管理栄養士を目指す上で「平均年収がどのくらいになるのか?」という項目は気になるポイントです。資格取得の難易度が高い分、年収も内容に見合ったものであるとうれしいですよね。
しかし、就職先によって平均年収が変わるのが現状です。年収には、年齢・役職・ボーナスや昇給を始め、正社員と非正規社員による年収の違いも含まれています。
この記事では、管理栄養士の年収について感じる疑問を数字やデータから掘り下げてまとめました。
「どのくらいの年収がほしいのか?」
「年収は多少落ちてもいいから、自分のペースで働ける職場がよいか?」
「結婚や出産など、家庭と仕事の両立する上でどのくらい働きたいか?」
など、具体的にお金の観点からも、就職後のイメージを膨らませておきましょう。
年収とライフスタイルを天秤にかけながら、人生プランを練るときの参考にしてみてください。
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管理栄養士の平均年収は?
管理栄養士の平均年収は300~400万円台です。管理栄養士の資格手当が付く職場なら、例えば数千円~数万円が毎月プラスで支給されます。
経験年数が年収に直結する傾向のある管理栄養士は、働きたい場所や仕事内容によっても年収に差が出てくるのです。
あなたが管理栄養士として目指したい職場は、どのくらいの平均年収でしょうか?
以下では、職場や役職、年齢ごとに平均年収の違いを見ていきましょう。
職場や役職ごとの平均年収の違い
以下では、簡単に職場ごとの平均年収をまとめました。大手情報サイトのリクナビNEXTにて掲載の求人を参考にしています。
上記の内容を見ればわかるように、管理栄養士の平均年収は職場によって差があるのがわかります。グラフに書ききれなかった詳細は、簡単に以下でまとめました。
*職場ごとの平均年収まとめ
- 食品メーカー(製品開発の仕事): 300~350万円
- 食品メーカー(品質管理の業務):250~300万円
- 病院や高齢者の福祉施設:350~400万円
- 給食センターや調理関係:250万円~400万円(場所や年数により600万円も)
- 保育施設:300万円
- 行政機関(地域の保健センター):300万円
一般企業は食品メーカーの製品開発、病院や福祉施設は管理栄養士の給料が高い傾向があります。
また、施設や一般企業の正社員なら、毎年の昇給や賞与を加えると更なる年収アップも見込めるでしょう。
正社員の勤続年数が長くなると、課長や部長の役職が付くタイミングも訪れるからです。役職手当で給料アップにつながり、数万~数十万単位の給料アップが見込めます。
(参考元:リクナビNEXT。2020年11月時点での情報)
年齢・ボーナスや昇給による平均年収の違い
管理栄養士は、年齢が上がるにつれて平均年収は上がる傾向にあります。就職先によるものの、以下では簡単におおまかな年代別の平均年収をまとめました。
*ボーナスや昇給込みの平均年収
上記の年収に昇給やボーナスが加算されると、450万円以上の年収になる場合もあります。管理栄養士の昇給は一年間に1回、ボーナスの支給は一年間に1~2回程度支給される場合が多いでしょう。
昇給とボーナスには年齢や施設によって幅がありますが、リサーチしたところ最低約12万円~最高約99万円台の結果でした。平均的な昇給とボーナスは、年間で30~50万円程度の支給額です。
*ボーナス・昇給抜きの平均年収(平均の振り幅)
年の売り上げによっては、ボーナスが少ない場合もあるでしょう。上記の表では、ボーナスや昇給を抜きにした平均年収について、最低金額から最高金額を簡単にまとめました。
(参考元:厚生労働省・賃金構造基本統計調査)
管理栄養士と栄養士の平均年収を比較
管理栄養士は業務や責任の範囲が広いため、平均年収は300万円~400万円程度。栄養士よりも高い年収が一般的です。一方、栄養士は250万円~300万円程度となっています。
給料の差が出る理由として、資格手当の金額差や業務における責任や職務範囲の違いがあげられるでしょう。
資格手当が付くときは、一般的に栄養士よりも管理栄養士のほうが数万円程度高い傾向があげられます。
正社員と非正規社員の平均年収を比較!
管理栄養士の資格は、フルタイムからパートタイムまで自由の利く働き方ができます。一度取得すれば現役を離れた後も再復帰が可能です。
地域にもよるものの、非正規社員は時給勤務の働き方が多いでしょう。時給は平均1,100~1,200円前後です。高額の場合は1,800~2,000円の求人もあります。
フルタイムで時給1,200円と仮定すれば、計算は以下の通りです。
- 1200円×8時間(一日)=9,600円
- 9,600円×22日(一ヶ月)=21万1,200円
- 245日勤務×9,600円(年間休日120日の仮定)=235万2,000円
非正規社員の年収はおおよそ235万2,000円となりました。一般的に非正規だと休んだ分の給料は含まれず、ボーナスや昇給が見込みづらいため、日数×時給の計算になることが多いでしょう。
正社員に比べると年収は低くなる可能性は高いものの、時給や働き方次第では正社員並みの給料をもらうことも可能です。
管理栄養士の生涯年収
下記を参考にした場合、正社員で生涯働き続けた管理栄養士の年収は約1億7,000万円です。例えば25歳から60歳まで管理栄養士として勤務したと仮定しましょう。
計算するために、もう一度ボーナスや昇給込みの平均年収を使って考えてみます。
- 20代:300万円台(×5年間)
- 30代:350万円台(×10年間)
- 40代:450万円台(×10年間)
- 50代:450万円台(×10年間)
- 60代:300万円台(×10年間)
上記の平均年収を参考に、20代は平均年収×5年間。30~60代は、それぞれの平均年収×10年間で計算すると、合計約1億7,000万円になりました。
管理栄養士の年収アップは専門性を高める
管理栄養士の年収アップには、キャリアアップとして関連資格の取得や専門分野の勉強に取り組む方法を試してみてください。
健康志向が高まる中、健康管理に意識を向ける方が増えています。アレルギーや肥満など、体質改善や美容意識を図りたい方が栄養に関する知識を求めており、関心が高まっているのです。
心豊かに暮らしたい方へ向けて、適切にアドバイスするためにも、管理栄養士は日頃から専門知識を深める姿勢も大切でしょう。
- 収入を重視したい
- スキルアップを重視したい
- 特定の専門分野を極めたい
など、それぞれの人生プランやライフスタイルに合わせて検討してみましょう。いずれにしても年収をアップさせるには、選んだ分野における専門性を高めることが重要です。
独立・資格取得で仕事場に交渉する方法も!
一般企業や施設に雇用されて働く方法だけでなく、将来的に開業やフリーランスで働く管理栄養士もいます。
下記の見出しで紹介している「特定分野管理栄養士制度」や「オンライン食育栄養士」など、キャリアアップには関連資格の取得や専門分野の知識を深める方法も。
特定分野管理栄養士制度は、管理栄養士・栄養士の資格取得した方が生涯を通してキャリアアップを図れる設計で内容が組まれています。
例えば、職場にいる管理職の方に「特定分野管理栄養士として認定されました」とアピールすれば、役職に推薦してもらうアピール材料にもつながるでしょう。
特定分野管理栄養士については、下記の見出しで簡単に説明しています。
管理栄養士におすすめの特定分野管理栄養士とは?
管理栄養士の業務の幅をもっと広めるために、公益社団法人日本栄養士会が掲げる「管理栄養士の生涯学習モデル」の制度を活用してみましょう。
制度には「特定分野管理栄養士」が設けられており、専門分野に特化した知識を証明できる内容として、以下の5つに分類されています。
特定保健指導担当管理栄養士:栄養指導を実施する対象者が行動につながる指導力の高さを証明。
静脈経腸栄養(TNT-D)管理栄養士:カテーテルでの食事が必要な患者に対して、安心安全な栄養摂取方法の知識がある証明。
在宅訪問栄養食事指導:在宅の医療が必要な方や家族と、サービスを提供する業者に適切な栄養指導が実施できる証明。
公認スポーツ栄養士:スポーツに取り組む監督や選手の適切な栄養管理をサポートできる証明。
食物アレルギー管理栄養士・栄養士:食べ物のアレルギーを抱える方に向けて、安全な食の提供ができる能力を証明。
あなたが管理栄養士として、気になる専門分野はありそうでしょうか?
特定分野管理栄養士の条件は「管理栄養士の資格がある」「研修を受けている」「制度に参加している」3つのクリアが求められます。
他の内容を含めて、制度全体としては約20年を目標に管理栄養士として経営・顧客サービスのスキル向上を始め、一生をかけて社会に貢献できる知識を学んでいけるのです。
管理栄養士として生涯スキルアップが目指せる
特定分野管理栄養士はそれぞれ管理栄養士として、特定の分野を極めたい方におすすめの内容です。最新の知識を学んで更新する必要もあり、管理栄養士として成長し続けられるでしょう。
特定の分野について知識を深めれば、管理栄養士としての新しい道に進むきっかけにもつながります。
制度の自己研修では、キャリアシートの記録や学会発表にも取り組むため、管理栄養士としての仕事意識を高められるでしょう。
実務研修では、科目内容として福祉栄養や学校栄養などの内容が学べます。
「働き始めてからも、専門知識の向上に取り組んでいます」という客観的な指標になるでしょう。
キャリアアップが図れる内容かつ「なぜ管理栄養士を目指したのか」という初心を思い出せるきっかけにつながり、仕事への意欲向上にもつながるのはでないでしょうか?
オンライン食育栄養士の資格取得もおすすめ
年収や専門性を上げる取り組みと平行して「場所や分野に捉われない自由な働き方」に憧れる方は、オンライン食育栄養士の資格を目指してみませんか?
オンライン食育栄養士の資格のメリットは、自宅にいながら資格取得ができる点です。
例えば、現役から離れて主婦として家事や育児に専念している方は、スキマ時間に自宅で勉強を始めてみませんか?
オンライン食育栄養士は、在宅ワークやリモートワークの働き方が増えつつあるため、時代に合った資格の一つとして注目されています。
smart資格のメリット
仕事などで忙しかったり、試験会場が遠くて向かうのが大変だったりと、さまざまな懸念がある人にオンライン食育栄養士の資格はおすすめです。
- 認定証を取得後、SNSを通して活動
- 個人サロン開業サポート付き
- スマホでスキマ時間に効率良く学習
- 最短1週間で資格取得可能
smart資格には以上のメリットがあげられるでしょう。今すぐ簡単に在宅ワークの働き方がしたい方にとっても、証明につながる資格としてピッタリです。
スマホを使いながらオンライン上で勉強と試験受験が可能。合格後は約一週間で認定証が自宅に届くため、ここまでスムーズに資格が取得できるシステムはないでしょう。
ぜひsmart資格を利用して、キャリアアップや平均年収を上げる方法に役立ててみてはいかがでしょうか?
管理栄養士と栄養士について
管理栄養士は厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。例年実施される国家試験に合格する必要があり、4年生大学なら指定の単位を取得後、実務経験がなくても受験が可能。
ただし、栄養士から管理栄養士のスキルアップを図るなら、受験資格として実務経験を1~3年以上の実績が必要になります。
*「栄養士」養成学校卒業での試験の受験資格条件
- 2年制の場合:指定の施設で実務経験3年以上が必要
- 3年制の場合:指定の施設で実務経験2年以上が必要
- 4年制の場合:指定の施設で実務経験1年以上が必要
栄養士に必要な実務経験とは厚生労働省が決めた施設が対象となり、簡単にピックアップしてまとめると以下の通りです。
- 学校や病院などの施設で多数の利用者に対して、日常的に食提供のサポートに取り組んでいる
- 営業に関わる施設として食品製造や加工、調理や販売を実施
- 栄養に関わる研究機関や保健所、行政機関など
(参考元:一般社団法人全国栄養士養成施設協会「管理栄養士になるには」)
難易度は管理栄養士の方が上
管理栄養士と栄養士では、管理栄養士の方が難易度は高いでしょう。理由としては、栄養士は養成学校の指定科目の取得後、卒業すると同時に資格取得ができます。
一方、管理栄養士は国家試験に合格する必要があり、学校卒業が資格取得の条件にはなりません。
ちなみに、令和2年3月に実施された管理栄養士の国家試験では、合格率61.9%の結果でした。
現場に出てからも、管理栄養士のほうが仕事を扱える範囲や責任が変わってくるため、国家試験が設けられて幅広い分野を勉強する必要があるといえるでしょう。
まとめ:年収アップには制度や資格取得を活用しよう!
国家資格の管理栄養士における平均年収など、詳細について見てきました。管理栄養士の平均年収は、約300~400万円台です。平均年収は年齢や職業、役職によっても変わるでしょう。
職業での違いを簡単におさらいしておくと「病院や高齢者の福祉施設」「給食センター」など、最高平均年収は400万円。
「食品メーカー(製品開発の仕事・品質管理の業務)」「行政機関(地域の保健センター)」など、最高平均年収は300~350万円でした。
正社員の課長や部長など、役職が付くと一般的には毎月数万~数十万単位で昇給が見込めるでしょう。
基本的に年齢が上がると、50~150万円程度の年収アップが見込めます。あくまで目安のため、場所によっては200万円以上の年収アップの可能性も。
年収アップには、在宅ワークが可能なオンライン食育栄養士の資格取得、管理栄養士が受けられる生涯学習制度の利用も検討してみましょう。
平均年収は働く場所によっても変わります。自分が目指したい職場を検討するときは、平均年収を目安にしながら人生計画の参考にしてみてください。
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