資格勉強でノートは無駄であるとか、いらないという声も聴いたことがあると思いますが、果たして本当に不要なのでしょうか。
資格勉強にチャレンジする方の中には多忙な社会人の方も多いと思います。最も効率的な勉強方法を選択したいと考えているはずです。
本稿では、忙しい方にも参考となる、資格勉強で本当に役に立つおすすめのノートの作り方と活用術についてお伝えします。
また、ノートを使うにあたっては、様々なサイズや種類のノートがありますので、状況に応じたおすすめノートについてもご紹介します。
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資格勉強でノートは本当に無駄でいらない?
資格勉強でノートは本当に無駄でいらないものなのでしょうか。
ノートがいらないとの主張は大きく分けて、作業に時間がかかって効率的でないことと、情報の信頼性が低いことが挙げられるでしょう。
作業に時間がかかり効率的でない
いざ資格勉強のためのノートを作ろう!と気合をいれて、きれいなノートを作ることにエネルギーを注いでしまっていることはないでしょうか。
学生生活を振り返ってみてください。授業のノートを「きれい」にまとめている子が必ずしも成績が良かったとは限らないはずです。
ノートを取らずに先生の話だけ聞いて「わかってしまう」トップの天才肌は別世界の人としても、成績が安定して良い人のノートがきれいであるとは限りません。
むしろ本人にしか読めない「汚い」ノートで成績がなぜか良い人もいたのではないでしょうか。
きれいなノートを作る人からは謎ですが、「汚い」ノートであっても、本人が暗記に使用したり、自分の苦手箇j所を選別してまとめたり、重要なポイントをまとめながら理解を深めている場合などが、ノートを最大限に活用しているケースといえるでしょう。
きれいなノートを作ろうと思うと、レイアウトをこうしようだとか、丁寧に記述したり色使いにも気を使ってそれだけの作業で時間がかかるものです。
この時間は趣味の時間で、勉強の時間には含まれないと考えたほうがいいくらいです。
したがって、資格勉強で無駄なノートとは、参考書やテキストに書いてあることを丸ごと「きれいに」まとめたノートのことといえるでしょう。
情報の信頼性が低い
ノートに書いてあることは100%正しい情報でしょうか。
参考書やテキストの必要箇所を一部コピーして貼り付けるのであれば、元情報として情報の信頼性はありますが、参考書やテキストに書いてあることを「書き写した」情報は、写し間違いもあるかもしれません。
日常においても、手書きの手帳に記述した予定が「正しい」とは限らないですよね。予定が変更となっているのを更新しそびれたり、そもそも元データを間違って転記していることもあるからです。
ノートに書き写した情報の信頼性は低いことも、ノートを作成するのが無駄だと主張する人の根拠となっています。
資格勉強で本当に役に立つノート活用術3つ
資格勉強にノート作成は無駄である!という主張も一理ありますが、それでもノートは効果的に使用すれば勉強の効果も上がります。
今回、資格勉強に本当に役に立つノート活用術を紹介するにあたって、ノート作成には、狭義のノート作成と広義のノート作成があると定義したいと思います。
狭義の意味では、「ノートそのもの」を用いたノート作成のことを指します。具体的には、ノートに書き込む、まとめるといった作業を行うことです。
そして、「ノートそのもの」を用いたノート作成のみならず、参考書やテキストに「note=メモ」する行為を含めたものを、広義のノート作成と定義します。
ここでは、資格勉強で本当に役に立つノートの使い方について、狭義と広義のノート作成両方の観点から3つお伝えします。
1, インプットとしてノートを活用
インプットとしてノートを活用するにはどのような方法があるでしょうか。
それは、ノートそのものに手書きして「暗記」したり、苦手箇所や重要箇所を「まとめる」ことにノートを活用することです。
処理水準効果を意識したノート活用法
心理学者のクラークとロックハートが提唱した「処理水準効果」によれば、頭をよく使う「深い」処理をするほど、記憶に残りやすくなるといわれています。
たとえば、テキストを読むのであれば、形態的処理→音韻的処理→意味的処理の順に処理が深くなっていき、記憶に残りやすくなります。
具体的には、テキストに線やマーカーを引きながら読むのは形態的処理、音読しながら読むのは音韻的処理、意味を考えながら読んだり自分で気づいた補足事項をテキストに書き込むことは意味的処理といえます。
要は、手間暇をかければかけるほど記憶に残りやすくなることを示しています。苦手箇所や重要箇所をノートにまとめることは、非常に有効であることが処理水準効果から説明することができます。
「覚える」ときは手書きがおすすめ
資格試験の勉強を始めた当初は、慣れない専門用語を理解したり覚えるのに苦労することも多いでしょう。
処理水準効果を利用したノートの有効活用を考えた場合、「覚える」ときにノートに手書きすることがおすすめです。
その際には、決してのノートにきれいに書くということを気にしないことがポイントです。
そして仮に単語などを書きなぐっただけのページであっても、日付を記入するとよいでしょう。
資格勉強が進むにつれて、ノートを振り返ったときにご自身の成長を実感できるからです。
勉強を始めた段階では要点をまとめるのに有効
資格勉強を始めた段階では、例えば章ごとの要点をまとめるのにノートの活用は有効です。
それは、手書きでノートにまとめながら、その章の全体像を頭にインプットすることができるからです。
これも、処理水準効果で説明できます。それは、まさに意味を考えながら頭を使って自分で気づいたポイントを要約してノートにまとめる作業だからです。
2, アウトプットとしてノートを活用
アウトプットとしてノートを活用する場合はどのような方法が有効でしょうか。
苦手箇所をまとめるのに活用
こちらも処理水準効果で説明できます。アウトプットに関しては、苦手箇所などをご自身でまとめるときのみ、ノート作成が役立つといえるでしょう。
問題集などで、間違えた箇所をコピーして切り貼りするのも有効です。
ここまで手間暇をかければ、苦手箇所だったかも忘れてしまうくらい、得意な箇所になるでしょう。
ただし、決してノートを作成する自分にうっとりしたり、きれいなノートを作成することを目指してはなりません。
残念ながら、うっとりしている時間は勉強時間には含まれないからです。
3, ノートは基本の参考書やテキストと併用して活用!「ノート」を使わないノート術
それでは、ご自身が中心に据えている基本となる参考書やテキストに実際に書き込んでいくこと(=note、メモする)を広義のノート活用法と捉えた、「ノート」を使わないノート術について解説していきます。
ここでのポイントは、基本の参考書やテキスト1冊に「ノート」を作成しながら学習を進め、いかに情報を集約するかということです。
苦手箇所を抜粋するためのマーカー
まず、参考書やテキストで学習を進めていく中で、ご自身にとっての苦手箇所や、重要箇所を抜粋するために、アンダーラインやマーカーを引くことが挙げられます。
なんだ、これ自体は「ノート作成」とは違うではないか、と思われるかもしれません。
しかしながら、先ほど述べた「処理水準効果」で説明するならば、考えながらマーカーを引くこともインプットの段階で役に立つ作業です。
付せんを活用して情報を補足する
メインで使用しているテキスト以外にも、サブで使用している参考書やテキスト、問題集などから得られる情報もあるでしょう。
あるいは、新聞やインターネットの最新情報で資格試験に関連する情報もあるかもしれません。
テキストの欄外に情報を補足するために書き込むのと合わせて、スペースがない場合やレイアウトの見映え上、付せんを利用するのが効果的です。
ご自分で気づいたことやご自分の意見などをテキストにある記述と分けて示したい場合や、重要箇所を自分で要約したメモなども付せんを利用するのが良いでしょう。
付せんのメリットは、不要になったら(ご自身の理解が完璧になったときなど)はがして処分できるので達成感もありますね。
問題集の問題に理解度を記録
アウトプットでは、問題集に手をつけ始めた方は、ご自分の理解度を一目見てわかるように日付と印をつけるのが良いでしょう。
完全に理解して〇だった場合には〇をつけ、解説を見て理解できた箇所は☆、解説を見ても完全に理解できなかった箇所には△をつけるなど、ご自身でルールを決めて一貫して継続することです。
問題に取り組んだ日付を上部に書き込むのも大切です。1巡目、2巡目、3巡目・・・と勉強するのは大切ですが、自分の理解している箇所を何度も同じように勉強する必要はありません。
試験直前にはすべての項目の確認は必要ですが、それまでの2巡目、3巡目・・・の段階では、☆や△の箇所のみのアウトプットを行って確認をすれば十分です。
ルーズリーフでもOK? 場面に応じたノートの使い分け方
これまで解説してきたように、ノートを有効活用するには、自分にあった資格勉強の方法や、場面ごとに様々あるということがわかりました。
日本で一般的に最も多く使用されているノートのサイズはB5サイズですが、他にも様々なサイズや種類があります。
簡単に特徴とおすすめの使い方を紹介します。
- B5サイズのノート
- A4サイズのノート
- レターサイズのノート
- リング型のノート
- ルーズリーフ
- 付せん
- レターサイズのメモノート
- その他
B5サイズのノート
日本では、小学生の頃から使われている最もなじみのあるサイズであり、文房具屋でもノートのコーナーはほとんどこちらのノートで占められています。
メリットはなんといっても、持ち運びに便利であることや、科目や目的ごとに使い分けやすいことです。
苦手箇所をまとめたりする際には、見開き2ページを使うとよいでしょう。
A4サイズのノート
学校でもオフィスでも、配布書類に多く使われるサイズです。
B5サイズだと計算式が途中で次のページに書かなくてはならないなど、ページをあまりめくりたくない場合に役立ちます。
B5サイズで見開き2ページにまとめるには狭いなど、大きなスペースを存分に使ってまとめるのにも最適です。
レターサイズのノート
北米で一般的に使用されているサイズです。大きさとしてはA4 210 × 297(mm)を少し正方形に近づけたサイズ 215.9 × 279.4(mm)です。
ノートであればリング型が一般的です。したがって見開き2ページでまとめる際にはリングが邪魔になりますが、1ページでも十分な大きさがあります。
資料を切り抜いて貼ったりすることが多い場合には、リングのおかげでかさばりにくいことが良い点です。
小型サイズのノート
A5サイズ以下のノートなど、子バッグやポケットにも入るノートも、思いついたときにメモを取れたり、スキマ時間に書いて覚えたいといった時に役立つでしょう。
リング型のノート
ノートの閉じるところがリングになっているノートは、後からコピーした資料や問題を自分で整理して貼り付けていく場合に有効です。
紐や糊で閉じてあるノートに資料を張り付けていくとどうしてもパカっと開いてしまうからです。
ルーズリーフ
こまめにルーズリーフにまとめるのが得意な方はルーズリーフもおすすめです。
ルーズリーフを持ち歩き、まとめたものを整理できるからです。ただし、きれいに書くことに注力しすぎないようにしましょう。
付せん
付せんは資格勉強において、使用しない人がいないと思われるほど有効なツールです。
ノートであってもテキストや問題集であっても、どこにでも後から追加したいことを貼れるうえ、暗記してしまったなど不要となれば外すこともできるからです。
大きめの付せんは、ご自分で要約したメモを作成するにに利用できますし、小さい付せんは「見直し」専用や、「本日やる場所」を示すために利用している方も多いと思います。
ご自分にあった付せんを、大小さまざまそろえておきましょう。
レターサイズのメモノート
レターサイズのメモノートも、北米で一般的に使われているものです。
色は再生紙を使っているため、薄黄色に着色されたものが多いです。
紙質は決していいわけではありませんが、暗記するのに書きなぐったり、思いついたことをメモしたりまとめたり、不要となればピリピリとそのページだけ取り外せます。
Amazonなどでもまとめ売りをしていますので、気になった方はチェックしてみてください。
その他
例えば暗記するために書いて覚えたい!という場合に、レターサイズのメモノートも使い勝手は良いですが、裏紙などでも十分です。
書いて覚えて、覚えたら捨てる!ということで達成感を得られる場合には、きれいなノートやメモノートは不要ですので、裏紙などを使ってみてください。
資格勉強で本当に役に立つノートの作り方まとめ
今回は資格勉強で本当に役に立つノートの作り方について紹介しました。
ノートの作り方には、実際にノートそのものを使用する狭義の利用方法と、基本となる参考書やテキストを中心にノートを併用したり、テキストそのものに情報を集約していくといった広義のノートの作り方があることがわかりました。
資格勉強に無駄なノートとは、このようにいえるでしょう。
- 参考書やテキストに書いてあることを丸ごと「きれいに」まとめたノート
- 情報の信頼性が低いノート
ノートを活用するには、処理水準効果を用いたインプットやアウトプットが有効であることから、次のことがいえるでしょう。
- 「覚える時」にはノートに手書きがおすすめ
- 要点をまとめたり、苦手箇所を自分の言葉で要約するにはノートに手書きがおすすめ
そして、ノートは次のように基本の参考書やテキストに情報を集約させるのがおすすめです。
- テキストの中で苦手箇所をマーカーで抜粋する
- 自分の要約や重要情報を付せん等を活用してテキストに補足する
今回紹介した「ノートの作り方」は、ノートなんて無駄!不要である!と主張する人をもうならせる、折衷案ともいえるのではないでしょうか。
ぜひこれらを参考にご自身に合った方法を見つけ出してみてくださいね。