教育訓練給付制度の給付金は、いくらぐらいの費用が手元に戻ってくるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
教育訓練給付制度は主に「専門実践教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「一般教育訓練給付金」の3種類にわけられており、それぞれ給付金額は変わります。
教育訓練給付制度の給付金額は、下記のとおりになるので参考にしてください。
- 一般教育訓練給付金:受講料の20%で上限は10万円。給付金は受講後に申請すると受け取れる。(※20%にあたる金額が4,000円を超えないと支給されない)
- 特定一般教育訓練給付金:受講料の40%で上限は20万円。給付金は受講後に申請すると受け取れる。
- 専門実践教育訓練給付金:受講料の50%で上限は40万円。給付金は受講期間中の6ヶ月ごとで約2年間(最大3年間)受け取れる。また、受講修了&資格取得後、1年以内に就職ができれば追加で20%が支給、受講料の最大70%(一年間の上限は56万円)が受け取れる。
今回は、資格Hacksが教育訓練給付制度の給付金がいくらになるのか、計算例を記載しながら、受給金額と制度の仕組みをわかりやすく解説します。
教育訓練給付制度のよくある疑問にもわかりやすく回答するので、ぜひ参考にしてください。
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教育訓練給付制度とは?
教育訓練給付制度は「専門実践教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「一般教育訓練給付金」の3種類があります。
厚生労働省が認める教育訓練を受講して申請すると、資格取得にかかった費用の一部がもらえる仕組みです。教育訓練とは、資格を取るための通信講座、学校教育や養成施設に通学するなど、資格取得のための教育過程を指しています。
教育訓練給付制度は、基本的に雇用保険に3年以上加入している方が対象です。
- 対象の資格や講座を選ぶ⇒ハローワークに資格条件を確認⇒費用は一時的に自分で負担⇒ハローワークに申請⇒費用の一部が給付金としてもらえる
以上の流れで教育訓練給付金が受け取れます。3つの教育訓練給付制度の詳細は、下記で解説しているので参考にしてください。
専門実践教育訓練給付金
将来を見据えたキャリアアップ、安定的な職業を確保したい方に向けた資格が対象です。
受講料の50%(一年間の上限は40万円)のお金を受け取れます。支給のタイミングは、受講期間中の6ヶ月ごとで約2年間(最大3年間)です。
資格取得ができたときは、講座を終えて1年以内に就職ができれば追加で20%の給付金を受け取れます。この場合、受講料の最大70%(一年間の上限は56万円)が受け取れる計算です。
専門実践教育訓練給付金の申請には、受講前に下記の要件を満たす必要があります。
- 訓練前キャリアコンサルティングを受ける
- ジョブ・カードを作成(ハローワークにて)
過去3年以内に教育訓練給付金を支給した方は対象外です。
社会人から資格取得を目指したい方で、専門実践教育訓練給付金の対象になる方は、費用を最大50~70%まで大幅に抑えられるメリットがあります。
受講期間中の6ヶ月ごとに受け取れる仕組みなので、社会人からの資格取得を目指したい方はぜひ参考にしてください。
特定一般教育訓練給付金
再就職やキャリアの土台をつくりたい方に向けた資格が対象です。
受講料の40%(上限は20万円)のお金を受け取れます。基本的には、資格講座を受けるまでに雇用保険に3年以上入っている方が対象です。
まずは受講料を自分で負担しておき、受講が終わったあとに管轄のハローワークに申請後、給付金が支給される流れだと覚えておきましょう。
特定一般教育訓練給付金の申請には、受講前に下記の要件を満たす必要があります。
- 訓練前キャリアコンサルティングを受ける
- ジョブ・カードを作成(ハローワークにて)
過去3年以内に教育訓練給付金を支給した方は対象外になります。
特定一般教育訓練給付金は、受講が終わって申請後に給付金が支給される流れになるので、事前に対象者になるのかハローワークに確認しましょう。
一般教育訓練給付金
幅広い資格に対応しており、スキルアップや自己啓発など、さまざまな目的の資格取得に活用できる給付金です。
受講料の20%(上限は10万円)の費用を受講後に申請して受け取れます。20%にあたる金額が4,000円を超えないと支給されないのでご注意ください。
まずは受講料を自分で負担しておき、受講が終わったあとに管轄のハローワークに申請後、給付金が支給される流れだと覚えておきましょう。
基本的には、資格講座を受けるまでに雇用保険に3年以上入っている方が対象です。
また、過去3年以内に教育訓練給付金を受け取っている方は対象外になります。
一般教育訓練給付金は、受講修了後に申請して受け取れるため、対象講座や条件に当てはまるか事前にハローワークでご確認ください。
教育訓練給付制度はいくら貰えるの?資格ごとに異なる区分
教育訓練給付制度には主に3つあるので、それぞれ種類によって適用できる支給金額や上限などが変わります。
実際にいくらもらえるのか計算例を載せているので、参考にご活用ください。
1. 専門実践教育訓練に該当する場合
専門実践教育訓練の給付金は、受講料の50%が支給されるので「合計金額×0.5」で計算すると支給金額が計算できます。
*専門実践教育訓練の計算例(一年間で最大40万円支給)
- 例:一年間の受講料100万円×0.5=50万⇒内40万円が支給
- 例:二年間の受講料140万円×0.5=70万円が支給(一年間35万円×2の計算)
また、資格取得ができたときは、講座を終えて1年以内に就職ができれば追加で20%の給付金を受け取れます。この場合、受講料の最大70%(一年間の上限は56万円)が受け取れる計算です。
支給のタイミングは、受講期間中の6ヶ月ごとで約2年間(最大3年間)になります。
専門実践教育訓練の給付金は、最大50%の給付金が最大3年間、また追加の給付金が20%受け取れる可能性がある便利な制度です。上手に活用して資格取得を目指してください。
2. 特定一般教育訓練に該当する場合
特定一般教育訓練の給付金は、受講料の40%が支給されるので「合計金額×0.4」で計算すると支給金額が計算できます。
*特定一般教育訓練の計算例(最大20万円支給)
- 例:10万円の受講料×0.4=4万円が支給
- 例:40万円の受講料×0.4=16万円が支給
- 例:70万円の受講料×0.4=28万円⇒内20万円が支給
支給のタイミングは、受講が終わって申請後に給付金が支給される流れです。
特定一般教育訓練の給付金は、受講料の40%で最大20万円の支給金がもらえます。
3. 一般教育訓練に該当する場合
一般教育訓練の給付金は、受講料の20%が支給されるので「合計金額×0.2」で計算すると支給金額が計算できます。
*一般教育訓練の計算例(最大10万円支給、4千円以下は不可)
- 例:1万円の受講料×0.2=2千円⇒×支給不可
- 例:30万円の受講料×0.2=6万円が支給
- 例:70万円の受講料×0.2=14万円⇒内10万円が支給
支給のタイミングは、受講が終わって申請後に給付金が支給される流れです。
一般教育訓練の給付金は、受講料の20%で最大10万円の支給金がもらえます。
資格講座で教育訓練給付制度を受給する流れ
今回は、大手の人気通信講座「ユーキャン」の教育訓練給付制度(一般教育訓練)を参考にしながら、受給までの流れをわかりやすく解説します。
1. 教育訓練給付制度を利用する意思表示をする
教育訓練給付制度は、自動的に適用されるわけではありません。
ユーキャンの講座をインターネットで申し込む場合、教育訓練給付制度を「利用する」を選択します。はがきを使って申し込む場合も、同じように教育訓練給付制度を受けるかどうかを〇で囲みましょう。
受講前に必ず教育訓練給付制度を受ける意思表示を忘れないでください。
2. 身分証明書を提出し、ユーキャンによる本人確認を受ける
教育訓練給付制度を受けるには、本人確認ができる運転免許証や保険証など、身分証明書のコピーを提出する必要があります。
送付期限は、ユーキャンから教材が送付された2週間以内です。
教育訓練給付制度を申請するためにも、早めに身分証明書のコピーを送りましょう。
3. 必須課題を学習期間内に提出し、修了課題で基準点以上を獲得する
教育訓練給付制度を使いたいときは、各資格講座で決められている「標準学習期間内」に添削課題を提出する必要があります。
また、資格講座の理解度を図る修了課題では、基準点以上の点数が必要です。
教育訓練給付制度を有効活用するためにも、教材を繰り返し勉強しながら理解を進めてみてください。
資格講座修了から教育訓練給付制度の給付までの流れ
教育訓練給付制度の条件に当てはまる人は、受講修了後に下記の項目を満たしている人のみが対象です。
- 身分証明書の確認済み
- 標準学習期間内に課題を提出済み
- 修了課題で基準点以上を獲得済み
確認後は、ユーキャンが送付した教材に同封されている「修了証明依頼書」を送り返します。
ユーキャンから必要書類が届くため、必要事項を記入しましょう。記入した書類は、管轄のハローワークに提出すると申請できる流れです。
確認できたあとは、指定した銀行口座に(約1ヶ月以内)振り込まれるのを待ちましょう。
教育訓練給付制度に関するよくある質問と回答
教育訓練給付制度で疑問に感じやすいポイントを「よくある質問と回答」の形でいくつか解説します。
教育訓練給付制度を受けるための条件はなに?
教育訓練給付制度の主な条件は、下記のとおりです。
- 厚生労働省が認める教育訓練(資格講座、学校教育課程)の対象である
- 給付金の支給要件である雇用保険の加入期間の対象である
基本的には、雇用保険に3年以上加入した方が対象です。各給付金制度の種類によって変わりますが、教育訓練給付制度を初めて利用するときは1~2年の加入で対象になります。
教育訓練給付制度は公務員でも受けられる?
残念ながら、公務員は教育訓練給付制度を受けられません。
景気に左右されにくい職業として安定的な雇用を確保できると考えられている背景もあり、対象外になります。
教育訓練給付制度に年齢制限はある?
条件を満たす場合、年齢制限はありません。
一般被保険者または高年齢被保険者の雇用保険に加入している方が対象です。高年齢被保険者とは、簡単にまとめると65歳以上で働く方が条件を満たすと加入できる雇用保険に当てはまります。
教育訓練給付制度の「専門実践教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「一般教育訓練給付金」は、年齢制限に関係なく対象です。
教育訓練給付制度は在職中でも申請可能?
教育訓練給付制度は働きながら申請できます。
「専門実践教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「一般教育訓練給付金」が対象です。
キャリアアップを目指して仕事を続けながら資格取得が目指せます。社会人の方が費用を抑えて受講したいときに便利です。
教育訓練給付制度ではいくらもらえる?まとめ
教育訓練給付制度の給付金がいくらになるのか、計算例を記載しながら、受給金額と制度の仕組みを解説しました。
もう一度、各教育訓練給付制度の給付金額を振り返りましょう。
- 一般教育訓練給付金:受講料の20%で上限は10万円。お金は受講後に申請して受け取れる。(※20%にあたる金額が4,000円を超えないと支給されない)
- 特定一般教育訓練給付金:受講料の40%で上限は20万円。お金は受講後に申請して受け取れる。
- 専門実践教育訓練給付金:受講料の50%で上限は40万円。お金を受講期間中の6ヶ月ごと、約2年間(最大3年間)受け取れる。また、受講修了&資格取得後、1年以内に就職ができれば追加で20%が支給、受講料の最大70%(一年間の上限は56万円)が受け取れる。
今回は、ユーキャンの教育訓練給付制度を参考にして、資格講座の受講から受給までの流れを解説しました。
教育訓練給付制度は自動的に申請できるわけではないため、受講前に「教育訓練給付制度を利用する」という意思表面を示す必要があります。
本人確認ができる身分証明書の準備、期間内に課題を提出して基準点を獲得するなど、各条件を満たせるように事前に内容を確認しておきましょう。
教育訓練給付制度を有効活用し、資格の勉強にかかる費用を抑えながら、賢く資格の勉強を進めて合格を目指してください。