FP3級は国家試験の中でも比較的易しい資格といわれています。
果たして、合格するためにはどれほどの勉強時間が必要なのでしょうか。
本記事ではFP資格の難易度や合格率、学科試験の概要、勉強にかかる時間やテーマごとに必要な勉強時間について紹介します。
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FP3級合格に必要な勉強時間はどれくらい?
FP3級の勉強時間は「資格取得後の目的」や「これまでの経験」によって変わります。
この章では、FP3級の合格に必要な勉強時間について、複数の場合にわけて説明します。
FP3級合格だけなら10時間も可能?
FP3級の合格を単に目指すのであれば、過去問を中心に出題される傾向の高い問題など優先度の高い問題に注力して勉強すれば、10時間程度の勉強時間で合格できることもあるでしょう。
ただし、それはレアなケースであり、やはり金融機関勤務者であったり、大学で金融について勉強をしたことがあるなど、経験者の方である可能性が高いでしょう。
もちろん、初心者でも可能ですが、知識をインプットして定着を短期間でさせていくためには、ある程度まとまった時間を確保して集中して取り組む必要があります。
仮にFP3級合格だけを目標とし、最短の勉強時間で合格した場合、知識の基本となる骨格は獲得できたといえます。
しかしながら、FPとして将来の顧客のために的確なアドバイスを実務で行っていくためには、毎年変更する法律や税制などをチェックするのはもちろん、試験後も継続して勉強することが求められます。
FP3級を実務に活かすために網羅するなら120時間
繰り返しになりますがよほどの経験者でない限り、FP3級の知識を十分に理解して試験に臨むためには、平均して120時間ほどの勉強時間は必要です。
FP3級の試験は年に3回実施されていますので、試験日から逆算して、ご自身のライフスタイルに合わせて勉強をスタートさせると良いでしょう。
たとえば、120時間という標準時間を目安に、ご自身が1日あたりで勉強できる平均的な時間で割ることで、勉強時間やFP3級合格までのスケジュールをたてることができます。
これまでの経験やFP3級取得後の目的によっても勉強時間は異なる
金融機関で勤務されている方など、現時点で関連業務に携わっている方であれば、FP3級の合格は容易であり、独学で10時間の勉強時間でも合格できる方もいるでしょう。
完全な初心者は、ゼロからの勉強になるので、より効率的、網羅的に学習できる資格講座がおすすめです。
FP3級の難易度と合格率
前章でも触れた通り、FP3級は難易度が低い資格試験です。
ここからはFP3級の難易度について、実際の合格率データを参考に説明していきます。
筆記試験の合格率
他の国家資格と比べても、FP3級資格の難易度はそれほど高くありません。
その理由は三点です。一つ目は、学科試験の出題形式としてマークシート方式が採用されていることが挙げられます。
60問中30問が2択問題であり、30問が3択問題であるほか、〇×で回答する形式となっています。
二つ目は、基本的な問題が多くひっかけ問題が少ない点が挙げられます。
テキストをしっかりと勉強して理解を深めたうえで過去問演習を行って問題傾向を掴んでおくことで対応することが可能です。
三つ目として挙げられるのが、試験が年3回実施されていることです。
FP3級取得を思い立ったらすぐに勉強を始めて試験に挑戦できる環境がある点は合格の機会が多いといえるでしょう。
多くの国家試験が年一回の試験であるのに比べると、仮に不合格であったとしてもすぐに数か月後に試験を受けられることから、チャンスは多いといえるでしょう。
筆記試験の合格率はきんざいで60%程度、日本FP協会では85%程度となっています。以下詳しくみていきます。
きんざいの合格率
まず、筆記試験の直近1年間の合格率推移をみてみましょう。69.3%(2020年9月)、63.8%(2021年1月)、47.8%(2021年5月)と減少傾向にあるため、きんざいの筆記試験は難化傾向にあるとも考えられます。筆記試験合格後のきんざいの実技試験は、個人資産相談業務と保険顧客資産相談業務のいずれかを選択します。個人資産相談業務の合格率推移は、35.3%(2020年9月)、58.7%(2021年1月)、59.7%(2021年5月)となっており、保険顧客資産相談業務の合格率推移は、56.2% (2020年9月)、56.0%(2021年1月)、47.8%(2021年5月)となっています。合格率は受験する回によってばらつきがありますが、筆記試験を突破した半数以上が実技試験に合格をしている計算となります。
日本FP協会の合格率
日本FP協会の合格率はどうでしょうか。直近1年間の筆記試験合格率推移は、89.6%(2020年9月)、87.9%(2021年1月)、83.3%(2021年5月)であり、合格率が高いことがわかります。実技試験においても、88.0%(2020年9月)、86.5%(2021年1月)、76.7%(2021年5月)と少々減少傾向ではありますが高い合格率といえるのではないでしょうか。
効率よく体系的に学びたいなら資格講座がおすすめ
FP3級が国家試験の中で比較的合格しやすいといわれても、受験者の多くは銀行、証券会社や保険会社などの金融機関に勤務している方であったり、勤務先で日常的にFP資格が必要とされている業務に従事している方が多いと考えられます。合格率をみても受験する回によって変動があることから、出題された問題によって実務経験者にとっては容易に回答できる問題であっても、初心者には回答が難しいこともあるでしょう。これから新たにFPの分野を学ぼうとする初心者の方には、効率よく体系的に学ぶことのできる資格講座を受講することをおすすめします。資格講座のパターンとしては、スクールに通って講座を受講するか、通信講座を利用して学ぶ方法の2つがあります。
資格講座のメリット
資格講座を受講するメリットとしては、やはりFP3級合格その道に通じた講師の方、あるいは講座から効率的に体系だった学びを受けることができることです。通いであれば、一緒に勉強する仲間がいる環境の中で決まった時間に集中して勉強時間を確保することができるでしょう。通信講座も同様に、体系だった学びを講座の中で受講することができ、課題の提出などが課されることから理解度チェックをしながら学習を進めることができる上、担当講師に質問もできることから独学よりも効率的に学ぶことができるでしょう。昨今では、対面のみならずオンラインを併用したハイブリッド型や、オンライン通信講座においても同期型のほか非同期型(オンデマンド配信)なども工夫されていることから、ご自身に合った方法を受講して効率的に学習をすることが可能です。
資格講座のデメリット
資格講座受講のデメリットとしては、講座受講にあたって受講料が必要な点でしょうあ。通いであれば決まった時間を確保する必要がある上、休んでしまった場合は結局その分を振り替えたり、自主学習で補完する必要があります。仕事が忙しいなど、スケジュールどおりに継続できなかった場合にあきらめてしまわないよう、FP3級に合格したい!という強い意志が必要です。通信講座の場合は、独学で学ぶことに近いといえるでしょう。気をつけるポイントとして、例えば期限の迫った課題をやっつけ仕事で行ってしまったり、課題を提出できないなど講座で決められているスケジュールどおりにこなせなかった場合、喪失感をもってしまったり一気にやる気がなくなってしまう可能性もある点に注意が必要です。資格講座の受講にあたっては、受講料で決めるのではなく、ご自身にとってどのような方法が最も効率的であるかを入念に検討し、強固な意志を持って受講する必要があるでしょう。
FP3級学科試験の科目別勉強時間と勉強方法について
FP3級学科試験の科目は大きく分けて、ライフプランニングと資金計画、年金・社会保険、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継の6分野に分かれます。ライフプランニングと資金計画はFPとしての心構えなど導入にあたる科目であるといえるでしょう。どの科目もしっかりと勉強時間を確保しなくてはならないのは当たり前ですが、最も勉強時間を多く確保して理解を深めるべき科目は、金融資産運用とタックスプランニングの2科目です。その次に、不動産と相続・事業承継に力を入れていきましょう。テキスト・過去問を利用した標準勉強時間を120時間と想定し、以下に科目ごとの詳細を記します。
ライフプランニングと資金計画
FP3級の導入科目であるライフプランニングと資金計画では、ファイナンシャル・プランニングと倫理、ファイナンシャル・プランニングと関連法規、ライフプランニングの考え方・手法、ライフプラン策定上の資金計画、ローンとカード、そしてライフプランニングと資金計画の最新の動向について学びます。勉強時間目安は5時間です。
年金・社会保険
年金・社会保険関連は、ライフプランニングと資金計画の流れの中で、年金、社会保険のほか、公的年金、企業年金・個人年金、年金と税金について学習していきましょう。勉強時間目安は5時間です。
リスク管理
リスク管理に関する科目としては、リスクマネジメント、保険制度全般、生命保険、損害保険、第三分野の保険、リスク管理と保険、そしてリスク管理の最新の動向について学んでいきます。昨今の巧妙な詐欺手口についてもオンライン・オフライン共にいつでもアドバイスできるよう、時事的な動向を注視しておきましょう。勉強時間目安は5時間です。
金融資産運用
金融資産運用については、昨今インターネットの普及に伴い、個人投資家が増加しているといわれる中、個人が商品ごとの特性やリスクが不十分なまま投資を行っているケースも垣間見られます。FPとしてアドバイスをする中でも商品特性やリスク、昨今の世界情勢等十分な理解が求められることから、しっかりとした取り組みが必要でしょう。金融資産運用に関する科目には、マーケット環境の理解、預貯金・金融類似商品、投資信託、債券投資、株式投資、外貨建て商品、金融派生商品、ポートフォリオ運用、セーフティネット、保険商品、金融商品・資産運用に関連する税金と法規、金融資産運用の最新の動向があります。他科目との関連性を意識しながら繰り返し学習することが大切です。勉強時間目安は35時間です。
タックスプランニング
タックスプランニングに関しても、税制は毎年変更となることから、ご自身のFP3級受験回の対象となる税制をまずは抑えて、筆記試験と実技試験を同時に受験して合格することが最も効率的でしょう。FP3級に合格した後も、毎年変わる税制はしっかりとおさえて、勉強し続ける姿勢が重要です。なぜなら、将来のあなたの顧客にその時点での税制を過去の税制と混同することなく適切なアドバイスをする必要があるからです。勉強時間を多く割く科目であり、税制の変更となるポイントについても学習しましょう。タックスプランニングに関する科目には、以下が該当します。日本の税制、所得税の仕組み、各種所得の内容、損益通算、所得控除、税額控除、所得税の申告と納付、個人住民税、個人事業税、保険と税金、金融商品と税金、不動産と税金、タックスプランニングの最新の動向です。こちらの科目も他科目との関連性を紐付けながら学習していきます。勉強時間目安は30時間です。
不動産
不動産に関しては、一般の個人であれば一生に数回ある大きな取引です。マイホーム購入や相続などと絡んでアドバイスるするケースが多いでしょう。不動産に関しては、不動産の見方、不動産の取引、不動産に関する法令上の規制、不動産の有効活用、不動産の証券化、不動産の取得・保有に係る税金、不動産の譲渡に係る税金、不動産の賃貸、不動産の最新の動向に関して学習します。勉強時間目安は20時間です。
相続・事業承継
相続・事業承継に関しても、一般の個人であれば一生に数回ある程度の事柄ですが、個々によってまったく事象が異なる点や、発生した時点での法律や税制との絡みが多いことに注意が必要です。相続と法律、相続と税金、贈与と法律、贈与と税金、相続財産の評価(不動産以外)、相続財産の評価(不動産)、不動産の相続対策、相続と保険の活用、相続・事業承継の最新の動向について学びます。勉強時間目安は20時間です。
きんざいと日本FP協会どちらで受ける?
FP3級は、1次試験(学科試験)と2次試験(実技試験)があります。1次試験である学科試験は、きんざいも日本FP協会も内容に違いはありません。しかしながら、2次試験の内容はそれぞれの団体ごとに異なり、団体の特徴を表しているといえるでしょう。1950年に旧大蔵省所管の社団法人として設立されたきんざいは、金融機関勤務者に対する研鑽の場を提供してきた歴史があります。1987年に設立された日本FP協会はFPの普及を目的に設立されたNPO法人であり、個人で活動するFPを支援する役割を担っています。受験者数の平均は、きんざいがおよそ28,349人であるのに対して、日本FP協会は33,205人であるほか、合格率も日本FP協会が高いことから、金融機関勤務者できんざいを受験しなくてはならないという場合でなければ、日本FP協会を受験するのがおすすめです。
FP3級の学科試験
FP3級の学科試験は実際きんざいも日本FP協会も内容に違いはありません。しかしながら、合格率に注目すると、きんざいの学科試験の合格率はおよそ60%であり、受験回によってばらつきがあるのに対して、日本FP協会の学科試験の合格率は80%以上であることから、日本FP協会の学科試験の方が合格しやすいことがうかがえます。
きんざいの実技試験
学科試験合格後の実技試験は、きんざいでは「個人資産相談業務」と「保険顧客資産相談業務」のいずれかを選択します。設問は、事例形式5題であり中身も相当深堀りした内容となっています(50点満点中30点以上で合格)。実際に金融機関に勤務して当該業務に従事している方であれば逆に馴染みやすい試験であるといえるでしょう。
日本FP協会の実技試験
日本FP協会の実技試験は「資産設計提案業務」の1つです。3択問題20問(100点満点中60点以上で合格)であり、きんざいに比べると試験範囲は広く浅いことから、様々な顧客に対応する能力をみられていると考えられます。
FP3級の勉強時間まとめ
国家試験の中でも比較的易しい資格といわれているFP3級。FP3級に合格するためには、これまでの合格率推移から日本FP協会の方が合格しやすいようです。FP3級の勉強時間は、金融機関勤務者であるなど「これまでの経験」や「資格取得後の目的」によって変わりますが、合格するためには標準時間として120時間を確保する必要であり、特に金融資産運用とタックスプランニングに重点を置いた学習が必要です。初心者の方が効率的に学習するためには、資格講座の活用も有効であることがわかりました。ぜひご自身にあった効率的な勉強法を見つけてみてください。
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