「技術士試験を受けるために資格は必要なの?」
「技術士試験の難易度はどれくらいなの?」
このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか。技術士になるためには技術者試験に合格する必要がありますが、何が必要なのか、どのような流れで技術士になることができるのかなど、知らない人は多いのではないでしょうか。
なので、今回は技術士になるために必要な受験資格や試験日程、資格を取得するまでの流れなどを紹介していきます。
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技術士とは何か
技術士とは技術士制度に則って、国から認められた技術者を指します。
技術士制度は以下の要件を満たす技術士の育成を図るために作られた資格制度です。
- 科学技術に関する技術的専門知識と高等の専門的応用能力及び豊富な実務経験を有している
- 公益を確保するための高い技術者倫理を備えている
簡単に言えば、技術士とは専門的な技術や知識と高い技術者倫理を持っている技術者のことです。
技術士になるためには文部科学省所管の国家試験に合格し、上記の要件に満たしていることを証明する必要があります。
技術士試験の受験資格
技術士試験を受けるためにはどんな受験資格が必要なのでしょうか。ここで一度確認しておきましょう。
受験資格は設けられていない
技術士試験の一次試験の受験資格は特に設けられておらず、「学歴」「実務経験」「年齢」などは問われません。
令和2年度の技術士一次試験の最終学歴には「その他」「在学中」という枠もあるので、中卒や高卒であっても心配する必要はありません。
実務経験に関しては受験資格には問われませんが、経験がある方が専門知識を覚えやすいので、試験勉強に役に立つでしょう。
年齢制限も特になく、令和2年度の技術士一次試験では20~70歳代までの幅広い年齢層の方が受験をしています。
一定の条件を満たすと免除制度を利用できる
技術士一次試験では、試験の一部が免除される免除制度が設けられています。
この免除制度を受けるための条件と免除科目は以下のようになります。
免除の条件 | 免除になる科目 |
平成14年度以前に一次試験の合格を経ずに二次試験に合格している | 同じ部門を受験する場合、基礎科目及び専門科目別の部門を受験する場合、基礎科目のみ |
情報処理技術試験の高度試験及び情報処理安全確保支援士合格者 | 専門科目(情報工学部門) |
中小企業診断士二次試験合格者 | 専門科目(経営工学部門) |
技術士試験の日程と申し込みスケジュール
ここでは、技術士試験の一次試験と二次試験の日程や申込スケジュールを紹介していきます。
1. 技術士試験第一次試験の場合
令和3年度の技術士第一次試験の日程は以下のようになります。
受験申込書配布 | 令和3年6月11日~6月30日 |
受験申込受付期間 | 令和3年6月17日~6月30日 |
筆記試験日 | 令和3年11月28日 |
合格発表 | 令和4年2月下旬 |
受験申込書類は公益社団法人日本技術士会技術士試験センター宛てに書留郵便で送付してください。
試験地は北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県などになります。
2. 技術士試験第二次試験の場合
令和3年度の技術士第二次試験の日程は以下のようになります。
受験申込書配布期間 | 令和3年4月1日~4月19日 |
受験申込受付期間 | 令和3年4月5日~4月19日 |
筆記試験日・総合技術監理部門の必須試験 | 令和3年7月10日 |
筆記試験日・総合技術監理部門を除く技術部門・総合技術監理部門の選択科目 | 令和3年7月11日 |
筆記試験合格発表 | 令和3年10月下旬 |
口頭試験(筆記試験合格者のみ) | 令和3年12月上旬~令和4年1月中旬のうちのあらかじめ受験者に通知する日 |
口頭試験合格発表 | 令和4年3月中旬 |
技術士資格を取得するまでの流れ
ここでは、技術士資格を取得するまでの流れについて紹介していきます。
1. 技術士試験第一次試験に合格して技術士補として登録する
技術士第一次試験に合格した方又は文部科学大臣が指定した大学その他の教育機関における過程を修了した方は「技術士補」として登録することができます。
技術士補とは技術者を補助する役割を担う国家資格で、登録にはいくつかの手続きを必要とします。
手続きに必要な書類は以下の通りとなります。
- 技術士補登録申請書(様式第六又は様式第六の二)
- 補助しようとする技術士の証明書(補登録用書類No.2)
- 必要に応じ、勤務先の同意書(補登録用書類No.3)
- 文部科学大臣が指定した大学その他の教育機関の教育課程を修了したことを証する書類(該当者のみ提出)
- 登録証発送用宛名ラベル
- 登録免許税 15,000円
- 登録手数料 6,500円(非課税)
2. 指導技術士のもとで4年超の実務経験を積む
指導技術士のもとで4年を超える実務経験を積むと、二次試験の受験資格を得ることができます。
しかし、総合技術監理部門の技術士補の場合は、7年を超える実務経験を必要とします。
実務経験の証明には技術士第二次試験の申込書に記載の、自身の実務経験に対して、指導技術士の私印が必要となります。
3. 技術士試験第二次試験に合格して技術士として登録する
技術士第二次試験は一年に一回実施され、受験するためには一次試験とは異なり、条件があります。
条件は以下の3つのいずれかとなります。
- 技術士補として、指導技術士の指導の下での4年を超える実務経験(総合技術監理部門は7年)
- 職務上の監督者の指導の下での4年を超える実務経験(総合技術監理部門は7年)
- 指導者や監督者の有無・要件を問わず7年(総合技術監理部門は10年)
上記のいずれの場合にしても、大学院修士課程に在学していた人に関しては、2年を限度として実務経験の期間に算入することができます。
技術士試験の試験内容と受験料
ここでは技術士試験の試験内容や必要な受験手数料などを紹介していきます。
1. 技術士試験第一次試験の場合
技術士試験第一次試験はマークシート形式の筆記試験で、試験科目としては以下の3科目となります。
科目 | 内容 | 時間 |
基礎科目 | 科学技術全般にわたる基礎知識 | 1時間 |
適性科目 | 技術士法第4章の規定の遵守に関する適性 | 1時間 |
専門科目 | 受験者があらかじめ選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識 | 2時間 |
受験手数料は11,000円となります。
2. 技術士試験第二次試験の場合
試験科目 | 試験内容 | 試験時間 |
必須科目 | 全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの | 2時間 |
選択科目 | ・専門知識及び応用能力に関するもの・問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの | 3時間30分 |
受験手数料は28,000円となります。
技術士試験の合格率・難易度
技術士試験の合格率は年度や部門によって変わりますが、令和2年度の一次試験の合格率は30~50%ほどで、二次試験の合格率は10~20%ほどになります。
技術士試験の難易度としては、一次試験は基礎知識や専門知識があるかを問う問題が多く、二次試験は習得した知識をどのように活用するかを問われます。
一次試験の合格基準としては、「基礎科目」「適性科目」「専門科目」のそれぞれの科目で、50%以上の得点をとることです。
二次試験の合格基準としては、「必須科目」「選択科目」のそれぞれの科目で、60%以上の得点をとることです。
技術士試験には受験資格が設けられていないため誰でも合格チャンスがある
今回は技術士試験の受験資格や日程、試験内容について解説しました。
技術士試験は受験資格を必要とせず、年齢や学歴を問わないので、誰でも技術士になれるチャンスがあります。
流れとしては技術士第一次試験に合格し、実務経験を積んだあとに技術士第二次試験に合格すれば、技術士になることができます。