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衛生管理者の受験資格が知りたい!高卒で実務経験なしでも申し込み可能?

職場で、「働いている人達が健康で快適に仕事をしてもらうためにはどのようにしていけばよいのか?」を考えて実行するのが衛生管理者の仕事です。

どのような業種でも職場環境が悪化すると、従業員の健康に被害が及ぶ可能性がとても高くなります。近年、このような職場環境の改善が多方面で求められており、そのための取り組みを積極的に行う企業も増えています。

例えば、「衛生管理者」は、職場環境の中で健康に被害が及ぶような問題を見つけて改善する取り組みを担う役割が期待されています。

具体的には、健康診断の実施と報告書の作成、労働環境の改善のために労働者の意見を聞き、会社に対して改善提案を行うほか、職場環境の調査や労働者への教育、使用する用具の点検など、社内での実施の段取りを行い、それらの管理を行います。

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衛生管理者の受験資格が知りたい!実務経験なしでもOK?

衛生管理者試験の受験資格としてはさまざまな条件が決められており、そのうちのどれかに該当し、なおかつ条件ごとに決められた添付書類を用意できれば受験ができます。

代表的な受験資格としては以下のものがあります。

学校教育法による大学または高等専門学校を卒業している者

学校教育法による大学又は高等専門学校(専修学校・各種学校等除く)を卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験があること。

10年以上の実務経験者

衛生管理者試験は最終学歴がどのようなものであっても労働衛生の実務経験が10年以上あれば受験できます。この場合の提出書類は事業者証明書のみとなります。

10年以上の労働衛生の実務に従事した経験があること。

省庁大学校を卒業している者

省庁大学校(防衛大学校・防衛医科大学校・水産大学校・海上保安大学校・気象大学校等)を卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験があること

高等学校卒業程度認定試験に合格した者

高等学校卒業程度認定試験に合格した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験があること

学校教育法による高等学校又は中高一貫教育学校を卒業している者

衛生管理者試験は最終学歴が高等学校、もしくは中等教育学校の卒業であっても受験できます。ただし、この場合労働衛生の実務経験は3年以上積む必要があります。また、この場合も卒業証明書と事業者証明書の提出が必要です。

学校教育法による高等学校又は中高一貫教育学校を卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験があること

その他

これら以外にも衛生管理者試験の受験資格としてはさまざまな条件が取り決められています。そのため、これらの条件に当たらない方であっても受験資格を満たしている可能性がありますので、詳しくは安全衛生技術試験協会が発表する最新の情報を確認してください。

上記の受験資格を簡単にまとめると、一般的な大学や省庁大学校を卒業した者は1年以上の労働衛生の実務経験があること、高等学校等を卒業した者は3年以上の労働衛生の実務経験が必要ということ、最終学歴に関係なく労働衛生の実務経験が10年以上あることです。

受験の申請には卒業証明書の原本又は卒業証書の写し、事業主証明書が必要です。各種書類の発行に時間がかかることもあるので、受験をする際には余裕を持って用意をしておくことをお勧めします。

衛生管理者試験の免除について

厚生労働省によれば、保健衛生に関する学科を専攻して卒業し、労働衛生に関する講座又は学科目を修めた方は試験が免除されます。

例えば、全国の大学において、体育スポーツ系、医療保健系、社会福祉健康系といった系統を学ぶ大学では、厚生労働省によって「衛生権利者資格」が取得できると認定された学部学科があります。

大学にもよりますが、労働基準法、労働衛生法規、生理学、病理学、産業保健学、保健衛生学、環境衛生学、救急処置論、スポーツ医学といった科目を5-10科目取得(およそ20単位、学習時間に換算すると900-1000時間)するのが目安となっているようです。

ご自分が大学生で関連した学部に所属していたら、単位取得を効率的に取得して、衛生管理者の資格を取得するとよいでしょう。

取得可能な大学の一覧は、厚生労働省の公式ウェブサイトから確認できます。

 

衛生管理者の実務経験とは?主な6つの業務

衛生管理者の受験資格条件として「実務経験」がありますが、これは事業場代表者に証明してもらって初めて受験資格として認められるもので、10年以上、労働衛生の実務に従事した経験が必要です。

ここでは衛生管理者受験するにあたって求められる実務経験を紹介しましょう。

1, 試験研究機関における業務

衛生管理者資格の受験条件にある実務経験の一つが「労働衛生に関する試験研究機関における業務」と「作業主任者としての業務」です。

これには、「高圧室内作業主任者の免許所有者」や「特定化学物質等作業主任者の技能講習修了者」、「鉛作業主任者の技能講習修了者」「酸素欠乏危険作業主任者の技能講習修了者」なども該当します。

2, 衛生上の調査や改善業務

「作業環境の測定、作業環境の衛生上の調査の業務」や「事業所の作業条件や施設の衛生上の改善の業務」も実務経験に含まれます。

言葉から専門的な業務を連想しがちですが、一般的なオフィスの清掃やデスク周辺の整理整頓などについても十分当てはまります。また給湯室やロッカールームの掃除なども該当します。

3, 統計作成や労働衛生保護具等の整備

「労働衛生の統計作成に関する業務」「労働衛生保護具、救急用具などの点検や整備の業務」についても実務経験に該当します。

たとえば労働者の健康や安全を記録する衛生日誌の記載は「労働衛生の統計作成に関する業務」にあたり、呼吸用保護具や化学防護手袋、化学防護服、保護メガネなどの整備は「労働衛生保護具、救急用具などの点検や整備の業務」に該当します。

4, 公的機関での業務

公的機関の業務も衛生管理資格受験にあたって必要な実務経験になります。たとえば自衛隊で衛生担当者として従事した経験や、衛生隊員としての業務経験があれば受験資格となるのです。

また自身が自衛隊員でなくても、自衛隊における看護師や准看護師の業務としての経験があれば該当し、保健所職員のうち、試験研究に従事する人も条件に当てはまります。

5, 建築物に関する業務

公的機関の業務も衛生管理資格受験にあたって必要な実務経験になります。たとえば自衛隊で衛生担当者として従事した経験や、衛生隊員としての業務経験があれば受験資格となるのです。

また自身が自衛隊員でなくても、自衛隊における看護師や准看護師の業務としての経験があれば該当し、保健所職員のうち、試験研究に従事する人も条件に当てはまります。

6, 健康診断と教育に関する業務

「職場の健康診断実施」や「診断結果の処理業務」も、衛生管理者資格受験の条件を満たせます。これは一般的な企業で定期的な実施される健康診断の調整業務を意味しており、専門的な医療に関する資格を有す必要もありません。

また職場内の衛生教育の企画やその実施に関係する業務においても、実務経験となります。

衛生管理者になるにはどうしたらいい?基礎情報を解説

衛生管理者とは、受験資格を満たし試験に合格することで、その資格を取得した人のことを指します。この衛生管理者は、50人以上の従業員が働いている事業場では1人以上配置することが法令で義務付けられており、これに違反した場合、50万円以下の罰金が科されることが労働衛生基準法で定められています。

衛生管理者を置く必要がある事業場とは、個々の支店や支社、店舗などを指すことから、例えば50人以上の従業員が働く支店が複数ある会社の場合、会社全体で1人の衛生管理者を選任するのではなく、支店ごとに衛生管理者を選任しなければなりません。

また、選任しなければならない衛生管理者の人数は従業員の人数に比例するようになっており、従業員数が201人以上~500人以下であれば2人、従業員数が501人以上~1,000人以下であれば3人といったように徐々に多くなります。よって、会社の規模を拡大していくとひとつの事業場だけでも衛生管理者の人数を増やさなければならないため、注意が必要です。

衛生管理者として選任する人が決まったら、所轄の労働基準監督署へ報告する必要もあります。この報告は衛生管理者を選任しなければならない理由が生じた日から換算して14日以内に行わなければならないため、例えば新入社員を迎えることで従業員が50人を超える場合は、新入社員の入社日前から衛生管理者を選任するなどし、期限を過ぎてしまわないよう注意しなければなりません。

以上のように、衛生管理者とは法令上で選任・報告が義務付けられている重要な役職であり、事業場ごとに資格保有者を採用する必要があります。

第一種衛生管理者と第二種衛生管理者

衛生管理者になるためには、試験に合格し資格を取得しなければなりませんが、衛生管理士の資格は2種類存在し、それぞれで権限に違いがあることから取得前からしっかりと確認しておかなければなりません。それら2種類の違いについて説明します。

第一種衛生管理者

第一種衛生管理者は全ての業種に対応できる、衛生管理者の上位資格です。

このことから、例えば衛生管理者の資格を取得して就職したい場合には、第一種衛生管理者の資格取得を目指すのがおすすめです。

また、将来的に衛生管理者として転職することを考えている場合にも評価が高まる、第一種衛生管理者の資格取得を目指すのがよいでしょう。

第二種衛生管理者

全ての業種に対応している第一種衛生管理者に比べ、第二種衛生管理者は有害業務との関連が比較的少ない金融業、保険業、卸売業、小売業などの一部の業種にて衛生管理者として働くことができます。業務で必要な場合にまずは第二種を取得するのもよいでしょう。

しかし、農林畜水産業、鉱業、建設業などをはじめとした有害業務を行うことも多い業種で衛生管理者として働くには、第二種衛生管理者の資格のみ保有では認められていません。

したがって、これらの業種への衛生管理者としての就職を希望される方は第一種衛生管理者の資格取得を目指すのがよいでしょう。

衛生管理者の役割と仕事内容

従業員が50人を超える事業場で選任が義務付けられている衛生管理者。その役割としては以下のものがあります。

労働者が安全に働くための管理業務

衛生管理者の役割のひとつとして、労働者が安全に働くための職場環境の整備・管理があります。衛生管理者には毎週1回職場全体を巡視し、設備や作業方法、衛生状態に問題があれば、すぐに対策を講じることが義務付けられています。

また、職場の規模によっては週1回の巡視だけでは、作業員の健康に被害が及ばないだけの十分な安全を確保することが難しい場合もあるため、職場環境に応じた臨機応変な対応によって常によい状態を保つ必要もあります。

作業管理と健康管理

従業員が安全に作業を行えるようにするためには、環境の改善だけでなく、作業方法や作業で使う道具の安全性に関しても十分な管理が必要です。これらを作業管理と呼びますが、これらは衛生管理者に割り当てられた役割となっています。

また、職場では健康診断の結果から従業員の健康状態を把握しますが、現在では個人情報保護の観点から、限られた人材しか社員の健康診断結果を見ることができません。

衛生管理者にはこれを見る権限が与えられており、その内容を基に従業員の健康管理をすることもまた衛生管理者の役割となっています。

健康の保持・増進のための取り組み

衛生管理者には従業員に健康の保持・増進を促す役割も割り当てられています。例えば、産業医との面談が必要と判断された従業員の面談日程の調整のほか、健康診断結果から統計を作成し、従業員全体にどのような健康面での取り組みが必要であるかを通知するのは、衛生管理者の業務となります。

衛生管理者資格取得のメリットは?

1. 転職が有利になる

コンプライアンス経営が叫ばれている今日では、有資格者が不足している企業にとって、資格取得者はのどから手が出るほど欲しい人材と言えます。

一般に難易度が高いといわれる衛生管理者の免許を持っていることで、一定の評価をもらえることも多いようです。

2. 管理職への道が開ける

企業によっては、資格取得を昇進への必要条件とされている企業も多く、特に人事・総務系の管理職にとっては必須の資格ともいえるでしょう。

実際に資格取得を機に管理職に昇進ということも有りうる現状があります。

3. 資格手当がもらえる

企業に求められる必置資格なので、ほとんどの企業で取得者に資格手当が付与されます。

難易度の比較的高い資格を取得することが「自分もやればできる」という自信につながり、周囲にもいい影響を与えるでしょう。

 

衛生管理者の受験資格まとめ

どのような職場であっても、そこで働く従業員は自分に与えられた仕事をこなすことだけで精一杯なことが多いため、職場環境の問題点を見つけ出し、それらを改善するだけの余裕はないことがほとんどです。

しかし、問題がある状態で仕事を続けていれば、従業員に健康被害が及ぶことになるでしょう。それは会社にとっても大きな損失です。

衛生管理者とは、このようなことを防止するために職場環境を整備する上で、非常に重要な存在です。従業員が気持ちよく働ける職場は魅了的です。劣悪な環境下で仕事をさせる「ブラック企業」とみなされないためにも、その社会的ニーズは今後も高まるといえるでしょう。