソコンに関する一般知識で合格点を取れない人がいます。パソコンを実践で使えることと、パソコンや周辺機器の仕組みや特徴を理解して説明できることは違うので、P検対策をすることで初めて知ることも出てくるでしょう。
参考書は試験範囲が網羅されているので、しっかり覚えるようにしてみてください。
P検3級対策用おすすめテキストを紹介!
P検3級対策用のおすすめテキストを2種類、ご紹介しますので、参考にしてみてください。
P検3級テキスト(P検合格シリーズ)P検協会発行
カラー印刷で、細部までフォローされていて、わかりやすいと好評の一冊です。タイピング、Word、Excelの基本を押さえていて安心感のある作りが合格をサポートしてくれます。用語集やチェックシートがついていたり、Windowsのバージョンごとに操作方法の説明がされていたりするのも、とても親切です。また、P検協会公式が発行しているテキストなので信頼できます。
P検3級公認テキスト―ICTプロフィエンシー検定試験 (よくわかるマスター)富士通エフ・オー・エム(著)
テキストと問題集が一冊になっているタイプで、使い勝手が良いと評判です。「この一冊があれば、P検3級に受かる力は十分つけられる」と、複数のパソコン教室でも教科書として使われています。中身はシンプルでわかりやすい作りです。
公式サイトの無料問題集・タイピング練習も活用しよう
P検公式サイトでは、無料問題集やタイピング練習ページを公開しています。公式サイトですから、出題形式や画面の雰囲気も本番に近い状態で練習が可能です。ぜひ、活用してみてください。
P検3級の実技対策も可能!
公式サイトでは、P検実技対策も可能です。課題に対して、Word2010/2007/2003、Excel2010/2007/2003ごとに操作の解説が丁寧に掲載されています。WordとExcelを使ったことのある人は、実技に関しては、まず「課題・類題」ページの問題に取りかかって、自分の苦手を知るのも良い勉強法です。
P検は、公式で無料の対策ツールを多く公開してくれています。最大限に活用してITCスキルを身に付け、合格を目指してください。
P検はどの級から受けたらいい?模擬試験で現在のレベルをチェック!
「P検をどの級から受けたらいいかわからない」、「ICTスキルを自分がどの程度持っているかわからない」、という人も多いと思われます。P検公式HPから無料でダウンロードできる、模擬試験を受けて腕試しをしてみるのがおすすめです。受けてみて、「少し難しいけど頑張ればできそう」、と思う級の対策をしっかりして、受験に挑みましょう。
P検3級は社会で使える力が身につく!入社前に受けてみよう!
ここまで、P検3級について、試験概要、メリット、レベル、科目、試験対策のコツやおすすめアイテムについてお伝えしてきました。
P検は、ICTスキルを問うもので、タイピングやWordとExcelなど実践的なスキルの他、コンピューターや周辺機器の仕組みや概念の理解など幅広い知識を求められます。取得すると、大学入試の優遇や、大学の単位認定、顕彰制度など多くのメリットがあり、就職活動の場では、3級の場合「入社時に要求されるITCスキル」を認められ企業に良い印象を与えることが可能です。
P検対策では、参考書や問題集のほか、公式HPでタイピング練習や問題集、模擬試験など多くの無料対策ツールを公開していて学べる仕組みが充実しています。社会で使える力が身につくP検を、入社前にぜひ、受けてみましょう。
【2022年】IT業界で稼げる資格は?国際資格・未経験者の転職に役立つ資格の年収・職種を解説では、IT業界で稼げる資格と相性の良い職種などを紹介しています。ぜひ、合わせて読んで参考にしてみてください。