「危険物取扱者として働きたいけど年収ってどれくらいなの?」
「資格を取得するメリットと年収の目安を知りたい」
このような疑問にお答えしつつ、以下の内容を解説します。
- 仕事内容と職場の例
- 職場別の年収目安
- 資格を取得するメリット
結論からいうと、危険物取扱者の平均年収は500万円前後です。ただし職場や仕事内容によって異なるので、記事内の解説を参考にしてみてください。
これから資格取得を目指す方だけでなく、すでに資格を持っていてキャリアチェンジを考えている方にも役立つ内容です。
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危険物取扱者の仕事内容は?主に3つの内容がある!
危険物取扱者の仕事内容は、大きく分けて以下の3つです。
- 危険物の使用
- 危険物の運搬
- 危険物の管理
上記の1つだけ該当する場合やすべて該当する場合など、職場によって変わります。それぞれの詳しい仕事内容を見ていきましょう。
①危険物の使用
危険物を使用する職場では危険物取扱者の任命が必要です。
職場の例としては、ガソリンスタンドや工場、化学薬品の研究所などがあります。
危険物を扱う場合は、該当する危険物取扱者の資格を持っていなければなりません。資格を持たない人が従事する場合は、有資格者の立会いのもと行うことが義務付けられています。
②危険物の運搬
危険物の運搬を行う場合も、危険物取扱者の資格が必要です。運搬とは、以下のようなものが当てはまります。
- タンクローリーでの運搬
- フォークリフトでの運搬
- 車の荷台に乗せての運搬
- 手押し台車での運搬
- 容器を持っての運搬
すべてにおいて該当危険物に適した資格が必要です。上記で挙げたように、大型自動車免許やフォークリフト免許と掛け合わせることで、仕事の幅が広がるケースもあります。
③危険物の管理
危険物を保管する施設では、危険物保安監督者を配置しなければなりません。危険物保安監督者の条件は、保管する危険物に適当な種類の、危険物取扱者資格(甲種または乙種)を持った人です。
保管施設は大規模なものから、身近なものまでさまざまな施設があります。
- 石油プラント
- 化学薬品工場
- ガソリンスタンド
- ホテル、旅館
- 病院、介護施設
入浴設備がありボイラーを必要とするところは、危険物取扱者の資格を持った人が必要と覚えておきましょう。
危険物乙種第4類(通称:おつよん)の受験者が多い理由も、ボイラーに使うガソリンや軽油が該当しているためです。
政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、甲種危険物取扱者(甲種危険物取扱者免状の交付を受けている者をいう。以下同じ。)又は乙種危険物取扱者(乙種危険物取扱者免状の交付を受けている者をいう。以下同じ。)で、六月以上危険物取扱いの実務経験を有するもののうちから危険物保安監督者を定め、総務省令で定めるところにより、その者が取り扱うことができる危険物の取扱作業に関して保安の監督をさせなければならない。
消防法第13条
危険物取扱者の就職先は?危険物を扱う職場の例を紹介!
危険物取扱者の就職先は、おもに以下の7つです。
- ガソリンスタンド
- 各種工場
- タンクローリー運転手
- 販売所
- ビルメンテナンス業務
- 入浴設備のある施設
- 消防士
どういった点が該当するのか、それぞれ簡単に解説します。
ガソリンスタンド
危険物取扱者の仕事として一番に思い浮かぶのはガソリンスタンドではないでしょうか。ガソリンスタンドは引火性液体を扱うため、乙種第4類の有資格者を配置する必要があります。
アルバイトや正社員の求人も多く、危険物取扱者の資格を持っていれば就職を有利に進めることが可能です。
各種工場
石油や化学薬品の製造・管理をする工場はもちろんですが、食品や家電などの工場でも危険物取扱者は必要とされます。
油圧機器のオイルやボイラーの燃料など、ほぼ全ての工場で危険物を扱っていると言っても過言ではありません。また工場の規模が大きくなれば、保管施設ごとに保安監督者の配置が必要になります。
タンクローリー運転手
危険物取扱者の資格だけでなく、大型車運転免許も必要になる特殊な仕事です。すでに免許を持っている人であれば、危険物取扱者資格と併わせることで仕事の幅が広がります。
販売所
販売所とガソリンスタンドの違いは、容器に入れて販売するか直接給油するかです。
危険物の規制に関する政令では、以下のように定義されています。
- 販売取扱所:店舗において容器入りのままで販売するため危険物を取り扱う取扱所
- 給油取扱所:給油設備によって自動車等の燃料タンクに直接給油するため危険物を取り扱う取扱所
容器に入った有機溶剤や塗料を、店舗で販売する場所が該当します。
ビルメンテナンス業務
ビルメンテナンス業務では、危険物取扱者資格を持っていることで就職に有利な場合があります。複数のビルを管理している会社であれば、入浴やシャワー施設のあるビルが対象になるからです。
業務に必須の資格ではありませんが、資格を持っていることで実務に活かせるでしょう。
入浴設備のある施設
ボイラー用の燃料が指定数量を超える場合、危険物保安監督者の配置が必要です。
規模によって異なりますが、以下のような入浴設備のある施設も危険物取扱者の需要があります。
- 病院
- 介護施設
- 温泉施設
- ホテル・旅館
- インターネットカフェ
消防士
消防士は危険物取扱者の資格取得を、義務付けられている訳ではありません。しかし火災現場や災害現場で、危険物を保管・使用していた場合、危険物取扱者資格の知識が多いに活かせることでしょう。
消防署によっては救急車や消防車への給油設備、いわゆる自家用給油取扱所を設置している場合もあります。その際は危険物保安監督者の配置が必要です。
危険物取扱者資格取得者の年収は?職場によって差があるので注意!
前項で解説したように、危険物取扱者が求められる職場は幅広く、年収もそれぞれ違ってきます。
以下の表はそれぞれの職種による、正社員の平均年収をまとめたものです。
職種 | 正社員平均年収 |
---|---|
ガソリンスタンド | 約342万円 |
消防士 | 約640万円 |
生産技術 | 約467万円 |
設備保全 | 約423万円 |
ビルメンテナンス | 約360万円 |
大型トラック運転手 | 約413万円 |
参照:総務省 平成31年地方公務員給与の実態
上記の通り職種によって大きな差があります。資格を取っただけでは収入には反映されず、職場や担当業務、手当によっても変わるので注意が必要です。
全体の平均は?約500万~600万円!
危険物取扱者の資格保有者を募集している求人などを比較すると、全体の平均年収は約500万〜600万円であることが多いようです。
危険物取扱者資格と関わりが強い業界の平均年収を、以下の表にまとめました。
業界 | 平均年収 |
---|---|
医薬品 | 約775万円 |
石油・石炭製品 | 約770万円 |
電気・ガス | 約709万円 |
化学 | 約646万円 |
機械 | 約625万円 |
鉄鋼 | 約624万円 |
ゴム製品 | 約599万円 |
陸運業 | 約599万円 |
上記はあくまで上場企業の平均年収ですので、企業によっては若干低くなる場合もあります。
危険物取扱者甲種と乙種の年収は違う?種類よりも職場が重要
危険物取扱者の甲種は、全6種類ある乙種に該当する危険物の扱いが可能です。そのため甲種を必要とする職場であれば、乙種保有者よりも任される範囲が広く、年収も高くなる傾向にあります。
資格の種類 | 危険物の種類 |
---|---|
甲種 | 乙種に該当するものすべて |
乙種第1類 | 酸化性固体 |
乙種第2類 | 可燃性固体 |
乙種第3類 | 自発発火性物質および禁水性物質 |
乙種第4類 | 引火性液体 |
乙種第5類 | 自己反応性物質 |
乙種第6類 | 酸化性液体 |
ただし職場に必要とされているかが重要です。甲種を持っていても乙種第4類しか必要とされない場合や、乙種の中でも異なる種類を必要とされる場合があります。これから資格取得を目指す場合は、就職先や現在の職場に必要な資格はどれかを見極めるようにしましょう。
危険物取扱者タンクローリー運転手の年収は?平均350万円前後
危険物取扱者であり、タンクローリーの運転手を勤める場合の年収は、平均350万円前後といわれています。ただし運転する距離や運搬物の種類、残業や手当によっても変化するので一概にはいえません。
ちなみにタンクローリー以外も含む、営業用大型貨物自動車運転者の平均年収は約453万円です。
危険物取扱者の資格を取得するメリットは?就職先候補が広がる!
危険物取扱者の資格を取得するメリットは、なんといっても就職先候補が広がることです。
危険物取扱者は人々の生活に欠かせないインフラを支えています。電気を作る発電所や製品を作る工場、移動手段である車の燃料など、危険物取扱者が活躍する場面はこの先も無くならないでしょう。
危険物取扱者の年収は平均約500万円前後!就職先によって大きく異なる
危険物取扱者の年収は平均約500万円前後、ただし就職先の手当や業務内容によって大きく異なります。
最後にもう一度、本記事の内容を確認しましょう。
- 危険物取扱者の仕事内容は3つ「使用・運搬・保管」
- 就職先は多岐に渡り、年収も職場や業界によって異なる
- 甲種と乙種は種類よりも、職場に必要かどうかが重要
- 一例としてタンクローリー運転手の年収は平均350万円前後
- 危険物取扱者の資格を取得するメリットは、就職先候補が広がること
すでに解説した通り、危険物取扱者は生活インフラを支えるために重要な人材です。キャリアアップや転職に有利な資格であることは間違いありません。
危険物取扱者の資格を一発で合格したい方は、通信・通学講座の受講もおすすめします。キャリアの支えとなる危険物取扱者を取得したい方向けに、最適な講座を以下にまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。